日本が捨てた村【Village abandoned by Japan】
運送会社の社会保険料滞納
民商と党論戦 倒産救う
財務相答弁示され一変
岐阜
「もう事業を続けられない」―。岐阜市内で運送業を営むHさん(46)は、社会保険料の滞納で差し押さえの危機に。インターネット検索で見つけた全国商工団体連合会(全商連)にSOSの電話をすると、「諦めないでください」と励まされ、岐阜南民主商工会(民商)とともに、年金事務所と粘り強く交渉。日本共産党の国会論戦も力になり、差し押さえを解除させました。(岐阜県・猿渡聡美)
Hさんが経営する運送会社は約40人の従業員を抱え、毎月の売り上げは2500万円ほど。大阪にも支店を置き、大手家電や家具メーカーの配送業務を一括で請け負っています。
差し押さえ通告
コロナ禍をきっかけに経営が厳しくなっていたところに会社に税務調査が入り、800万円ほどの消費税追徴課税が発生。月140万円の分納を行っているところに、年金事務所の調査が入りました。年金保険料の追徴分を含めて約2400万円の保険料滞納を指摘され、「2024年11月25日までに支払わなければ、差し押さえを執行する」との通告を受けました。
取引先に伝えると、「11月中に差し押さえが解除されなければ契約を解除する」と言われました。年内にトラックリース料の滞納分を支払う必要も。金策も尽きたHさんは困り果て、インターネットで見つけた全商連にSOSを出しました。差し押さえ予定日の4日前でした。
岐阜南民商の古田千鶴子事務局長は、夕方に電話を受けてすぐにHさんと年金事務所に駆け付け、夜8時まで差し押さえ中止に向けて交渉。翌日は岐阜北民商役員に引き継ぎ連日の交渉が続きました。
年金事務所の担当者は「新規に発生した保険料の2回分を支払えば、その後の滞納分の相談をします。それができなければ差し押さえる」との主張を崩しません。Hさんは「差し押さえられたら会社再建の計画もできない」、「税務署とは違い、あなたたちは一方的に『決めた金額を持ってこい』としか言わない」と訴えました。
しかし担当者は「会社がつぶれるかどうかはうちには関係ない」という話し合いにならない対応を続けます。
差し押さえ解除
岐阜北民商の福井一徳会長は、日本共産党の小池晃参院議員が24年3月に行った国会質問の中で、「事業者の事業継続が困難な取り立ては妥当性に欠く」と答弁した鈴木俊一財務相の言葉を示しました。「その後、厚生労働省年金局がこの趣旨で日本年金機構に通達も出している。あなたたち(年金事務所)が言っていることは百八十度違うではないか」とただしました。
この追及に担当者らは顔色が変わり「通達については知っています。相談してきます」と態度が変化。その後、「2年間の支払い計画を提出していただくなどの対応をしていただければ、差し押さえは解除します」となりました。
Hさんは「予定されていた差し押さえは1400万円相当で、執行されていたら従業員の給料も払えず、年末年始に路頭に迷うことになっていました。本当に助かった」と話します。
「すごさを実感」
この件を振り返った福井さんは「全商連・民商の存在が、事業者の立場で日本共産党と力を合わせ、国会答弁も引き出してきたすごさをあらためて実感しました」と語ります。
税務調査にも立ち会っている福井さんは、民商会員でない中小業者に対する無法な調査が横行していると指摘します。「民商の良さを幅広く伝えながら、さまざまな運動を広げていきたい」と力を込めました。
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辺野古・大浦湾の米軍新基地建設
軟弱地盤着工を強行
海底に敷き砂 水汚濁の恐れも
沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設で、防衛省沖縄防衛局は28日、軟弱地盤が広がる大浦湾側で地盤改良工事着手を強行しました。政府が玉城デニー知事の権限を奪い、軟弱地盤改良のための設計変更申請の承認を「代執行」で強行してから1年。今年1月の海上ヤード建設、8月のA護岸造成開始に続き、政府は無謀さを顧みず、新たな工事に踏み切りました。(関連)
この日行われたのは海底に砂を敷く「敷き砂」と呼ばれる作業。午後1時45分ごろ、N1護岸先端から北側の海域に停泊する敷き砂作業用「トレミー船」に備え付けられた、じょうご形の装置「ホッパー」へ、横付けされた台船からショベルカーで砂を移し替え始めました。
トレミー船は、ホッパーとつながる管(トレミー管)を海底近くまで下ろし、砂を投じます。金属製のパイプを海底に打ち込み、内部の砂を固めて「砂くい」を作るための前段階です。
土木技術者の奥間政則さんによると、敷き砂は、振動をかけながら行う、くい打ちで、海底のヘドロを拡散させないことが目的です。しかし、敷き砂投入自体に「水の濁りを出す恐れがある」(奥間さん)と警告します。水が濁れば、サンゴなど自然環境を破壊する危険があります。
また、地盤改良は砂くいなど約7万1000本のくいを打ち込まなければならず、最深で海面下90メートルに達する軟弱地盤の改良は国内で実績のない難工事です。政府の想定では新基地完成と普天間基地返還は最短で2036年ですが、完成の見通しはありません。
辺野古の海で、工事を監視・抗議する小型船「不屈」の船長・金井創さんは、今回の着手を受け、「いままで以上に抗議の声を高めていきたい」と強調。「完成のめどが立っていないのに、とにかく工事を継続する無謀なことをやり続けている」と憤りました。
工事は環境と自然を破壊するだけのものでもあり、沖縄に限らずさまざまな場所で新基地反対の世論を広げてほしいと切実な思いを語りました。