新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真(米国立アレルギー感染症研究所提供
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☕奥飛騨慕情 竜鉄也
持続化給付金の作業を請け負っていたのは電通とパソナの“トンネル団体”だった! 749億円もの税金が手数料として電通に
持続化給付金サイトより
「申請から支給まで2週間」と謳われたものの、申請開始初日にサーバーがダウン、いまだに支給されないといった指摘が相次いでいる中小・個人事業者向けの「持続化給付金」。安倍首相は21日に「何よりもスピードを重視し、入金開始(5月8日)から10日余りで40万件を超える中小企業・小規模事業者の皆様に対して5000億円お届けしている」と胸を張ったが、5月15日までに「およそ90万件」(NHKニュース18日付)の申請があったというから、実際には半分以下にしか届いていないのだ。
一体これのどこが「スピード感重視」だと言いたくなるが、この「持続化給付金」をめぐって、キナ臭い問題が浮上した。「持続化給付金」の給付作業を国が業務委託している法人が、じつは電通とパソナの“トンネル法人” “幽霊法人”だったからだ。「持続化給付金」の事務事業を国から受託した法人というのは、「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」。この法人は2016年に電通とパソナ、トランスコスモスによって設立されており、経産省は同法人に「持続化給付金」の事務委託を769億円で契約している。「持続化給付金」は150万件の申請に対応できる見通しといわれているが、事務委託費が769億円ということは、1件あたりの手数料は4〜5万円にもなる計算だ。その金額の妥当性も問われるところだが、さらに問題なのは、769億円という巨額の事業を請け負いながら、この「サービスデザイン推進協議会」の業務実態が見えてこない、ということだ。
というのも、5月22日に同法人の問題を決算行政監視委員会で取り上げた立憲民主党・川内博史衆院議員によると、所在地に行ってみたところ、そこは小さなビルの1室で、ドアにはリモートワーク中だという張り紙が貼ってあるだけで誰もいなかったという。
さらに、川内議員は今回の「持続化給付金」の事務事業が再委託されているはずだとして、それがどこなのかを質問。すると、中小企業庁の那須野太・事業環境部長はこう答弁したのだ。
「株式会社電通に業務を再委託して本事業を実施しております。サービスデザイン推進協議会が全体の統括業務、給付金の振り込み業務をおこない、電通がコールセンターや申請受付業務等の管理、広報等を実施している」
つまり、実際には「持続化給付金」の事務事業は電通が請け負っている、というのだ。しかも、川内議員によると、「持続化給付金」の予算案が組み込まれた第一次補正予算案が閣議決定されたのは4月7日、経産省が事務事業の入札の公募をはじめたのが翌8日であるにもかかわらず、サービスデザイン推進協議会が「jizokuka-kyufu.jp」というドメインを取得していたのは、閣議決定の前日、4月6日だったというのである。怪しい話はまだある。川内議員は同法人が設立された際の定款のPDFファイルに着目。なんと、定款のPDFファイルのプロパティを確認すると、その作成者は経産省の情報システム厚生課だったという。実際、この「サービスデザイン推進協議会」は設立されてすぐに経産省から事務委託を受け、その数は「持続化給付金」を含め14件にものぼるというのだが(東京新聞28日付)、川内議員は同法人がその受託した事業のほぼすべてを電通かパソナ、トランスコスモスのいずれかに再委託していたのではないかと指摘している。
沖縄県議選告示
大激戦 デニー県政支える党7議席を
共産党候補が第一声
29日に告示を迎えた沖縄県議選(6月7日投票、定数48)。新型コロナウイルスの対応や検察庁法改定問題で国民からの信頼を失いながら、コロナ禍でも県民の強固な民意に反して辺野古(同県名護市)の米軍新基地建設を強行する安倍自公政権への怒りが爆発し、広がる中で、すでに1票を争うたたかいが繰り広げられている選挙戦です。
「玉城デニー県政を支える与党(オール沖縄勢力)の県議会多数を引き続き維持するのか、安倍内閣に付き従って辺野古新基地を造ろうとしている(県政野党の)自民党などの勢力の巻き返しを許すのか、これが問われている」―。
29日に日本共産党の7候補の応援のために駆け回った赤嶺政賢党衆院議員は、このように県議選の大争点を改めて強調しました。
赤嶺衆院議員は、党県議・候補らがデニー知事を支え、コロナ対策としてPCR検査の拡充、医療や経済、暮らしなどの分野の支援で奮闘してきたことを紹介しました。
「不要不急の予算を削って、コロナ対策に回せという声を大きく広げようではありませんか。不要不急の予算の最たるものが辺野古新基地建設です」と赤嶺衆院議員は指摘し、「新基地建設ストップ県民の民意を、安倍政権に今度も突き付けましょう。安倍政権を倒して新基地建設を止めるため党7候補を押し上げてください」と呼びかけました。
玉城ノブコ党候補(糸満市区)の出発式に駆け付けた、沖縄戦で父と兄の計5人を失った玉城カツさん(80)は「辺野古新基地建設は絶対に反対。共産党の県議が増えてほしい」と述べました。
「オール沖縄の議席が減ったら県議会はダメになる。それを阻止するために頑張る」と語るのは、しまぶく恵祐党候補(沖縄市区)の出発式に参加した真栄平作文さん(74)。「日本共産党はずっと県民のため、先頭に立ってたたかってきた。これからも応援していきたい」と語りました。
しまぶく恵祐候補(33)=新 沖縄市区(定数5)
県民の人権と尊厳 取り戻す
勇退する、日本共産党の嘉陽宗儀県議が担ってきた県民の苦難に寄り添う仕事を引き継がせてください。
新型コロナウイルス危機で、県民生活が厳しくなる中、追い打ちをかける消費税10%や、高すぎる国民健康保険料・税を引き下げるため頑張ります。
中学・高校生のバス通学費や、中学校卒業までの医療費の無料化を促進し、お金の心配なく学び、子育てができるようにします。
米軍基地があるが故の事件・事故に苦しむ沖縄を変えたい。日米両政府が踏みにじり続ける県民の人権と尊厳を取り戻すまで、絶対にあきらめません。
ニシメ純恵候補(69)=現 浦添市区(定数4)
暮らしに希望持てる社会に
安倍政権は、新型コロナで沖縄県民が苦しんでいる時に、辺野古の設計変更申請を出しました。あまりにも理不尽です。米軍基地が置かれ続け、戦後75年間苦しめられてきた。沖縄は屈服しないという民意を、今度もきっぱり示そうではありませんか。
玉城デニー県政の下で、子どもの貧困対策を前進させてきました。今度は中学卒業までの医療費、中高校生の通学バス賃の無料を実現します。お金の心配なく学べるように、学費を半額、無償にします。平和で暮らしに希望を持てる社会を実現するために、全力で頑張ります。
とぐち修候補(67)=現 那覇市・南部離島区(定数11)
希望の光が見える選挙戦に
政治を動かしているのは国民の声です。声をさらに大きく上げて日本の政治を一緒に動かしていきましょう。
玉城デニー知事と力を合わせ、コロナ危機から県民の暮らし・営業を守り、経済の回復、首里城の早期再建と周辺文化遺産の復元に全力を挙げます。
今年は戦後75年。再び戦争は繰り返してはならないという県民の「命(ぬち)どぅ宝」の心を引き継いでいくために頑張ります。
日本の政治を切り開く大きな希望の光が見える選挙戦にしていきましょう。一緒に頑張り抜いて、安倍政権の政治を変えていこうではありませんか。
比嘉みずき候補(45)=現 那覇市・南部離島区(定数11)
民意に背向ける自公と対決
沖縄県が緊急事態宣言を発表した翌日、政府は辺野古新基地建設の設計変更の申請をしました。県民がコロナ危機で本当に苦しんでいるときに、基地建設を優先したのです。
総工費は県の試算で2兆5500億円。どうして私たちの税金がこんなに使われなければならないのでしょうか。いま思いやるべき相手はアメリカではなくて、コロナで苦しむ私たち国民の方ではないでしょうか。
今回、自民党県連が辺野古基地建設を容認する、賛成の立場を明確にしました。県民投票の民意に背を向ける自公勢力と、私たち沖縄県民との対決です。
セナガ美佐雄候補(58)=現 豊見城市区(定数2)
沖縄の未来に基地いらない
「誰一人取り残さないやさしい沖縄」を新型コロナウイルスに立ち向かう中で実践しているのが玉城デニー県政です。
子や孫の代まで基地との共生・共存を押し付けようというのが安倍政権。それに対してきっぱりと拒否するのが県民投票で示した県民の揺るがぬ民意です。孫の代まで基地との共生・共存を押し付けられて、基地あるが故の事件・事故・犯罪に苦しめられる沖縄は絶対に認められません。
21世紀の沖縄の未来に基地はいらない。そのために私は全身全霊で政策を語り、沖縄の明るい未来を語り、勝利したい。
たまき武光候補(71)=現 島尻・南城市区(定数4)
命と財産脅かす新基地反対
現場を大事に地域の声をしっかり届けます。新型コロナウイルスで大変な思いをしている漁業者、農業者、観光産業、中小企業の実情を聞いて知事に申し入れ、県は経済支援に取り組んでいます。みんなが声を上げれば政治を動かすことができます。厳しい経済状況を乗り越えるため、政府の責任で収入・賃金の8割補償を行うよう力を合わせましょう。
漁業を大きく制限している米軍訓練水域・空域を全面解除させるよう、海人(うみんちゅ)のみなさんと手を携えて頑張ります。県民の命と財産を脅かす新基地建設反対の思いを託してください。
玉城ノブコ候補(73)=前 糸満市区(定数2)
平和で誇りある豊かな県に
安倍政権は県民の民意を踏み破り、辺野古に新たな基地の建設を強行しています。
あの悲惨な沖縄戦で多くの人が尊い命を失いました。糸満市は最後の激戦地です。二度と再び戦争の悲劇を繰り返させない。私たち県民、市民の譲ることのできない平和への願いであり、思いです。この願いを踏み破り、建設を進めることは断じて容認できません。
県民のみなさんと力を合わせ、新型コロナウイルスの困難を乗り越え、県民の命や暮らし、安全を守り、基地のない平和で誇りある豊かな沖縄県の実現をめざし、力いっぱいたたかい抜きます。
自民党員も「安倍政権NO」
青森・九条の会
「自民党員だが、安倍政権はダメ。国民のことを考えていない」「安倍の支持率下がって、いがった(よかった)なあ」―。青森県九条の会は27日、青森市の新町商店街で「安倍9条改憲阻止」を訴える宣伝を繰り広げました。足早に通りすぎる市民が多い中、「安倍辞めさせようね」「がんばろうね」と市民からの激励が多く寄せられました。
参加者16人は、間隔を空けて通路脇に並び「安倍9条改憲は戦争への道」「検察庁法改正案は廃案」などの横断幕や手作りポスターを掲げアピール。その姿に1人の女性が、立ち止まり署名しました。
女性は、参加した日本共産党の斎藤美緒衆院1区予定候補へ「私は自民党員」と名乗り「コロナ危機を経験して、さまざまなものを海外に依存していたことが分かった。安倍自民党が日本経済を壊してしまったんだ」と悔しそうに語ります。
怒りが止まらない女性は「でもね」と少し間を置いて言います。「政治に関心が無かった娘が『安倍政権を倒すにはどうすればいいの』と聞いてきたの。私は『若い人がきちんと選挙に行って、自民党に入れなきゃいいのよ』と言っといたわ」
最後には「近所に10万円給付の申請に困っている高齢者がいるの。共産党さんに手伝ってほしい」「安倍政権を倒そうね」とすっかり意気投合しました。
- 2次補正 大きな穴 スピード 予備費/三つの問題ただす論戦を/志位委員長が表明
- 香港への「国家安全法」導入に強く抗議する/2020年5月28日 日本共産党幹部会委員長 志位和夫
- ジェンダー平等実現へ共に/婦団連 16万人超の4署名提出/政策・働き方に女性の視点を
- 米軍の感染状況公表/渉外知事会が求める
- 香港の人権抑圧強化へ/中国全人代 法整備を可決
- 東京都知事選で志位委員長/宇都宮氏の出馬表明を歓迎野党共闘の体制づくりへ努力
- 刷新すべきは安倍内閣/山添氏 黒川問題、検察の信頼失墜/参院法務委
- 改憲論議の土台なし/衆院憲法審 赤嶺氏が安倍政権批判
- 家庭の追加負担追及/田村氏「国民合意無視するな」/9月入学/参院内閣委
- 公的責任を一層後退/倉林氏 年金制度改定法案に反対/参院厚労委
- 建設従事者にPCRを/武田氏 感染の危険と隣り合わせ/参院国交委
- 「2次補正 予備費10兆円に問題」/野党側がただす/政府与野党連絡協議会
- 新型コロナが問う 日本と世界/「幸福度」世界一 フィンランドから何学ぶ/個人尊重 ゆとりある社会に
- 新疑惑 「桜」告発恐れ定年延長/渡辺えりさん × 小泉今日子さん 対談
- 日本と世界のあり方提起に共感/コロナ禍と「赤旗」
- 知事支える7氏必勝/きょう告示 「オール沖縄」勝利訴え/沖縄県議選
- 「命守る仕事引き継ぐ」/沖縄市区 しまぶく氏が宣伝
- 沖縄から政治変える/那覇市・南部離島区 とぐち氏訴え
- スーパーシティ法案/大門議員の反対討論 (要旨)/参院本会議
- 自民党員も「安倍政権NO」/青森・九条の会
- 山村過疎化つながる/田村貴氏 森林組合法改定に反対
- 障害者と緊密協議を/本村氏 「電話リレー」で要求
- 個人情報守られない/保護法改定案 塩川氏が反対
- 「あおり運転」に処罰/藤野氏 処罰拡大の懸念拭え
- 白タク拡大に道開く/武田氏 地域公共交通守れ
- 中小製造業者 危機/「受注ゼロ」「先が見えない」/ものづくり支える支援直ちに
- スーパーホテル/支配人ら2人は労働者/青年ユニオン 解雇撤回求め提訴
- 東京美々卯/労組が解雇撤回求める/「味と文化と労働者守れ」
- サラ金の被害を拡大/清水氏反対も改定案可決
- 事後審査 切り替えて/笠井氏「生き延びが先決」
- 相談窓口の対応要求/大門氏「早く受け付けを」
- 法案の対象をただす/岩渕氏 DP法案の修正案提出
- 「香港人に言論の自由を」/市民・民主派 やまぬ抗議/中国全人代 「国家安全法」導入
- コロナ禍 ギャンブル依存症者は/自助グループ相談継続/会場使えずオンラインで
- コロナ禍 地域スポーツの苦悩/プロもアマも厳しい/ボクシングジム
- 学童保育 大わらわ/学校ごとに違う授業時間 行政の財政支援がほしい/横 浜
- 発熱外来設け赤字/埼玉・三芳町 診療所への支援切実/党県議団と懇談し要望
- 生活保護世帯の申請「簡素に」/10万円給付 全生連が要請/各地で対応 熊本市は本人の意思確認だけで可/必要書類を持たぬ人も
- ジェンダー視点必須/コロナ対策で保団連女性部
- 医療・介護 経営救え/減収全額 国が補てんを/医団連が要請書
- 石綿飛散の対策不十分/山下氏“国は規制権限行使を”/参院環境委
- 第2次補正予算案/一刻も早く国民に支援届けよ
- きょうの潮流/本紙「読者の文芸」欄には、2月末からコロナ禍を題材にした…
💛知らなきゃヤバい!スーパーシティ法について5分で解説!【せやろがいおじさん】
黒川氏“桜疑惑”封じに暗躍か 異例の告発不受理が明るみに
やっぱり水面下で動いていたか(辞職した黒川弘務前検事長)/(C)日刊ゲンダイ
やっぱり“官邸の守護神”は事件を潰したのか――。東京高検検事長だった黒川弘務氏が賭けマージャンで辞職する直前、安倍首相の重大疑惑「桜を見る会」に関する市民の告発が、検察庁によって「不受理」とされていたことが分かった。
告発は、神戸学院大教授の上脇博之氏らが今年1月14日に行ったもの。教授らは「桜」問題を巡り、安倍首相本人を背任罪で東京地検に告発したが、同31日、検察庁から「不受理」の通知が届いたという。通知文には不受理の理由として「代理人による告発は認められない」という趣旨が記されていた。
この点を26日の衆院法務委員会で突いた共産党の藤野保史議員の質問に、法務省の川原隆司刑事局長は「通説的に、告発については刑事訴訟法の規定を基に『代理』を認めないと解している」と一般論を展開。「過去に同様の例はあったか」と追及されると、「把握できていない」とダンマリを決め込むしかなかった。黒川氏はやっぱり暗躍していたのか。教授らの告発がはじかれた1月31日は、ちょうど黒川氏の定年延長が閣議決定された当日。次期検察トップへの道が開けた日でもあった。上脇教授はこう言う。「現場の検察官らが次期トップに忖度したのか、黒川氏自身が部下に指示したのかは不明ですが、黒川氏の存在が『不受理』と判断する原因となったように見えます。もちろん、安倍首相本人が告発の対象だったことも影響したのでしょう。悪しき前例を残さないためにも、今後も反論していくつもりです」
“守護神”が力業で潰さなければならないほど桜疑惑は根が深いということなのか。
【写真】黒川検事長辞任へ “官邸の守護神”最後の日を撮った
【写真】「検察庁法改正案」をめぐる最終攻防
【写真】検察庁法改正案“SNS抗議デモ”も意に介さず国会審議
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💛知らなきゃヤバい!スーパーシティ法について5分で解説!【せやろがいおじさん】
リテラ > スキャンダル > 不祥事・トラブル > 検察が河井陣営への“安倍マネー1億5千万円”で自民党本部関係者を聴取
検察が河井陣営への「安倍マネー1億5千万円」めぐり自民党本部関係者を聴取! 狙いは安倍首相の“自民党金庫番”への指示立証か
河井案里氏の応援に入った安倍首相(河井あんりtwitterより)
検察の捜査がいよいよ安倍マネーにまで迫ってきたということなのか。河井克行前法相、河井案里参院議員の2019年参院選をめぐる公選法違反(買収)の事件で、検察当局が自民党本部関係者を任意で事情聴取していたことが判明したのだ。
「一報を報じたのは、広島地検に最も食い込み、河井事件報道で抜きまくっている共同通信。今回も明らかに検察のリークを受けての報道で、確度は非常に高い」(司法担当記者)
検察が自民党本部関係者を聴取したとなれば、ポイントはもちろん、買収の原資となった1億5000万円だ。本サイトでも何度も指摘してきたが、2019年の参院選では、自民党本部から河井夫妻それぞれが代表を務める党支部に合計1億5000万円という異常な金額の選挙資金が振り込まれていた。自民党では候補者に配る選挙資金は1500万円が相場にもかかわらず、河井氏陣営にこの異常な額が振り込まれたのは、もちろん、2019年の参院選に河井案里氏を擁立したのが安倍首相だったからだ。
当初、広島選挙区からは自民党の重鎮で前職の溝手顕正氏だけが公認として立候補することになっていたが、溝手氏は第一次政権時に安倍首相の責任に言及し、下野時代には「過去の人」と批判したことがあり、安倍首相は横手氏のことを毛嫌いしていた。そこで、“2人区で2人擁立して票を上積みする”という大義名分をたて、溝手氏を蹴落とすための“刺客”として、側近の河井前法相の妻である案里氏を新人として立たせたのだ。
メディアではやたら、河井前法相が菅義偉官房長官の側近であったことが強調されているが、実は、安倍首相は菅官房長官以上に河井前法相を重用してきた。たとえば、河井氏は法相就任前、総裁外交特別補佐に務めているが、2016年の米大統領選後でトランプが当選すると、安倍首相は就任前に河井氏に渡米して地ならしすることを指示。トランプタワーでの安倍・トランプ初会談にも同行させている。問題の選挙の際も安倍首相の力の入れようは尋常ではなかった。自ら案里氏の応援に駆けつけたのはもちろん、自分の地元事務所秘書を広島の案里氏の選対に送り込んでいたのだ。「週刊文春」でも、自民党県議が安倍首相の地元事務所の筆頭秘書をはじめとし少なくとも4人の秘書が広島入りしていたことを証言、「溝手支持で決まっているところにも手を突っ込もうとして動いとった」とも語っている。
つまり、こうした安倍首相と河井前法相の関係の延長線上に出てきたのが、1億5000万円だったのだ。
実際、党本部からの1億5000万円の出入金記録をすっぱ抜いたのは「週刊文春」(文藝春秋)だったが、「文春」はその記事で自民党関係者と自民党のベテラン職員のこんな証言を掲載している。
「党の金の差配は幹事長マターですが、河井陣営への1億5千万円にのぼる肩入れは安倍首相の意向があってこそです」
「安倍首相の後ろ盾は絶大で、案里氏は党本部からの『安倍マネー』を存分に使うことができたのです」