衆議院予算委員会が28日午前、福田首相はじめ全閣僚出席のもとで開かれ、2007年度補正予算案の実質審議に入り、菅直人代表代行が午前、午後の計1時間半にわたって民主党・無所属クラブを代表して質問を行った。
菅代表代行は冒頭、「この国の形、国会と内閣、自治体との関係について議論したい」として、国民主権国家とは名ばかりで官僚主権国家ともいえる状況に陥っている日本の現状を取り上げた。あわせて、国土交通省の巨大利権ともいえる道路特定財源について、一般財源化を明言していた小泉元首相に逆行する福田内閣の姿勢を問題視し、「残念ながら今の福田内閣になってからは、本当の意味での改革が行われているとはいえない」と批判した。
本来、国民主権国家でありながら「官僚主権国家」という指摘があり、議院内閣制であるはずが「官僚内閣制」という言い方がなされる所以について菅代表代行は、内閣を補佐する専門家である官僚が、自らの立場の優位性を保つために首相、大臣、与野党幹部と自由に接触し、それらを分断する形でコントロールしていることに問題があるとした。菅代表代行は官僚と政治家との接触を厳しく制限している英国の事例をあげてその重要性を指摘するとともに、渡辺金融担当相の答弁からも同一の問題意識を引き出した。
続いて道路特定財源の問題に言及。今から50年前の1954年、貧困な状況下にあった日本では道路整備が必要であり、その財源確保のためにつくられた制度であると改めて説明。菅代表代行は、当時の考え方を妥当としながらも、現時点においては、国土交通省と一部道路族の巨大利権の温床に他ならない実態を問題視し、「54年たった今もなぜ道路だけを特定財源でまかなわなければならないのか」と指摘。病院や医師の確保、教育費の拡充、福祉環境整備など、それぞれの地域に個々のニーズがあるなか、道路整備費だけが特定財源化されている現状の不可思議さに言及し、「必要だということと特定財源でなくてはならないというのはかなりギャップがある」と語った。
「道路予算をゼロにしろと言っているのではない」と菅代表代行は重ねて訴え、一般財源化して各自治体毎のニーズに合った使い方をするのが妥当だとの見解を示した。その上で、「なぜ道路だけが特定財源でなければいけないのかご説明を」と、首相に迫った。しかし、首相は「道路に関する利益と負担が明確である」「自動車ユーザーという受益と負担が明確である」などと繰り返すだけで、何ら納得できる見解は示さなかった。
菅代表代行は、宅配便や公共交通などによって自動車の便宜を享受している人は国民・納税者全員といってもいい現状だと指摘。そうした現状を考慮すると、道路に限定する特定財源と位置づけることには本来理解は得られないと重ねて指摘した。
さらに菅代表代行は、道路族議員による道路特定財源のムダづかいの象徴ともいえる現地視察を行ったことを報告。福岡県八女市にある朧大橋で、40億円以上かけて山中に建設された豪華な橋だが、道の整備は完了しておらず、少ない交通量に留まっている現状に、その必要性が疑問視されているもの。道路族議員である自民党の古賀誠選対委員長の選挙区で、地元では別名「まこと橋」とも呼んでいる。その視察を踏まえて菅代表代行は「道路族の強いところ(選挙区)には豪華な橋もできる。そういうひずみが出ているのではないか」と問題提起し、道路特定財源の不透明な使い方を浮き彫りにした。
「とにかく、何度も申し上げたが道路が必要ないと申し上げているのではない、道路がすべてに優先する時代は終わった」と述べ、暫定税率を含む道路特定財源の廃止の必要性を重ねて指摘した。
http://www.dpj.or.jp/news/dpjnews.cgi?indication=dp&num=12578