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◆<東京新聞社説>ハマス首脳暗殺 紛争阻止へ自制を促せ

2024年08月02日 10時07分23秒 | ●YAMACHANの雑記帳
 パレスチナのイスラム組織ハマスのハニヤ最高指導者が訪問中のイランで暗殺された。ハマスとイランは「イスラエルの犯行」と非難し、イランは報復を宣言した。前日にはレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラの司令官がベイルート南郊でイスラエル軍に殺害された。
 パレスチナ自治区ガザでの紛争が中東全域に広がりかねない瀬戸際だ。国際社会は力を合わせて紛争拡大を阻止せねばならない。
 イスラエルのネタニヤフ首相はハニヤ氏暗殺への直接の言及を避けつつ、親イラン勢力に「壊滅的な打撃を与えた」と強調した。
 ハニヤ氏はイランのペゼシュキアン大統領の就任宣誓式に招待されていた。賓客を守れず体面を汚されたイランの衝撃は大きい。
 ヒズボラ司令官殺害はイスラエルが占領するゴラン高原への攻撃(12人死亡、ヒズボラは関与を否定)に対する報復だが、イスラエルの攻撃がレバノンの首都ベイルート近郊に及んだ点は深刻だ。
 ハマス内で穏健派だったハニヤ氏の暗殺により、米国などが仲介してきたガザ紛争の休戦交渉が暗礁に乗り上げるのは必至だ。
 首都近郊にまで攻撃が及んだヒズボラ司令官殺害も、国境付近に戦場を限る暗黙の了解を崩し、全面戦争を招く危険性がある。
 ハニヤ氏暗殺がイスラエルの犯行なら、イランの主権を侵害する国際法違反だが、より深刻なことは相次ぐ攻撃がイランを挑発していると受け止められることだ。
 イスラエルとイランの衝突は、イランが支援する各地の民兵組織「抵抗の枢軸」を巻き込み、中東全域に紛争を広げる恐れがある。改革派のイラン新大統領ペゼシュキアン氏は欧米との対話を志向しているが、緊張の高まりは和解に向けた機運をそぎかねない。
 退陣論が強まっているイスラエルのネタニヤフ首相は、イランを巻き込む形での紛争拡大は自らの延命に有利と考えているのかもしれないが、政治的冒険が断じて許されてはならない。
 4月のイランによるイスラエルへの攻撃は抑制的だったが、情勢は当時より悪化している。紛争の拡大阻止はもちろん、一日も早い終結に向けて、国際社会は当事国に自制を強く促すべきだ。

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