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★ロシアのウクライナ侵攻は米軍のイラク戦争とどう違うのか

2022年04月30日 11時20分20秒 | ●YAMACHANの雑記帳

国連憲章によれば国家が武力を行使できるのは自衛権の行使(51条)か、安全保障理事会が軍事的措置を認めた場合(42条)に限られる。今回、ロシアはウクライナから攻撃を受けていたわけではないから自衛権の発動ではないし、安保理の承認を得ていなかったから国連憲章違反の暴挙であることは明白だ。憲章を無視する国が常任理事国として拒否権を持つのは国連の機能を妨げるから、ジョンソン英国首相の報道官は「常任理事国からロシアを解任する案を議論する用意がある」と表明した。だが、この論者は2003年3月から米、英が始めたイラク戦争を忘れているようだ。米国は怪しげな亡命者の「イラクはなお大量破壊兵器を保有している」との言をもとにイラクを攻撃しようとした。国連は02年11月から核兵器と生物・化学兵器の2つの査察団を派遣、イラクの妨害を受けず米国などが疑惑の対象としたすべての地点を含む計978回の再査察を行い、03年3月7日の安保理で「イラクの核能力は1997年にすべて解体され、再開の証拠はない」「生物・化学兵器の備蓄や活動の証拠は発見できなかった」と報告した。

 このため安保理は米国が求めた武力行使容認決議をしなかったが、ブッシュ(息子)大統領は「米国が安全保障に必要な行動を取るのに国連の許可を得る必要はない」と国連を踏みにじる暴言を吐き、3月19日から米、英軍はイラクに侵攻、全土を占領したが大量破壊兵器は見つからなかった。

民間人16万人が死亡している

 イラク人は占領軍に対しゲリラ、テロで抵抗を続け、米国がつくった政府軍と戦い、そこに宗派、民族の対立も加わったからイラクは大混乱となり、米軍が8年9カ月後に撤退するまでに民間人16万人以上が死亡した。そのすべてが米軍に殺されたわけではないが、米軍の侵攻がなければ惨禍は生じなかっただろう。米軍は家探しをして反抗的な者を射殺、拘束し、アブグレイブ刑務所だけでも4500人が収監、拷問され、少なくとも250人は裁判も受けず、キューバのグアンタナモ基地で檻に入れられていた。ポンペオ前国務長官は下院議員当時、「拷問をする者は愛国者」と言ったことで知られる。こんな人物が他国の人権問題を語るのは滑稽だ。
第2次世界大戦で日本は死者310万人を出したが、うち80万人は民間人で、沖縄では民間人9万4000人、広島では14万人以上、長崎は7万人以上、東京大空襲では11万5000人以上が死亡した。米軍のB29による日本本土空襲の目標は当初は軍事施設と兵器関連工場が主だったが、1945年に入ると都市への無差別な焼夷弾攻撃が多くなり、民間人の犠牲者が急増した。その指揮官カーチス・ルメイ准将は戦後、大将、空軍参謀総長となり「航空自衛隊の育成に協力した」として1964年に勲一等旭日章を授与された。今日、日本政府がロシアのウクライナに対する無差別爆撃、ミサイル攻撃を非難するのは正当だが、同様だったイラク戦争では米国の愚行に加担したことを思い、ルメイ大将への叙勲のようなお追従になることは避けてほしいと感じざるを得ない。

田岡俊次軍事評論家、ジャーナリスト

1941年生まれ。早大卒業後、朝日新聞社。米ジョージタウン大戦略国際問題研究所(CSIS)主任研究員兼同大学外交学部講師、朝日新聞編集委員(防衛担当)、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)客員研究員、「AERA」副編集長兼シニアスタッフライターなどを歴任。著書に「戦略の条件」など。


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