沖縄県内に駐留する米空軍の兵長(25)が、16歳未満の少女に対するわいせつ目的誘拐と不同意性交の罪で、那覇地検に起訴されていたことが分かった。女性の尊厳を踏みにじる行為であり、断じて許されてはならない。
同時に、在日米軍専用施設の約70%が沖縄県に集中し、県民に過重な基地負担を強いていることや、米側に特権的な法的地位を与え、日本側の捜査権を制限している日米地位協定が、米兵らの身勝手な振る舞いにつながっていることも指摘せざるを得ない。
起訴状によるとブレノン・ワシントン被告は昨年12月24日、読谷村の公園で「寒いから車の中で話さない」などと少女を誘い、乗用車で自宅まで連れ去り、16歳未満と知りながら、下半身を触るなどのわいせつ行為をしたという。
地検と県警によると、県警が米側の協力を得て任意で捜査し、今年3月11日に書類送検。地検が起訴した同27日、日米地位協定に基づいて米軍が被告の身柄を日本側に引き渡した。7月12日に那覇地裁で初公判が開かれる。
不可解なのは、起訴を受けて外務省の岡野正敬次官が3月27日、エマニュエル駐日米大使に遺憾の意を伝え、綱紀粛正と再発防止を求めながら、県側に約3カ月間も連絡していなかったことだ。
今月16日投開票の沖縄県議選や23日の沖縄全戦没者追悼式に影響が出ることを避けたのでは、と勘繰られても仕方があるまい。
玉城デニー知事が事件を「県民に強い不安を与えるだけでなく、女性の尊厳を踏みにじるものだ。強い憤りを禁じ得ない」と批判したにとどまらず、政府の対応に「信頼関係において著しく不信を招くものでしかない」と問題視するのも当然だ。
沖縄では、米兵らによる女性に対する性加害などの犯罪が繰り返され、騒音被害や事故なども後を絶たない。米軍基地から派生する県民に対する人権蹂躙(じゅうりん)がこれ以上続くことを許してはならない。
日米両政府に対し、その根源にある沖縄への米軍基地集中や、日米地位協定の抜本的な見直しに着手するよう重ねて求めたい。
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