政権に対する「是々非々」路線を掲げてきた日本維新の会が正念場を迎えている。次期衆院選の前哨戦と位置付けた4月の衆院補欠選挙は全敗。23日に閉会した通常国会では、政治資金規正法の改正を巡る議論で自民党に接近し、改革の主導権を握ろうとしたものの、失敗に終わった。執行部は厳しい批判にさらされており、路線の修正を迫られる可能性も出ている。(大野暢子)
◆「後ろから仲間を撃つのは控えて」と党内に呼びかけ
「時には野党、時には与党と組まないと、存在感を発揮できない」。維新の馬場伸幸代表は26日の党会合で、オンラインで参加した地方議員や選挙区支部長ら約400人にこう訴えた。自民にすり寄っているとの批判を意識し、「最終的に単独で政権政党を目指す」と強調した。
一方で、党内の不満を見越し、「後ろから仲間を撃つのは控えてほしい。支持率が下がる」と引き締めを図った。
26日の会合は冒頭を除き非公開だった。藤田文武幹事長によると、出席者からは「結局は(改革を)勝ち取れなかった」「自民との対決姿勢を強めるべきだ」などと厳しい意見が出た。
◆政党支持率で立民に遅れとったまま
執行部が釈明の場を設けたのは、国会での対応が混乱や失望を招いたためだ。衆院で規正法改正の審議が大詰めを迎えていた5月、馬場氏と岸田文雄首相(自民党総裁)が電撃的に会談。政党が党幹部らに支出する政策活動費の10年後の使途公開などで合意した。
これを受け、維新は審議中の維新案を取り下げ、衆院では自民案に賛成。だが、党首間の合意事項とされた、国会議員に月額100万円が支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の改革が時間切れを理由に先送りされ、参院では反対に回った。
共同通信社の5月と6月の世論調査では、維新の政党支持率は野党第1党の立憲民主党に5ポイント前後の差をつけられている。選挙では衆院補選のみならず大阪府内の市長選でも敗北。来月7日投開票の東京都知事選では候補擁立を断念した。
招致を主導した2025年大阪・関西万博は、メタンガスが検出されるなどトラブル続き。費用膨張や準備の遅れも批判の的となっている。
維新幹部は「最大野党(立民)のまねでは存在感を示せないが、野党の役割を果たさないと世論から見放される。難しいところだ」と頭を抱える。
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