穴にハマったアリスたち

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酔いどれて踊り狂うカクテルパーティ

2010年05月27日 | 王様の耳はロバの耳
前々から疑問に思っていたことが、個人的に解決したので書いてみる。

身近にあるけれどいまいち理解できない現象は沢山あります。
その中の一つ、「カクテルパーティ効果」。
「カクテルを飲んで酔っ払うと、見知らぬ人相手であっても仲良くなれる=パーティを組める」という効果です。
すみません。嘘です。
本当は「カクテルパーティのような雑多な雑音が溢れている状況でも、自分の名前を呼ばれると反応することが出来る」現象のこと。

例えば仮に、花咲さんというお嬢さんを例に挙げて見る。

――友人に誘われて参加してみたカクテルパーティ。
流されて困惑してるように見せつつも、内心ではとってもウキウキ。
いつもよりも背伸びして、うっとり酔いどれて見たり。(注:雰囲気に、です。アルコールを飲むような子ではありません)
隣の会話も聞き取れないほどに雑音に満ちているけれど、不快ではないこの一時に大満足。
…と、不意に名前を呼ばれた気がして振り向いてみる。「花咲さん!」

どんな状況であろうと、名前を呼ばれたら反応する。
これ自体は不思議ではないです。経験的にも理解できるし、理屈としても分かる気がする。
納得できないのは、「花咲さん」という音が聞こえるということ。

「自分の名前が呼ばれたのだから反応する」と、「自分の名前を呼ばれたことが聞こえる」は似て異なります。
この例の場合、横で「はなさ…か爺さんって格好いいよね」という会話がなされていても、カクテルパーティ効果は発動しません。
(まぁ「聞き間違い」という現象も起こりえますが)

要は「は・な・さ・き」と名前が発声されてから明確に感知する。
ですが、最後の音が発声されたそのときには、最初の音は完了している。
つまり、最後の「き」しか聞き取れないはずなんです。

だけど音としてはちゃんと「はなさき」と聞き取れる。経験上、これは確かです。それが不可解だった。
神経速度と認識能力の微小なタイムラグだとか、これを利用すれば疑似的なタイムトラベルが可能なんじゃなかろうか、とか。
色々考えましたが、現実はいとも単純だった。

イリュージョンフォーラム(錯聴一覧)

早い話が錯覚だ。

知人に紹介してもらったサイトさんでの、各種の錯聴(錯視の耳バージョン)を聞くうちに、「音を勝手に補完している」という結論に至りました。
とりあえず「連続聴覚効果」と「音素修復のタイミング」あたりが関係していそう。
「自分の名前」という強力なワードならば、それくらいの修復はあっさりやってのけそうです。

謎が解けるとともに、人間の能力の高さに改めて唖然とすることしきり。
おそらく原初の人類(あるいは原初の生物)は、こういった補完能力を持っていなかったはずで、彼らの知覚していた世界は私らのそれとは全く違ったんだろうと思います。
(そしてそれが生存に致命的な影響を及ぼしたから、今の私らはこの能力を獲得したはず)

とりあえず謎は個人的に一段落したのですが、派生して気になったのが「未来の音も補正するのか?」というところ。
例えば「美翔さん」という娘さんで考えてみると、「み・しょ・ぶ・ん」というワードと「ひ・しょ・う」というワードでは、どちらが「自分が呼ばれた」と認識しやすいのか。
実際は文脈やイントネーションの差が大きいんでしょうけれど、「み・しょ…」と来て後ろを補完するのと、「…しょ・う」と来て頭を補完するのではどちらが起きやすいんだろう。

前半部分でも書いている通り、直感的には後者の方が「カクテルパーティ効果」を誘発しやすいような気がする。
というのも、前者は「もしかしたら自分の名前かもしれない、と無意識に反応するも、数瞬後には関係なかったと判断する→意識に上ることなくスルーする」ように思えるし、後者は「意識してなかったから聞き落としただけだ」と無意識に補完するお膳立てが整ってる。
この理屈は錯聴の理屈とも一致してる…ように見える。

実際のコミュニケーションで、応用できないことはない現象な気もするので、ちゃんと検証してみたら楽しいかもしれない。
コメント (1)
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