パラレルワールドの検討の第3回。否定面から2回書いたので、今度は肯定面から。
【パラレル王国】
パラレルワールド(歴史改変世界や、分岐世界)を想定した方が上手く説明できることもあります。
まず軽い内容でいくと、ジョージが語った「剣をとって戦った」や「王国」がそのまんまの意味で受け取れる。
トランプ王国のような異世界じみたパラレルならば、文字通り「剣を持った」野乃さん(仮)が王国で戦っていたんでしょう。
尤もジョージのあの語り口はいかにも寓話風ですから、言葉通りの「剣」「王国」にこだわる意味はあまりないはず。
「ペンは剣より強し」と言われて「ミサイルには負けるのか」みたいな会話をしてても不毛です。
【蠢く前髪】
大きなところだと野乃さんの失敗前髪に意味を持たせられます。
第1話にて野乃さんは前髪のカットに失敗。憧れのイケてるお姉さん姿になれなかった。その後の2030年でも失敗した前髪のままでいます。
【パラレル王国】
パラレルワールド(歴史改変世界や、分岐世界)を想定した方が上手く説明できることもあります。
まず軽い内容でいくと、ジョージが語った「剣をとって戦った」や「王国」がそのまんまの意味で受け取れる。
トランプ王国のような異世界じみたパラレルならば、文字通り「剣を持った」野乃さん(仮)が王国で戦っていたんでしょう。
尤もジョージのあの語り口はいかにも寓話風ですから、言葉通りの「剣」「王国」にこだわる意味はあまりないはず。
「ペンは剣より強し」と言われて「ミサイルには負けるのか」みたいな会話をしてても不毛です。
【蠢く前髪】
大きなところだと野乃さんの失敗前髪に意味を持たせられます。
第1話にて野乃さんは前髪のカットに失敗。憧れのイケてるお姉さん姿になれなかった。その後の2030年でも失敗した前髪のままでいます。
一方で、パラレルワールドの野乃さん(仮)の前髪は、野乃さんがやりたかったと思われる「イケてるお姉さん」風になっており、両者はデザインが明確に違う。
このことから「野乃さんのあの失敗前髪は、世界の分岐を象徴している」と言える。視覚にも非常に分かりやすく、シンプルに納得できます。
(「HUGっと!プリキュア 」第46話より)
未来不変説の場合、野乃さんは2030年のあと、何らかのきっかけで以前の憧れ「イケてるお姉さん」の前髪にした、となります。
これ自体は矛盾はないし、おかしくもない。出産・育児と慌ただしく、髪を切る機会もないままそこそこ伸びたので、この機会に「イケてるお姉さん」を改めてやってみたとしても変ではないです。
ちなみに漫画版によれば、野乃さんはあの前髪を気に入って続けているのではなく、毎度毎度、律儀に失敗し続け、結果的にあの髪型を維持していたようです。
それならば「じゃあこの機会にイケてるお姉さんに」と考えても、何ら不自然ではない。「不自然ではない」だけで、何かを綺麗に説明できるでもないので説としては面白さはないですが。
一応は「毎回失敗していたのは、変わらぬ未来を象徴していたからだ」ともいえるのですが、ぶっちゃけ「アニメコンテンツの都合上、髪型は変えられない」の制約と「それに説明を付けたお遊び」を殊更に自説に取り上げるのは、我田引水に思えます。それならば「世界の分岐の象徴」の方が自然で明快でしょう。
とはいえ問題もあるにはある。
【失敗のもたらすもの】
まず「世界の分岐を綺麗に象徴している」だけで謎の説明にはなっていない点。
「前髪を失敗した」のは世界設定の謎解きのためではなく、テーマ「挫折や失敗をしても立ち上がれる」の意味合いが強いかと思います。
野乃さんとしては失敗でも、輝木さんは「イケてんじゃん」と好意的だった。野乃さんが描いた「イケてるお姉さん」ライフとは違ったのだろうけど、それはそれとして未来を歩めた。失敗してもそれで終わりではなく、前に進める。
この時点で「前髪」はギミックとして成立していますから、「分岐の象徴」という意味合いを付加しても「上乗せ」にはなっても「新たな要素」にはなっていない。
ふたつめ。「前髪を失敗したから分岐した」のではない。「分岐したから失敗した」が正です。
ということは分岐により未来が変わる証左です。しかも視覚的に分かりやすく。
では「何でジョージは気づかなかったのか」が苦しくなってくる。「視覚的に分かりやすい」が長所の解釈なのに、「何でジョージには分からなかったのか」でジレンマに陥ってしまいます。
まぁ劇中人物と視聴者視点は違うと言えばそれまでですが…。
もう一点。野乃さんは失敗前髪により何かが変わったのではないこと。
野乃さん自身は「転校してから性格が変わった」とか「はぐたんや前髪の件がなければ孤立していた」のではないです。
私の印象として、パラレル説では「野乃はな(仮)は孤独に戦っていた」前提の物が多いように見えるのですが、例えばはぐたんがいなかったら薬師寺さんは野乃さんをいじめていたのかというと、そうじゃないはず。
はぐたんが来ても来なくても、前髪を失敗しても成功しても、野乃さんは転入先でいじめられたり孤立したりはせず、普通に友人を作っていたと思われます。(輝木さんとは距離がありそうですが)
例えばこれが「ハートキャッチ」の花咲さんだったら、髪型を(来海さんに言われて)変えたことにより、それまでの自分の生き方とはチェンジしています。
しかし野乃さんはそうではない。バタフライ効果的に未来に影響は与えたかもしれないけど、前髪を失敗したことで野乃はなという人物が内向的から外向的に変わったとかではないです。
つまりは「失敗前髪は分岐の象徴」の解釈は、アイコンとして分かりやすいが、謎解きやストーリーにつながらない。
綺麗に説明でき過ぎていて、そこから膨らまないとも。
【前髪の世界線】
後半、反論じみた書き方にはなってしまったけど、全体としては「失敗前髪」は「パラレルワールド」を想定した方が、綺麗だとは思います。
アニメージュ2019年2月号の川村敏江さんのインタビューで下記の言及があります。
『(46話の女性は)キャラ表は作っていませんが、転校前の「髪が長かった頃のはな」の成長後の姿になります。今のはなとは、別の世界線のはなということでしょうね』
この回答自体は「未来不変」でも説明はできます。
成長後の姿を「今の野乃はな」ではなく「転校前」をベースに描いた。今のはなの延長線上ではない(イメチェンしている)のだから「別の世界線」。未来不変の前提でも齟齬はない。
(この後に続く、はぐたんへの言及も同様)
とはいえ、普通に読んでそのまま受け止めるなら、川村さんとしては平行世界を念頭にデザインされたと考えるのが自然でしょう。(「世界線」という語は誤用の方がメジャーなので、真意が若干ややこしい)
したがって前髪の失敗については、パラレルワールドを想定した方が分かりやすい。
以上、私としては「未来不変」説を支持していますが、「平行世界」説の長所にも触れてみた。
参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)