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「時間の牢獄」: HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2023年03月08日 | ハグプリ最終回考察
「時間が止まる」という現象が何なのか分かりません。


(「HUGっと!プリキュア」40話より)

未来へのタイムトラベルは、現実世界でも普通に可能。
過去へのタイムトラベルも、理論上は否定はされていない。
だから一応はイメージはできる。

では時間停止はといえば、「時間停止=全ての物体が静止している状態」であるなら、不確定性原理とかその辺が理由で起きえません。
時間は止まらない。というか、そもそも時間は流れていないとも言える。

フィクションなんだから原理は無視するとしても、物語に関わる疑問がいくつか沸きます。

【素朴な出発点】
仮に2043年冬に世界全体の時間が止まるとして、43年夏のキュアトゥモローが、2018年に助けを求めてやってきた。
ストーリーとして違和感はない。

仮に時間停止が2030年だったらどうだろうか。
2043年のキュアトゥモローが、2030年に世界全体の時間が止まってしまったので、2018年に助けを求めてやってきた。
これは不可能じゃなかろうか。

2030年に時間が止まってるんだから、2043年は存在しない。もしくは凍り付いて動けない?
いずれにせよ「2043年からトゥモローが来た」のであれば、2030年には時間は止まっていません。

この理屈は2030年に限らず、トゥモローがタイムトラベルする以前の時代すべてに当てはまります。
よって2018年の最終決戦でも、時間は止まらないことは確定している。ジョージたちは当たり前にここに気づくはずです。
(というか、2043年に自分たちが動き回れてるんだから、過去に時間停止がされていないのは明白)

※パラレルワールドや歴史改変を想定すれば解消できますが、世界の真相がなんであれ、ジョージ本人は「歴史は変わらない」と確信していますから、上記の思考になるはず。

【時間の矢】
もう少し理屈面で考えてみる。

トゥモローさんの人生を表す、時間の線(矢印)を想像してみよう。
この線上の「2030年」「2031年」「2032年」…「2043年」のそれぞれに無数のトゥモローが存在します。
「過去の自分に出会う」といった現象を説明するには、このイメージがおそらく最も単純です。

では「時間停止」の逆である「時間が流れる」とはどういことか。
これも最も単純なイメージは「時間の線上の無数のトゥモローが、一定の速度で未来に向かって並んで動いていく」だと思います。
2030年のトゥモローは1年後には2031年のトゥモローになり、31年のトゥモローは32年のトゥモローになる。

ただこのイメージは、時間停止を考えるとおかしなことになる。

仮に2043年に時間が止まったとする。
2043年のトゥモローはそこで停止。
その1年後に2042年のトゥモローが43年に到達、凍り付いた自分を見た直後に停止。
2年後に2041年、3年後に2040年のトゥモローが43年に至り、続々と停止していきます。
その後時間が再開すると、各時間に一人ずつだったはずのトゥモローが、2043年だけ大量発生してしまう。

タイムトラベルも同様で、2043年のトゥモローが2018年に戻ったとして、その1年後には2042年のトゥモローが43年になり、18年目指してやってきてしまいます。
「1年後」とは書きましたが、2018年の野乃さんにとっては「現在」ですから、次から次へと大量のトゥモローが押し寄せてくることになる。
もちろんそんなことは描写されていない。故におかしい。

※「2018年」にタイムトラベルしたのではなく、「25年前」に戻ったのだとすれば、一応は解消はできる。この場合、パラレルワールド(多世界解釈)になる。ただ説明が複雑になるだけで、やっぱりおかしなことにはなってしまう。

【矢は飛んでいない】
これらを踏まえると、実際の描像として下記が考えられる。

仮説(1) 「時間が止まると過去・現在・未来の全てが一斉に止まる」
時間停止が起きたのが2043年だとして、2030年や2018年も一斉に止まる。
これなら先ほどのトゥモロー大渋滞問題は回避できます。ただタイムトラベル時の不可解な挙動は解決しない。

また、物語上は別の問題が発生します。
どの時間で止めても全てが停止するのなら、決行する年代はいつでも良いはずです。
トゥモローが過去に逃げたのなら、放置してそのまま2043年で時間を止めればよい。わざわざトゥモローを追いかける必要がない。
(時間停止にミライクリスタルが必要だったから…は当初だけで、最終的には関係なく自力で止めています)

※素直に考えるなら、ジョージにとって2018年が特別な年だったんでしょう。これについて、まとめられたら別記事にしてみる

仮説(2) 「各時間のトゥモローは最初から止まっている」
時間の線上を並んで進んでいるのではなく、各時間にトゥモローは立ち止まっている。止まっているトゥモローの主観だけが時間を巡っていて、「時間が流れている」かのように錯覚している。
各時間の全てのトゥモローは、それぞれ「その時点に至るまでの過去」の記憶を持ち、「今後起きる事柄」の瞬間的な変化を目にしているため、「今まさにこの瞬間」こそが唯一の現在だと認識し、それが連続するため時間が流れているように全員が認識します。

回りくどい遠回りになりましたが、現実の物理学や哲学でも、そのような理解をしているらしい。古くからあるゼノンのパラドックスなど。
物語としての整合性から考えても一致するのだから、多分これが現時点では真相に近いのだと思う。

なぜ時間が流れているかのように錯覚するのかは色々と仮説があるようですが、ひとまず「脳の誤認識」を採用します。
それならば誤認するその脳の機能を停止させれば、時間は止まる(流れているように認識できない)。

クライアスがやっていたのは、「物体を凍り付かせて動けなくする」のではなく、「認識能力を狂わせて(正常化させて?)時間の流れを誤認できなくする」。
個人の主観の問題であれば、「トゲパワワが増殖して絶望すると止まる」描写と一致します。

この理屈ならば、全員を止めねばならないのも分かる。
未来が消えるわけではないので、時間の流れを認識(誤認)できる人にとっては、変わらず変化が起きるのが見えてしまいます。だから全員を止めた。
一方で、地球を観測できない存在には関係がないので、宇宙全てを止める必要はない。

【人生の終わり】
まぁこんな設定があるとは到底思えないのでお遊びでしかないですが、本題はこれが現実の我々にも当てはまることです。

私たちは「今この瞬間」が過去から脈々と連続している現在だと認識せざるを得ません。
が、仮に自分の生涯の時間がランダムに再生されたとしても、おそらくはそれに気づけません。
2020年が再生されたら、その時の自分には2020年までの記憶しかない。何の違和感もなく、2020年が「現在」だと認識する。
2030年、2040年、2050年等でもすべて同じ。人生が実はランダム再生されていたとしても、今のこの瞬間の認識と矛盾しない。

もっと踏み込むなら、ランダム再生のように「再生し終わったら終わり」と決めつける理由もない。
過去・現在・未来はすべて同時に存在していて、それぞれの時代の自分が「今が現在」と認識しているのであれば、死んだ後も延々と繰り返せます。
2100年に死亡した、その瞬間の主観にとっては「死」で終わりですが、2090年や2080年がなくなったわけではないので、変わらず当時の主観は「今が現在」と認識を続ける。
特に、時間の流れを誤認する原因が「脳」であるならば、脳のその機能が停止した瞬間は、時間の束縛から逃れられる可能性がある。走馬灯はいかにもそんな感じです。

この理屈でいくなら「死なない」(延々と同じ人生を繰り返す)が、世界の実態なのかもしれない。仮にそれが正しかったとしても、何を変えられるわけでもないので、意味はないのですけれど。

【参考】
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

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