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(第45話/最終回)デリシャスパーティ♡プリキュア「デリシャスマイル~! みんなあつまれ!いただきます!!」感想

2023年01月29日 | デリシャスパーティ♡プリキュア
■(第45話/最終回)デリシャスパーティ♡プリキュア「デリシャスマイル~! みんなあつまれ!いただきます!!」感想


(「デリシャスパーティ♡プリキュア」第45話より)

【1】
フェンネルさんの返答やいかに…と待った1週間でしたが、彼から具体的な語りはありませんでした。
なので思い込みを先行させながら、考えてみる。

彼の願い「ジンジャーの愛を独占したい」は叶わない。愛は無限であるが故に、その全てを一人では受けきれません。
和実さんのお祖母ちゃんが街中から愛されていたように、親が遠くで働いているように、愛そのものは無限でも、個人が受け取る量は減ってしまう。
でも独占して受け取っていないからといって、愛まで制限がかかってると思うのは間違い。

39話の「娘のために手作り料理を頑張る父」も、綺麗ごとで言うなら全リソースを調理に注ぎ込むのが「正しい子を愛する姿」とも言えますが、それでは実際の生活は回らない。適宜「手を抜く」(手料理以外にリソースを使う)としても、愛まで減ったわけではない。

①ある特定の料理ーースペシャルデリシャストーン
②レシピーースペシャルデリシャストーンの製法
③調理者の愛ーージンジャーの愛

この構成で考えて見ると、①は有限。③は無限。②は先達から引き継いで、時代に合わせ発展させる(和実さんのスポーツ少女、おでん少年の回参照)。

①を独占できないことを理由に、フェンネルさんは③を疑った。
そして②を奪い、①ごと独占を図ったのですが、これは果たせない。③が無限なので②は苦しみながらも生まれ続け、①もなくならないから。

フェンネルは②の継承に成功しているのだから、そこをもっと重視すればよかった。
彼が作る①は、ジンジャーさんのそれとは違っています。ただ、正しく運用してさえいれば、劣化版ではなく「ジンジャーの想いを受け継いで、今に合わせてより良くした」のであり、ジンジャーが望んでいた形でしょう。和実さんがお祖母ちゃんの言葉の丸コピーから脱して、自分の考えを込めだしたように。

【2】
別の視点でいうと、仮に①をフェンネルが独占的に継承していた場合、②の取得には至らなかったかもしれない。作る必要性がなく、満たされてるんだから。
あるいは、ジンジャーの愛は無限なのだから結局は独占できず満たされないのか。

ナルシストルーやセクレトルー、和実さん以外のプリキュアの面々も、同様の文脈で考えられると思う。
ケーキのシーンを見るに、ナルシストルーは小麦アレルギーを持っていそうで、①「ケーキ」そのものは食べられない。
そこで③まで疑って嫉むのではなく、「ケーキ」の独占は無理だと認めて、②「レシピ」を工夫し、アレルゲン除去した①「ケーキ」を作る。その方向を目指すのが前向きだったと思われます。

セクレトルーは逆方向からで、③は十分にあるが②を実現するスキルがなく、①が不完全になり、それが許せない。①が不完全だと、彼女的には③も疑わしくなってしまう。
②は本来はただの手段(であると同時に個々の手段には思いが込められている)ですから、自炊が苦手ならテイクアウトでも良かった。図らずもジェントルーが負け戦後にやっていたことは正解だった。

【3】
映画の重要ワードである「お子様ランチ」でいえば、「ハンバーグが大好きだからとハンバーグを独占してそれだけを食べてたら、おなか一杯になってしまって他のものが入らず、ハンバーグも結局は全部は食べきれない」とか。
スペシャルデリシャストーンを独占して継承していたら、それ以外のジンジャーの愛を受け取る余裕がなくなり、製法の会得もできなかったかもしれない。
だからお子様ランチのように、色々な種類をたくさん食べる。子供っぽいかもしれないけれど、そうやって土台を作る。

作り手の想いの方にフォーカスすると、ド派手なお子様ランチとは真逆ともいえる「おむすび」になるのかな。
料理としては超シンプル。だからこそ、作り手の想いが直接的。手で作り、手で食べるので温かさが伝わりやすい。

マリちゃんの孤立結界はどう解釈すればいいのかしら。
「一人で戦おうとするマリちゃんの元に、壁を突破して和実さんが駆けつける」から始まったので、「街の人たちと一緒に戦う展開の前振り」とも予想していたのですが、違ったっぽい。「結界の中で戦うプリキュアたちが大ピンチ⇒街の人たちの声援が壁を越えて届く」みたいなのではなく、壁を無効化したのはブンドル団側でした。

ただ「プリキュアたちが孤立した環境でピンチ⇒みんなの応援(招き猫)が届く」ではあったんだよな。
「明白な壁がなくても我々は孤立している。しかし声援は届く」とか、「良かれと思ってやっていた壁が不本意に消失したが、結果的にそのおかげで声援が届いた」とか?

ラストの別れの言葉からも、マリちゃんはかなり抱え込むタイプと伺えます。「抱え込む」のは言い換えると「悩みを独占する」。フェンネルと構造は似ています。それならば後者かな。
「民間人の娘さんらが突入してきてプリキュアになった」時点で、申し訳なく思うのではなく、「そうか、孤立せず皆で協力して戦うのが良いのでは」と結界戦術を破棄していれば、もっと早く解決したのかもしれない。というかもしかして、結界を張っていたせいで蓄積装置が危機を感知できず、発動が遅れたんじゃ…?

今作は噛めば噛むほど味が出る構成になってる気がします。
私が上手く言語化できないだけかもしれないですけど、ビシッと明確な1本のテーマがあるというより、味が染みこんだような感じというか。
1年間、ありがとうございました。

【20周年】
「プリキュアは初期視聴者の年齢とテーマがリンクしている」説に則ると、今作は20代半ば。新社会人からの脱皮を目指すあたり。

直面する課題として考えられるのは、時間や体力気力の制約で、一つのことに打ち込めない/一つのことを独占できない等。
交友関係が疎かになったり、自分ひとりで回せる仕事量を超えたりとか。
学生時代なら毎週デートしていたのが、月一になったり、たまにリモート通話したりに減ってしまう。でも独占に拘ると両者ともに苦しくなる。
フェンネルさんの事情に置き換えられそう。

来年はいよいよ20周年。新成人や就職活動の壁(15周年)を乗り越えたその先の話です。
デフォルトが丁寧語(主役格ではブロ子以来の二人目?)なのも良いですね。
15周年のハグプリはいまだに考察を書き続けてる(記事一覧)ぐらい好きだったので、20周年のひろプリさんにも期待が高まります。

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