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(第44話)デリシャスパーティ♡プリキュア「シェアリンエナジー!ありがとうを重ねて」感想

2023年01月22日 | デリシャスパーティ♡プリキュア
■(第44話)デリシャスパーティ♡プリキュア「シェアリンエナジー!ありがとうを重ねて」感想


(「デリシャスパーティ♡プリキュア」第44話より)

招き猫に象徴される「ありがとう」の気持ち。ほかほかハートが世界中から満ち満ちて、ゴーダッツ様への反撃の狼煙となりました。
愛は無限。ありがとうは無限。重ね合う気持ちは、誰にも奪えない。

…のだけれど。

フェンネルが苦しんでいたのは、正にそこです。
愛が有限だったなら、まだいい。独占できる可能性があるから。
しかし無限となってしまうと、彼の願いは本質的に叶わない。

これは、ちょうどプリキュア視聴年齢のお子様の何割かが直面する悩みと同じです。
弟や妹が生まれて、それまで自分の絶対の存在であったはずの両親が、弟妹にとられてしまう。

親の愛は無限。我が子に順番なんかない。
理屈としてはそうでも、すんなり納得できる子ばかりではありません。現に自分に割いてくれる時間は減ってるし、自分が一番であって欲しいんです。

ゴーダッツ様:
「なぜだ。なぜわたしのものにならない!わたしを選ばない!」

3,4歳の子が、弟妹が生まれてかかりきりになってるパパママを見ながら、うずくまって泣いている様子を想像してみよう。親の愛が無限であることは、その子にとって救いにならない。
しかもフェンネルの場合、親(に相当するジンジャー)が他界しています。今や真意を確認することもできない。
幼い弟妹ばかり可愛がっていた(ように見える)親が、6歳ごろに他界したとして、その子の記憶の中で「自分も100%愛されていた」と思えるのか。

※詳細は違いますが、表面的には「GoGo」のムシバーンの苦悩に似ています。高級料理に価値を置く彼が恋した相手は、駄菓子的な価値観を持つ女王。絶対に満たされない。だけど、ではどうすればいいというのか。自分にも価値観があり、現に飢えている。それを曲げて歩み寄れと?どうして自分の気持ちだけが分かってもらえず、自分だけが苦しみを我慢せねばならないのか。

思えば、(特に和実さんのメイン回では)現実的なリソースの限界を扱っていたように思えます。
スポーツ優秀な娘さんのために毎食手作りしたくても、実際の問題として時間の制約がある。
おでんが好きだといっても、野球だって好きなんだ。
自分の好きな何かに無条件で全てのリソースを投入できるかといえば、違う。そしてだからといって、それを愛していないわけでもない。

こういった現実的なリソースの限界は、愛そのものの限界は意味しない。
和実さんは「ありがとう」の気持ちを述べていらっしゃる。表面的な限界に囚われて嘆くのではなく、十全には満たされないことを受け入れて、愛されていたことに感謝の気持ちを持とう、といったところかしら。

感謝の気持ちは重なり合って、別の形になって自分にも帰ってくる。平たく雑に言えば、「子供が求める、世界の中心的な自分だけの愛」を卒業して、「与えあい分け合う愛」に成長しよう。そうすれば、当初望んだのとは違った形かもしれないけど、回りまわって愛される。そうなれば実現面で見ても愛は無限だ。

映画のケットシーも、その文脈で見返すと発見がありそう。
彼は親に裏切られて、子に隔絶空間で無限の愛を注ごうとしていた。
ケットシーが「毒親」(謎の秘密組織)にありがとうの気持ちを持つべきなのかは疑問もありますが、今の彼があるのは謎組織のおかげなのも事実なので、全否定して呪ってばかりなのもどうかとは思う。

芙羽さんの一人飯、らんらんの異様な独り言、会長さんのジェントルー案件、ナルシストルーの食事制限、セクレトルーの完璧になれない問題等々も、「100点満点の理想状態は望めない」「それを受け入れる」に通じます。
この文脈でいくと拓海くん、失恋してしまいそうで気の毒ですが…。

フェンネルさんからの返答がまだなので、期待して待ちたい。

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