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ドキドキ!プリキュア 第32話「マナ倒れる!嵐の文化祭」

2013年09月21日 | ドキドキ!プリキュア感想
【今年のくどまゆ】

明日はくどまゆさんの誕生会ライブです。みんなで行こう。

■ドキドキ!プリキュア 第32話「マナ倒れる!嵐の文化祭」

文化祭がやってきました。
相田さんは倒れました。過労です。
大混乱に陥る大貝中。「幸福の王子」に頼り切った末路がこれか。

だけど大貝中の生徒は、ただただ宝石を甘受するだけの無力な民ではなった。
相田さんの雄姿を胸に立ち上がった彼らは、無事に文化祭を成功に。
更には現れたるジコチューにも自発的に応戦。

それを見た相田さんも再び戦線に。
リソースを受け取った街の人々からのリンクのフィードバック。
「幸福の王子」の戦いは、無駄でも無為でもなかった。

というお話。

【ドキドキさん】

大幅に遅れてしまってるので、感じたこと主体で。

今回のお話で「ドキドキ」さんのテーマ的なものはほぼ決着。
「助けることによるリンク」「助けた人たちからのフィードバックリンク」。
ここから更に展開があるかもしれませんが、素敵な着地だったと思う。

「幸福の王子」は物を与えただけ。
ですがそれが悪いことだとか、偽善だとかなのかというと、違う。
現実の問題として、「幸福の王子」は金銭的価値のあるものを持っており、一方で街の人たちはお金を必要としていた。

もしも「幸福の王子」が「よし僕の知性を活かして教育を行うぞ」と思ったとしても、街の人からしたら余計なお世話です。
いいから金をくれ。明日のパンも食えないのに、何を悠長なことを言ってるんだ。
まずはリソースを追加する。個人の能力向上は、それから後の話。

残念ながら童話「幸福の王子」のラストは、王子は焼却され、心臓を天国に連れて行かれてしまいました。
だけどもしかしたら、こんな続きもあったのかもしれない。
王子の配った金粉により資金を得た街の人たちは、それぞれが事業を興し、街を裕福にしたかもしれない。
作曲家は貰った宝石のおかげで一人前になれ、王子を称える曲を作ったりしたかもしれない。
そしてそのうち誰かが言いだす。よし、「幸福の王子」を再建しよう。あれは街のシンボルだ。

ただこの発想には問題がある。
街の人たちが、ちゃんとリンクを返してくれないと、成り立ちません。
実際、童話の街の人たちは、描写される範囲内では冷たかったのですし。

相田さんは微妙にそれを感じ取られていたように思う。
特徴的なのは、相田さんが弟子をとり、ソフト部の助っ人にいった回。
あの時相田さんは、弟子に直接的な教育はしませんでした。
ソフト部に対しても、チームとして戦いの大切さを認識しておられるのに、「自分の持つ技術を伝授しよう」の方向にはいかなかった。
わざわざ手とり足とりは教えない。その姿勢の裏には「リンクが返ってこない」「この人たちは立ち上がらないのでは」という漠然とした不信があったんじゃなかろうか。

もしかしたら相田さんは、全プリキュアの中で、最も人を信用できない娘さんだったのかもしれない。

【OP】

第1話公開時から話題になったOPの歌詞。

 『君を信じる。ために戦う』

このタイミングで流れるOP映像が、「ハートさんがたった一人で大群に立ち向かう」なのも含め非常に印象に残る。

意味としては『君を信じたい。そのために戦う』と『君を信じている。それゆえに戦う』の両方があるのかな、というのが私の考え。
「信じる」のが結果なのか原因なのか。同じようで厳密にはかなり違う。
自分がどちらの状況なのかは、おそらく相田さん自身にも分かってない。

2番の歌詞も、今聞くとかなり意味合いが違います。
「相田さんが誰かを励ましてる歌」かと思ってましたが、「相田さんが自分を鼓舞している歌」と考えた方がしっくりきます。
自分が助けたことにより、誰かが自分を助けに来てくれる。でもそんな日が本当に実現するのか。
相田さんの孤独感が胸に刺さる。
君を信じる。ために戦う。曇り空の日も、一人で雨宿りする日も。世界を様々な角度で見てみれば、きっとそこには希望があるはず。

【ED】

新EDの「ラブリンク」。
大問題作です。
凄まじくロマンチックで、絶望すら感じる。

 『君をもっともっと知りたいな』
 『夢中なことを知りたいな』

 『本当の気持ちを諦めなければ』
 『奇跡起こるよ。今走りだせるよ』

 『夢をずっとずっと見ていたいな』
 『明日を皆で迎えに行こう』

 『君と小指を結んで約束しようよ』
 『涙の日も太陽見上げよう。一緒に』

 『自分自身の言葉で話しかけよう』
 『大切な友だちになれるよ』

何がおかしいって「他の誰か」を全面に押し出してる。

例えば「ハートキャッチ☆パラダイス」なら、自分自身がチェンジしていけばいい。
ところが「ラブリンク」は、他人も一緒にチェンジしないといけない。

例えば「キラキラしちゃってMy True Love」なら、自分自身が夢の続きを探しにいけばいい。
ところが「ラブリンク」は、その夢が他人を含んでいる。

これがどれだけ難易度があがることか。

(「ハートキャッチ」や「キラキラ」が劣る、という話ではないです。念のため。
 花咲さんは「チェンジして追いかける」側ですし、夢原さんは自身の夢を叶える行為が他人の支えになる話。
 なので、テーマと曲はちゃんとあってる)

もしも、一緒に夢を叶えようと、自分と歩んでくれるような人がいなかったらどうすればいいんだろう。
花咲さんと出会わなかった来海さんを想像してみよう。
あるいは「スイート」さんの抱えていた「そもそも共有体験がない人はどうすればいいのか」問題に類似しています。

元々「ふたりいないと変身できない」から始まったプリキュアさんですので、他者の存在を必要としてるのは今までも同じ。
でもここまで全面に強調されると、かなり胸に刺さります。
とうとう「私たちはプリキュアになれるのか」から、「私たちの周囲の人もプリキュアになれるのか」に突き進んでしまった。

【NS2】

春公開の「NS2」は、「スマイル」さんの完結編として非常に良かったと思います。
メルヘンに憧れた少女が、メルヘンを引き継ぐのは自分だと気づき、メルヘンを実現し、その姿を見た次の世代がまた戦う。
最後まで折れなかった星空さんの姿に、エンエンが感銘を受けるのは名シーン。

一方で「ドキドキ」さんもちゃんとテーマに即してた。
助っ人としてやってきたはずのドキドキさんは、主戦場とは程遠い森の中で、孤独に奮戦。
結局、助けにいくはずだったスマイルチームに、逆に助けられる有様。
だけどスマイルチームが来てくれたのは、ドキドキさんがエンエンらを助けたから。
助けた。だから助けがやってくる。

ラストで巨大なクモに立ち向かった時も、ドキドキさんらは単独で挑んでる。
だけど振り向けば、そこには歴代の先輩方の姿が。
私たちは一人じゃない。プリキュアとして戦ってるのは、私たちだけじゃない。

「NS1」が個人がプリキュアになる話だったとすれば(だからスマイルチームは単独でラストバトルしてる。勝てないようならプリキュアじゃない)、「NS2」は周囲がプリキュアになる話。
そもそも自分個人がプリキュアになることすら覚束ないこの現実なのに、周囲の変化まで求めてくるとは「プリキュア」さんは本当に容赦ない。


(左画像)
ドキドキ!プリキュアボーカルアルバム1

(右画像)
ドキドキ!プリキュア キュアドール! キュアエース

ドキドキ!プリキュア 後期エンディングテーマ(DVD付)


私事ですが、無駄に年も食ったせいで、職場で人に指示を出す立場になってきました。
そうすると上記のようなことを悩んでしまう。
一人でなら、いざとなったら徹夜でも土下座でも肉弾戦でも挑んで全力疾走すればなんとかなった時代から、他人を想定しないといけなくなってきた。

「ラブリンク」を聞いていると、「どうか一緒に立ち上がって欲しい」という絶望的な願いが聞こえてくるようです。
現実の社会では、過労で倒れてしまっても、周囲は立ち上がってはくれない。
そんな状況を「世界を変えるよハッピーラブ」とばかりに変えられるのか。相田さんの背中が、すごく遠く感じる今日この頃です。

【蛇足】

放送当日の更新が難しくなってきてますが、Twitterではほぼリアル更新してます。
お暇がありましたら、こちらもよろしくお願いします。

https://twitter.com/RubyGillis

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