まやの部屋

過ぎていく一瞬 
心に浮かんだことや気になることを書きとめる日記

こころの相続  五木寛之

2020-10-16 11:49:51 | 読書
 タイトルに惹かれて読んだ。
五木寛之ももう80代だそうだ。今までの著書をたくさん読んだわけではないけど、「親鸞」は面白かった。
 それに比べると、この本は軽いエッセー集。すぐに読めるし、内容もタイトルから類推するもの。
でも、今までよく知らなかった著者の生い立ちが詳しく記されていて興味深い。戦時中に大陸に渡り、終戦後引き上げてこられたそうな。大変な苦労をされている。戦争のことを知る人はもうほとんどいない。私の母ももういない。母は歳を取ってからでも、何度も救急車のサイレンを聞いては戦争中の空襲のことをおもいだしたらしくおびえていた。今朝の朝ドラでも流していたけど、体験した人はいつまでもその記憶から逃れられないんだな。
 私が阪神淡路大震災で被災したときも、我が家に母が陣中見舞いに来てくれて、周りの様子が空襲後の様子を思い出させたようで、私の家に着いた頃にはすっかり不安げにおびえていた。家の周りの様子がまるで空襲の後みたい、と言っただけで二度とその後は私の家に来ようとしなかった。

 この本で言う"こころ"とは、広い意味での文化だと私は解釈した。日本の伝統文化を継承していきたい、と著者は願っているのだろう。そして、それは難しく考えることではなく、親から昔の暮らしやどのように育ってきたかを聞くことだ、と。
 そう言えば、私の父は戦争のことをあまり話したがらず、しつこく聞くと外地に行かなかった、とだけボソッと言ったけど。一緒に訓練を受けた人たちは船で外地に向かっている最中にその船が沈められたとか。多分それで言いたくなかったんだろう。今となっては聞くすべがないけど。
 戦争は知らないけど、大震災を経験し、今度のコロナ禍に巡り合わせ、やはり大変なことには違いない。子供や孫世代はこれらは歴史上の出来事になるのかもしれないけれど、生の声を話して聞かせるのもやはり必要なことなのかも。ニュースやメディアが残す記録とはまた違った個人の視点があるのだから。
 とは言え、話をするには落ち着いた環境と時間が必要だね。まずはそっちからか・・・トホホ(´д`)
 


沈黙博物館 小川洋子

2020-06-16 09:17:52 | 読書
 今年のお正月、大学時代の親友を誘ってランチした。中華料理はとても美味しかった。コロナが中国で話題になりつつある頃だったので少し躊躇したけど。その後、神戸の街を歩いた。トンボ玉ミュージアムというところに行った。何せ真冬で港の近くを歩くのはとても寒いので、どこか建物の中へ入りたかった。
 たいへんこじんまりした博物館。しかしながら、たいそう昔のトンボ玉(確かアフリカかどこかの数千年前のものだったかなあ)から展示してあり、興味深かった。現代のトンボ玉のコーナーが実に充実していて、今の技術でこんなものができるのかと感心した次第。
 さて、本題。博物館に普段行くことは正直あまりない。しかし、旅に出たときは寄ることが多い。東京・大阪・京都などの国内の大型博物館を始め、大英博物館、スミソニアンなど海外の博物館にもずいぶん行ったなあ。昔のものを見てみたい、人はどうやって生きてきたのか、生き延びてきたのか、コロナの今となっては確かに興味はある。今ある私たちは昔からの積み重ね。数千年、もしかしたら数万年前から延々と細々と生き延びてきたから。
 小川洋子さんのほとんど全ての本に流れる共通のテーマの一つ。それが人の死。この本でも人が死んだときに残した、その人を表すのに一番適切なものを盗って展示する、私設博物館の話が語られる。ヨーロッパのどこかの街にある由緒正しいと思わせるだだっ広い洋館の持ち主(高齢お婆さん)の依頼で、そのお屋敷を博物館にする仕事を引き受けた男のお話。出てくる人も場面設定も現実にはあり得ないファンタジーの話だけど、いつの間にかその話に引き込まれて読まされる。ふと気づくと自分ならどうだろうか、と考えさせられる。
 市井の人が死んだときに何を残すか、ではなく、その人が生きた証は何か。素晴らしい彫刻でもヒエログリフでもなければ、キラキラ黄金のお面でもない。沢山の名もなき人たちのどこにでもありそうなもの。
 一人一人の人生が積み重なって歴史は作られていくのでしょうか。
 


ミッシェル・オバマ Becoming (邦題:マイストーリー)

2020-05-19 09:37:14 | 読書
 長くかかったけど、やっと読み終えた。全編に流れる厳しさと優しさがないまぜになった、一種爽やかな感覚。やる気にさせる内容だ。読後感はとてもいい。お勧めの一冊。
 アメリカ大統領夫人と言えば、近年ではヒラリーさん。彼女は大統領選挙に出てちょっと人気を失った。多くの女性の共感を得て時代の申し子となったけど、どうも男性からの支持がないようだ。アメリカだって出すぎる杭は猛烈な反感を食うのは同じ。しかも女性だからね。マスキュリン文化に対抗するのは半端ない。
 その意味でミッシェルさんはヒラリーさんの轍を踏まないように、かなり賢く?振る舞っているよう。随所に出てくる、私は国のマイノリティーという発言。黒人で女性は米国で今でも格差の最下層に位置する。もちろん今はアジア人女性がそのもっと下かもしれないけど。
 それをはねのけたのは、家族に流れる"なにくそ精神” 親の教育が素晴らしい。彼女は典型的なアメリカ黒人の子孫。南北戦争の後の黒人救済の地下組織でテキサスからイリノイに逃れてきた黒人奴隷の末裔らしい。シカゴのゲットーであるサウスサイドに一族で住み、協力しながら個の確立を図ってきたのだろう。
 最初は白人ばかりの学校に行き、友人を作り、何があってもへこたれない。
毎日のルーティンを決めて、何があってもそれをこなす毎日。その勤勉のたまものだろうか、米国東部アイビーリーグの大学に入り、ハーバード大学院に進む。その後も快進撃を続け、金融コンサルタントになりパートナーのオファーを受けるまで上り詰める。若干30歳になるまでの話。
 でもここからが彼女の本領発揮の箇所。高収入の職を捨てて、コミュニティーでの仕事に生きがいを見いだす。そして、オバマ元大統領と出会って、ファーストレディーに。
 ファーストレディーになってからも数々のコミュニティー関連のプロジェクトをした。一番心に響いたのが、食の改革。それまでのファーストフード一色のアメリカの食事をグリーンで染め変えようと決意して、様々な困難を乗り越えてかなり大きなうねりになったのでは。
 そう言えば、ここ数年病院に連れて行くアメリカ人は食事に気をつけていて、ローカーボ(糖質制限)はほぼ当たり前になっていて、赤肉も避けている人が多い。マ〇ドにはほとんどの人が行かない。野菜を取るように気をつけている。こんな食の変容もミッシェルさんの力が大きかったとは全く知らなかった。
 また白亜御殿の中での子育てもたいへんな気の使いよう。その甲斐あって長女はハーバードに入学したらしい。
 とにかく頑張り屋さん。黒人女性という自分の置かれた立場を常に頭の隅に置き、出過ぎずそれでいて自分のやりたいことは全部やってしまうという実力の持ち主なんだなあ。
 毎日のルーティンをやり遂げるというのは、初期の大統領が日々つけていたリストに基づいているのだろうか。あのリストとその達成方法はすごい。やり続ける精神力もすごい。見習いたい。
 ヒラリーさんにしてもミッシェルさんにしても、ファーストレディーでこれだけの実力の持ち主を選べる米国はやっぱり羨ましい。

いい季節になりました

2020-04-15 17:46:31 | 読書
 カタツムリは愛らしいのに、ナメクジはちっとも可愛くない。殻があるのとないのでこんなにも違うのか。ナメクジはマリーゴールドの葉が大好き。せっかく植えた花も葉が大半食べられて可愛そうな姿になっている。毎日見つけようと目を凝らすけど姿は見えず。2匹は捕まえて潰したけど・・・
 色々な薬剤をまいたり噴霧したりしているけど、一向に死んだ様子はない。まだ小さくて見えないのかな。夜間に活動するらしいから昼間は土の中にでもいるのだろうか。
 見えないコロナウィルスも威力は大きい。薬ができない限り、人間の細胞を宿主として増大する一方らしい。ウィルスは宿主がいなくなると自然消滅するらしいから、とにかくウィルスがいる場所を避けるのがいいのだろう。だから、自粛は意味がある。外に出るとあちらこちらに浮遊して人間様の身体に入り込む隙を狙っているのだからね。
 いったん入っちゃえば、肺に入って増殖するらしい。人間は息ができなくなると死んじゃうから、これはえらいこと。
 できるだけ外に出ないで、人と接触を避けるしかないねえ。

在宅勤務になりました

2020-04-10 16:28:32 | 読書
コロナもここまで来たか、と怒っている場合じゃない。とうとう私の仕事も在宅で・・・
だいたい始めから遠隔なんだから、今更また在宅だなんて・・・
と思っても、コロナ禍にはかてまへん。
 一人で家にいると(実際は夫がいるけど)何だか仕事の気がしないよね。今のところ電話なので、スマホ片手に家の中をウロウロ。庭にも長い間いたけど、とうとうかかってこず。
 センター詰めだと、こういうときは隣のお人にグチグチ言ってから帰るんだけど、ずっと家の中にいるからそれもできず。庭に降りて、空を見上げて、あーあ、と言ってみる。いつも誰か(コロナさん)に脅されているような感じだね。
 今日はジムに行ってきた。驚くなかれ、まだジムは開いている。しかし、ここも明日からGW明けまで、とうとうお休みだって。これで、どっかに行けるとこはゼロ。
 ではないんだわ、実は。まだ同行通訳はあるんです。ほんの少しだけど。この前行くと、ドアが全開で風がビュービューと入ってきて、気持ちよすぎた。連れて行った患者さんは、寒いと言ってイスの背もたれに身を縮めていたけど。
 このままだと、どんどんコロナにやられて、街から人が消えて、通りはコロナさんのみが闊歩する事態に・・・
 早くワクチンでも薬でも、何でもいいから退治できるものを作ってくれ。
ノーマルライフが遠い世界に行ってしまったねえ。

 さあ、ガーデニングでもしよう。ちっちゃな庭でもお花で一杯にしようとしたら、結構手間がかかるなあ。