『毎日』紙の読者の投書欄、「みんなの広場』に83歳の無職の男性が「戦争は絶対避けよ」という投稿をしていました。
尖閣諸島国有化から中国との領土をめぐる緊張が高まり、中国の挑発的行動が増えている、日本政府は相手の挑発に乗って発砲してはいけないと言い、「私達老人は、先の戦争体験があり、戦争は勝った国も負けた国も家族の犠牲者が出る」と言っています。この人の奥さんの父親は中国を転戦していましたが、一時帰国して再び召集を受け硫黄島に配属され、ここで1945年3月に米軍と戦闘の末に全員が玉砕したそうです。
そして「戦争を体験した政治家が増えているが、戦争は絶対に避け、外交努力で解決しなければならない」と結んでいます。戦争を知らない政治家が増えているのは事実ですが、彼らの多くは、この投書にあるような戦争の実態を理解していないだけでなく、むしろ日本を戦争のできる国にしたいと考えているように思います。
安倍首相も戦後生まれですが、今のところ夏の参院選を意識してか爪を隠していますが、もし参院選に勝てば右翼政治家の本性を剥きだしてくるでしょう。書店には彼の著書「新しい国へ」が置かれています。前に首相になった時に出した「美しい国」の完全版なのだそうです。帯には「『強い日本』を取り戻すために」とあり、買うつもりはないので目次をめくってみると、右翼政治家らしい項目がズラリと並んでいて、どういう意図を持つ政治家なのかよく分かります。
彼の言う「美しい国」とは「強い国」と同義のようで、今の日本は弱い、美しくない国だと言うのでしょう。ですから彼は戦争のできる「強い」国に日本をしたいのでしょう。おそらくまず憲法96条を変え、次に平和憲法の中核である第9条を変えることを狙っていると思います。このような意図を自民党は当然支持するでしょうし、石原慎太郎議員のような超右翼的な議員も賛同するでしょう。私はこのような政治家達に日本維新の会の若手議員がこぞって同調していることに怒りを覚えます。彼らは自分達が享受してきたこの国の平和をどう考えているのでしょう。「平和ボケ」などという悪罵を民主的な国づくりに努力している人達に投げつける傾向がありますが、このことばは維新の会の若手議員などにこそふさわしいものと思います。