岩波書店の「惜櫟荘だより 」です。
「熱海に仕事場を構える著者は、縁あって惜櫟荘を譲り受け、後世に残すため完全修復を志す。一九四一年、岩波茂雄が静養のために建てたこの別荘は、江戸の粋を知る建築家・吉田五十八の感性と、信州人・岩波の海への憧憬から生まれた「名建築」だった。設計図もない中、パズルを解くような解体・修復工事が始まり、やがて、「五十八マジック」ともいうべき独創的な仕掛けが、次つぎ明らかに―。「名建築」はいかにして蘇ったのか?秘められた趣向とは?若き日のスペインでの思い出や、惜檪荘が結ぶ縁で出会った人々など、興味深いエピソードも交え、修復完成までをつぶさに綴る。好評の『図書』連載に加筆、写真も加えた、著者初のエッセイ集。」とのことです。
ちくま文庫の「ちょっと触っていいですか 」です。
「中古カメラ・ウィルスに侵されると、次々にカメラが欲しくなる。かくして、デパートの中古カメラ市や街中のカメラ屋を物色する日々が続く。ウィンドウごしの熱い視線。あれも欲しい!これも買いたい。手に取ってシャッターを切りたい。欲望が高じて購入したもの、カメラ博物館で出会った珍なるもの…。著者が手にした数々のカメラをイラスト入りで紹介。」とのことです。
角川春樹事務所の「人質 」です。
「「謝ってほしいんです。あのときの県警本部長に。ぼくが要求するのはそれだけです」5月下旬のある日。生活安全課所属の小島百合巡査部長は、以前ストーカー犯罪から守った村瀬香里との約束で、ピアノのミニ・コンサートへ行くことになっていた。香里よりひと足先に、会場である札幌市街地にあるワイン・バーに着いた小島は、そこで人質立てこもり事件に遭遇する。犯人は強姦殺人の冤罪で4年間服役していた男。そのコンサートの主役は、来見田牧子、冤罪が起きた当時の県警本部長の娘だったのだ―。一方、同日の朝に起きた自動車窃盗事件を追っていた佐伯宏一警部補は、香里から連絡を受け、事件現場へ向かったのだが…。」とのことです。
早川書房の「ヒヤシンス・ブルーの少女 」です。
「17世紀デルフトの画家、フェルメールの1枚の絵をめぐるフィクション。読者は絵の由来や人手に渡っていく経緯、絵に秘められた歴史を現在から過去へさかのぼる旅に誘われる。その絵は年齢も職業も生活環境も異なるさまざまな人たちに愛されてきたのだった。戦時中の混乱期に絵を入手したドイツ人の父子や、ナチの魔の手が迫りつつある時代に生きるユダヤ人の女の子、絵の中の少女に初恋の相手を重ねている中年の男性、仕事一筋の夫との平凡な生活の中で絵だけを心のよりどころにしている主婦…。美しいオランダの風景描写に織り込まれたそれぞれの思いが、まさにフェルメール絵画の美を思わせる短編集だ。」とのことです。
講談社現代新書の「独立国家のつくりかた 」です。
「現政府に文句があるなら、勝手に独立国家をつくっちゃえばいい。匿名化したシステムとは戦わない。何も破壊しない。ただ、歩きかたを変えること。視点を変えること。そして、思考しつづけること。それだけで世界はまったく別の相貌を見せ始める。路上生活のエキスパートたちに教えを請い、歌うように、踊るように、DIYで国をつくった男が語る、いまここにある希望。」とのことです。