蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

オットーという男

2025年02月27日 | 映画の感想
オットーという男

ピッツバーグの製鉄所に勤めるオットー・アンダーソン(トム・ハンクス)は定年退職を迎える。几帳面で口うるさい彼は職場や近所でも鼻つまみ者。教師だった妻は少し前に亡くなっており、オットーは自殺しようとするが、近所に引っ越してきたメキシコ人のマリソル(マリアナ・トレビー二)に邪魔されて?果たせなかった・・・という話。

スウェーデン映画の「幸せなひとりぼっち」のリメイク。
「幸せなひとりぼっち」は、見終わったあと「いい映画だったなあ(終わってほしくなかった)」と思える秀作だった。北欧で作られたらしい素朴な味わいが印象に残っている。

そんな作品をトム・ハンクス製作・主演でリメイクということで、期待があまりにも大きかったせいか、うーん、ちょっとどうかな~という感じだったかなあ。舞台がアメリカで演じているのが代表的?アメリカ人であるトム・ハンクスなのだからしょうがないけど、アメリカ映画ってムードになって、素朴とか味わいとかからは離れたところにあったように思う。

「幸せなひとりぼっち」では、偏屈な主人公の(妻以外では)唯一の理解者だった近所の夫婦(夫は認知症?で意思疎通が困難)との交流がとてもよかったのだが、本作ではあまり素敵な感じではなかったのが残念。

トム・ハンクスの青年時代を演じたのはトム・ハンクスの次男(トルーマン・ハンクス)とのこと。うーん、若い時のトム・ハンクスとはイメージがかなり異なるような・・・

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正体(映画)

2025年02月27日 | 映画の感想
正体(映画)

鏑木(横浜流星)は、18歳の時に犯した一家殺人事件で死刑判決を受け収監されていた。急病を装って救急車で運ばれる途中で脱獄し身を潜めていた。建設現場、フリーライター、介護施設を渡り歩くが・・・という話。

脱走場面からエンディングまで、そんなこと現実にはできるわけないわな、と思えるご都合主義の連続なのだが、主役を始めとしてなかなかの熱演で、見てる方を最後まで引っ張ってくれた。

いろいろな場所や職業を経験する鏑木を演じ分ける、というのが、タイトルから察せられる通り、本作の主役の難しさなのだと思うが、どうも横浜流星はカッコよすぎて違いが際立たなかったかなあ、と思えた。

主役のキャラとは反対に、終始しかめっ面を強いられる?捜査一課長:又貫(山田孝之)の苦悩ぶりがなかなかよくて、現実ではありえない記者会見での突然の反乱?がある程度リアルに思えたくらいだった。又貫の上司の刑事部長(松重豊)の官僚ぶりもよかった。

ネットフリックスのメニュー画面のに提示されていたので、見てみたのだが、ついこの間まで映画館でやってたよね・・・そういう時代なんですね。
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キリエのうた

2025年02月18日 | 映画の感想
キリエのうた(映画)

キリエと名乗ってストリートで歌っていた少女(アイナ・ジ・エンド)は、歌唱以外ではほとんど喋ることができなかった。結婚詐欺師のイッコ(広瀬すず)は彼女を気に入ってプロデューサー役になり、次第に人気がでてくる。イッコはキリエが高校時代の知り合いだと気付く。キリエの本名は路花(ルカ)で、キリエは路花の姉の本名。その姉と交際していたのがイッコの家庭教師をしていた夏彦(松村北斗)だった・・・という話。

キリエ(本名の方)とルカがアイナ・ジ・エンドさんの二役で、時系列も場所もかなり変化するので、なかなか筋がつかめませんでした。
彼女は、岩井監督の好み?のハスキーボイス(「スワロウテイル」のCHARAに似てる)で、カバー曲でも個性満点。本作で発掘されたのかと思ったら、私が知らないだけで既に有名な歌手らしいですね。

結婚詐欺役のシーンで登場する広瀬さんは、派手な色のカツラを付けてトンボメガネをしているのですが、これがとても似合っていて魅力的でした。多分、普通のカッコウをしている彼女は見飽きるほどいろいろなシーンで見ているためでしょう。

最近、やたらと出演作を見ているような気がする松村さんが、アイドルグループの歌手というのも最近知りました(と言ったら家人が「今どきそれを知らない日本人がいたなんて」と驚いていました)が、とてもそうとは思えない、落ち着いた演技ができる俳優さんだと思っています。
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機動戦士Gundam GQuuuuuuX

2025年02月12日 | 映画の感想
機動戦士Gundam GQuuuuuuX

****作品の内容に触れています。見ていない方は読まないでください****


新しいテレビシリーズのダイジェスト版だと聞いて、映画館で見る気はなかったのだが、スタジオカラー&サンライズ制作で、かつ、世評がとても高いので、見に行ってみた。

宇宙世紀0079年サイドセブン、つまり最初のテレビシリーズ(以下、ファースト)と同じ場面から始まる。登場するのも赤いザクと普通のザク2機。この部分はビギニングという新シリーズの前日談という位置づけなのだが、それを知らなかったので、新シリーズの舞台も0079年なのかと思っていた。
実際には、シャア率いるザク部隊がサイドセブンに侵入するところもファーストと同じなのだが、ザクの膝関節の動きは新しくなっていて、これが如何にも、というもっともらしさで感心していたら、ここで早くも本作最大の見せ場とサプライズが訪れる。シャアが横たわるガンダムに乗り込んでガンダムを大地に立ち上がらせるのである!
いやあ、驚いた。
と思っているうちに、シャアはホワイトベースも乗っ取ってしまう。そしてガンダムは赤く塗り替えられ、サイコミュを装備したビットを搭載する。それに乗るシャアは、ルナ2を陥落させられ苦境に陥った連邦の最後のあがきのソロモン落としも阻止したが行方不明になってしまう。
つまり、ビギニングはファーストに対する「高い城の男」=ジオンが1年戦争で勝つまでの経緯を描いている。キャラはすべて安彦デザイン(ドレンとかキシリアとか本当に生き写し?なのであるが、なぜかシャアの仮面はオリジナルとは雰囲気が違うような気がした。わざとだろうか)。メカの方は多少改変されている。前述のザクの関節もその一つだが、ガンダムの顔面が心無しかエヴァ初号機に似ているような・・・というか初号機の顔面がガンダムのオマージュだったんだろうなあ。特にマウスに当たる部分が。

肝心の本体部分は、まあ、可もなく不可もなくというか、プロローグ部分だけなので何ともいえない。サイド6の日常生活描写(地下鉄?が走っていたり、お風呂が20世紀の日本風だったりする)のは庵野風だった。
キャラの絵面がアニメアニメしていてビギニング部分が実写だったかのような錯覚に陥った。シャリア・ブルが主役級のキャラというのは富野さん(というかサンライズ)の罪滅ぼしだろうか。ファーストでシャリア・ブルは重要キャラだったのに、人気不振で1クール削られたためにチョイ役になっていしまった・・・という裏話を聞いたような気がする(うろ覚え)。

ま、とにかくビギニング部分には、毎週ドキドキワクワクさせられたファースト初見の45年前を思い出させてくれた。45年前のドキドキには「今週の作画はマトモだろうか?」(回によって動画の質の差がものすごくあった)というのもあったが・・・
ビギニング部分のシリーズを是非つくってもらいたい。シリーズが無理なら「グラナダを救え!ソロモン落としを阻止せよ」でもいいけど。
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エブリシング・エブリウエア・オール・アット・ワンス

2025年02月04日 | 映画の感想
エブリシング・エブリウエア・オール・アット・ワンス

アジア系移民2世?のエヴリン(ミシェル・ヨー)はアメリカでコインランドリーを営む。頑固な父と気弱な夫と反抗的でレズビアンの娘に挟まれて日夜悪戦苦闘。IRSで女性の担当官にツメられたのを契機?に多元宇宙に生きて悪の首領?ジョブ・トゥパキ(見た目は自分の娘)と戦う立場に覚醒?する・・・という話(なのか?)

「考えるな、感じろ」という感じの映画。
なのだが、わけがわからなくなる前あたりまでの話(エブリンがコインランドリー経営に孤軍奮闘し、頼りにならない父と夫を引き連れてIRSの役人と対峙するあたりまで)をそのまま続けていっても面白い映画になりそうだった。

数え切れないほどのマルチバース世界と、そこにそれぞれ異なったコスチュームでエヴリンが登場するので、撮影順序やスケジュールの調整や編集がとても大変そう。それを破綻なく??まとめたあたりがコンペでは評価されたのかも??

夫役のキー・ホイ・クァンは、ココリコ田中に見た目や雰囲気がとてもよく似ていた。なんと同い年らしい。
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