木曜島の夜会(司馬遼太郎 文春文庫)
オーストラリアの北端の島、木曜島では、戦前まで高級ボタンの原料である白蝶貝を採取するため、多くの日本人がダイバーとして出稼ぎに来ていた。ダイバーは危険ではあるが稼ぎはよく、勤勉な日本人は現地で歓迎されていたという。著者が現地を訪れた紀行文の他、吉田松陰に深いかかわりを持ちながら、歴史上目立った活躍をすることができなかった富永有隣、大楽源太郎を描いた短編を収録。
司馬遼太郎中毒の私なのだが、なぜか本書は未読だった。勤める会社の近くにある本屋で「旅」をテーマにしたおすすめ本を集めたコーナーがあって、昔自分が読んで面白かったが数多く紹介されており、本本書もそこに積まれていたので読んでみることにした。
「木曜島の夜会」は、読み逃すことにならなくてよかったあ、と思えるほど素晴らしかった。「街道をゆく」シリーズを始め、著者は紀行文の著作も多く、そのほとんどを読んでいるが、本書は出色の出来。日本人ダイバーの苦難と栄光、海外に出稼ぎに行くということの意味、今では見捨てられたような僻地となってしまった木曜島に暮す人たちの哀愁、などが凝縮して詰め込まれている。
司馬さんは、登場人物への思い入れが強すぎると思う。なので、嫌いな人物を描く時は本当にひどい扱いになるのだけど、富永有隣、大楽源太郎はその典型。両者ともに口を極めて罵られている感じで、気の毒なくらい。本書によると大楽は西郷や勝には評価されていたみたいなのだが・・・
オーストラリアの北端の島、木曜島では、戦前まで高級ボタンの原料である白蝶貝を採取するため、多くの日本人がダイバーとして出稼ぎに来ていた。ダイバーは危険ではあるが稼ぎはよく、勤勉な日本人は現地で歓迎されていたという。著者が現地を訪れた紀行文の他、吉田松陰に深いかかわりを持ちながら、歴史上目立った活躍をすることができなかった富永有隣、大楽源太郎を描いた短編を収録。
司馬遼太郎中毒の私なのだが、なぜか本書は未読だった。勤める会社の近くにある本屋で「旅」をテーマにしたおすすめ本を集めたコーナーがあって、昔自分が読んで面白かったが数多く紹介されており、本本書もそこに積まれていたので読んでみることにした。
「木曜島の夜会」は、読み逃すことにならなくてよかったあ、と思えるほど素晴らしかった。「街道をゆく」シリーズを始め、著者は紀行文の著作も多く、そのほとんどを読んでいるが、本書は出色の出来。日本人ダイバーの苦難と栄光、海外に出稼ぎに行くということの意味、今では見捨てられたような僻地となってしまった木曜島に暮す人たちの哀愁、などが凝縮して詰め込まれている。
司馬さんは、登場人物への思い入れが強すぎると思う。なので、嫌いな人物を描く時は本当にひどい扱いになるのだけど、富永有隣、大楽源太郎はその典型。両者ともに口を極めて罵られている感じで、気の毒なくらい。本書によると大楽は西郷や勝には評価されていたみたいなのだが・・・