アメリカとは何か(渡辺靖 岩波新書)
「米国は個人の自由や権利を重んじる近代啓蒙思想に立脚した実験国家である。特定の知や制度が強大な権威や権利を有することや、特定の権威や権力が固定化・世襲化することへの警戒心が元々強い」と著者はいう。
現代の先進国のうち、植民地支配から独立を勝ち取った国がそのまま続いているのはアメリカくらいで、そうしか過去からこのような思想が普及しているのは理解できる。
しかし、「警戒心」を抱いているのは具体的にいうと誰なのだろう?大統領?議員?学者?
デモが頻繁に行われたり、特段の利益誘導がなくても特定の政治家を熱心に応援したりする人が、少なくとも日本よりは多そうだから、国家のアイデンティティや政治思想について真剣に考える人もそれなりにいる、ということだろうか。
アメリカは昔から移民が多くて、昔はアイルランド系とかだったのだろうけど、今や白人よりヒスパニック系住民の方が数が多いという。中南米の国から移住してアメリカ居住になったとたんに「警戒心」を持つわけではないだろうから、国家理念が揺らいだり変わったりすることも仕方ないだろう。
トランプ政権のとき、頻繁に重要閣僚が交代した。それでも行政としては大きな支障は生じなかっし、軍隊にも動揺はなかった。それはシステムがよくできている以上に、冒頭のような思想が国民に浸透したいるからなのかもなあ、とも一方では思える。