戦場のコックたち(深緑 野分 東京創元社)
第101空挺師団に属する主人公:キッドは特技兵(糧食の管理・調理担当)。
ノルマンディー→マーケットガーデン→バストーニュ防衛戦と欧州の主要戦場を転戦するうちに遭遇する不思議な出来事の謎解きをしようとる・・・という話。
(WWⅡ絡みの)戦記物が好きな人(日本人)のうち多くは日独びいきなのではないかと思います。
自国およびその同盟国サイドに立ってしまうのは致し方ないでしょうし、日本語に翻訳された海外の著作もドイツびいきのものが多いような気がします(パウル・カレルとか・・・「彼らは来た」とか「焦土作戦」とか、なつかしいなあ・・・もっとも彼の著作にはかなり偏向があったらしいですが。著者がアメリカ人の場合でも、どっちかというとドイツ軍優勢の作戦を描いたものばかりが翻訳されているような気もします)。
私の世代だと、松本零士さんの戦場まんがシリーズに影響を受けた人も多いでしょう。私なんかは、キングタイガーがシャーマンをおもちゃのように次々撃破するシーンが刷り込まれてしまっています(「ラインの虎」が読みたくなってきた)。
このため、本書のような、日本人が著者で、かつ、アメリカ軍の視点で描かれた作品は珍しく、また、私はメインの戦場を描いたものはさんざん読んできたので最近では輜重とか補給など後方支援系に興味があるため、(年末の各種ランキングで軒並み高く評価されたことにより本書の存在を知り)読んでみました。
「海軍めしたき物語」などを読んで、後方支援系の兵士って原則戦闘はしないイメージを持っていたのですが、米軍はそうでもないのか、キッドたちは前線に投入され第一線の兵士として戦います。
特技兵として活躍するシーンよりも普通の兵士として戦闘するシーンが圧倒的に多く、食糧調達や調理に苦心したりする場面とか、米軍のミリメシ事情の描写などを期待していた私としては、その点は残念でした。
そうは言っても戦記物として十分に面白く(ミステリとしては少々物足りない)、キッドの成長物語としてもよくできていると思いました。
キッドが兵役を解かれて故郷に戻り、その平和な風景に深い安堵を覚えるのとウラハラにどうしようもない虚無感を抱いてしまう場面が特に感動的でした。
第101空挺師団に属する主人公:キッドは特技兵(糧食の管理・調理担当)。
ノルマンディー→マーケットガーデン→バストーニュ防衛戦と欧州の主要戦場を転戦するうちに遭遇する不思議な出来事の謎解きをしようとる・・・という話。
(WWⅡ絡みの)戦記物が好きな人(日本人)のうち多くは日独びいきなのではないかと思います。
自国およびその同盟国サイドに立ってしまうのは致し方ないでしょうし、日本語に翻訳された海外の著作もドイツびいきのものが多いような気がします(パウル・カレルとか・・・「彼らは来た」とか「焦土作戦」とか、なつかしいなあ・・・もっとも彼の著作にはかなり偏向があったらしいですが。著者がアメリカ人の場合でも、どっちかというとドイツ軍優勢の作戦を描いたものばかりが翻訳されているような気もします)。
私の世代だと、松本零士さんの戦場まんがシリーズに影響を受けた人も多いでしょう。私なんかは、キングタイガーがシャーマンをおもちゃのように次々撃破するシーンが刷り込まれてしまっています(「ラインの虎」が読みたくなってきた)。
このため、本書のような、日本人が著者で、かつ、アメリカ軍の視点で描かれた作品は珍しく、また、私はメインの戦場を描いたものはさんざん読んできたので最近では輜重とか補給など後方支援系に興味があるため、(年末の各種ランキングで軒並み高く評価されたことにより本書の存在を知り)読んでみました。
「海軍めしたき物語」などを読んで、後方支援系の兵士って原則戦闘はしないイメージを持っていたのですが、米軍はそうでもないのか、キッドたちは前線に投入され第一線の兵士として戦います。
特技兵として活躍するシーンよりも普通の兵士として戦闘するシーンが圧倒的に多く、食糧調達や調理に苦心したりする場面とか、米軍のミリメシ事情の描写などを期待していた私としては、その点は残念でした。
そうは言っても戦記物として十分に面白く(ミステリとしては少々物足りない)、キッドの成長物語としてもよくできていると思いました。
キッドが兵役を解かれて故郷に戻り、その平和な風景に深い安堵を覚えるのとウラハラにどうしようもない虚無感を抱いてしまう場面が特に感動的でした。