火山のふもとで(松家仁之 新潮文庫)
坂西徹は、有名な建築家が主宰する村井設計事務所に就職する。村井事務所は青山にあるが、夏期は軽井沢の「夏の家」に主要スタッフが移って仕事をする習慣になっていた。「夏の家」での1年を描く。
主人公の坂西は、大学を出たばかりでほとんど採用をしない有名事務所に職を得て、すぐに有名建築家の村井に気に入られ、周囲にいる女性には常にモテモテ、設計者としての才能も十分・・・と、まるで若い頃の島耕作みたいな人。周囲の環境も村上春樹の小説みたいにオシャレで洗練されていて、「こんな奴いるわけねえだろ」と言いたくなるところだが、読んでいてあまりイヤミな感じはしない(少なくとも島耕作や村上作品の登場人物よりは)。
若い建築家(坂西)とか軽井沢の風土を描くことが主題なのかと思わせるが、終盤の転機から、別のテーマが浮かび上がってきて、それまでの坂西や村井事務所スタッフ中心の描写や展開もその補助線に過ぎなかったことがわかる。小説の最後に向かって感動が盛り上がっていく構成がとても効果的に思えた。
坂西徹は、有名な建築家が主宰する村井設計事務所に就職する。村井事務所は青山にあるが、夏期は軽井沢の「夏の家」に主要スタッフが移って仕事をする習慣になっていた。「夏の家」での1年を描く。
主人公の坂西は、大学を出たばかりでほとんど採用をしない有名事務所に職を得て、すぐに有名建築家の村井に気に入られ、周囲にいる女性には常にモテモテ、設計者としての才能も十分・・・と、まるで若い頃の島耕作みたいな人。周囲の環境も村上春樹の小説みたいにオシャレで洗練されていて、「こんな奴いるわけねえだろ」と言いたくなるところだが、読んでいてあまりイヤミな感じはしない(少なくとも島耕作や村上作品の登場人物よりは)。
若い建築家(坂西)とか軽井沢の風土を描くことが主題なのかと思わせるが、終盤の転機から、別のテーマが浮かび上がってきて、それまでの坂西や村井事務所スタッフ中心の描写や展開もその補助線に過ぎなかったことがわかる。小説の最後に向かって感動が盛り上がっていく構成がとても効果的に思えた。