神器 (奥泉光 新潮社)
太平洋戦争末期、主人公が操舵員として乗り込んだ軽巡洋艦は、正体不明な陸軍将校達を乗せて横須賀から呉、舞鶴を回航し、やがて司令部の命令に反して単独で太平洋を東に進む。陸軍将校たちは実は狂信的な皇道派で、敗戦間近となった現在の天皇の正統性に疑問を持ち、本物の天皇をさがして、海底に沈んだムー大陸へ赴こうとしていたのだった。
簡単に書くとこういう筋なのだが、軍艦内の生活が詳細に語られたり、タイムスリップするネズミ(殺された乗組員の化身)が饒舌におしゃべりしたりして、延々と800ページに渡って話が続き、正直にいうと読み終わるのに一苦労だった。
著者は、「小説にしかできないことを追求して物語を作った」という旨のことを新聞のインタビュウで語っていたが、確かに内容がぶっとびすぎていて、映像表現は難しいだろうと思えた。
私にとって、著者の最高傑作は「滝」なのだが、著者にとってはただの若書きにすぎないみたいで、最近の著作は衒学的というのか芸術的すぎるというのか、素人(?)にはついていくのが難しくなりつつある。
太平洋戦争末期、主人公が操舵員として乗り込んだ軽巡洋艦は、正体不明な陸軍将校達を乗せて横須賀から呉、舞鶴を回航し、やがて司令部の命令に反して単独で太平洋を東に進む。陸軍将校たちは実は狂信的な皇道派で、敗戦間近となった現在の天皇の正統性に疑問を持ち、本物の天皇をさがして、海底に沈んだムー大陸へ赴こうとしていたのだった。
簡単に書くとこういう筋なのだが、軍艦内の生活が詳細に語られたり、タイムスリップするネズミ(殺された乗組員の化身)が饒舌におしゃべりしたりして、延々と800ページに渡って話が続き、正直にいうと読み終わるのに一苦労だった。
著者は、「小説にしかできないことを追求して物語を作った」という旨のことを新聞のインタビュウで語っていたが、確かに内容がぶっとびすぎていて、映像表現は難しいだろうと思えた。
私にとって、著者の最高傑作は「滝」なのだが、著者にとってはただの若書きにすぎないみたいで、最近の著作は衒学的というのか芸術的すぎるというのか、素人(?)にはついていくのが難しくなりつつある。
m(__)m
奥泉さんの「滝」
未読です
早速探してみます
ありがとうございました
「滝」は、今手に入りやすいものとしては、「北村薫のミステリー館」(新潮文庫)に所収のものかと思います。