ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。(辻村深月 講談社文庫)
近頃、題名が長い小説(に限らず出版物全般かもしれません)が目立ちます。
しかし、私の好みとしてはタイトルは短く、それでいて、読み終わった後に、そのタイトルを聞くと物語の全体像が鮮やかに頭の中で自動リピートされるようなものが良いと思っています。
例えば、「山月記」、「沈黙」(遠藤周作)、「蒼穹の昴」といったものが好みです。
ここで、大胆かつ失礼なことを言ってしまうのですが、当世の2大売れっ子作家、宮部さんと伊坂さんは、タイトルの付け方がイマイチではないでしょうか。、ひねりがないというか、ありきたりというか、本歌取りみたいなのが多いというか・・・
もっとも、最近はマーケティングを重視して出版社と相談してタイトルを決めることも多いらしいので、著者のせいばかりにはできないのでしょうが。
「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」という題名が何を意味しているのかは、終盤になるまで全くわからないのですが、種明かしされると、この本のタイトルはこれ以外ありえない、と思えるほど絶妙の命名?だと思いました。
実は、「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」というのは、主要登場人物の誕生日(8月7日)のことなのですが、ここまで明かしてネタバレにならない(・・・ですよね)ところがまた素晴らしい。
とても仲がよかった母親を殺害して失踪してしまったチエミの行方を、幼なじみの主人公が追う話で、全体的に重苦しいのですが、(文庫本の作品紹介が「彼女が逃げ続ける理由が明らかになるとき、全ての娘は救われる」というように)ラスト近くで「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」の意味が明かされる時、一種のどんでん返しのように、物語の世界観が鮮やかに転回するのが見事でした。
近頃、題名が長い小説(に限らず出版物全般かもしれません)が目立ちます。
しかし、私の好みとしてはタイトルは短く、それでいて、読み終わった後に、そのタイトルを聞くと物語の全体像が鮮やかに頭の中で自動リピートされるようなものが良いと思っています。
例えば、「山月記」、「沈黙」(遠藤周作)、「蒼穹の昴」といったものが好みです。
ここで、大胆かつ失礼なことを言ってしまうのですが、当世の2大売れっ子作家、宮部さんと伊坂さんは、タイトルの付け方がイマイチではないでしょうか。、ひねりがないというか、ありきたりというか、本歌取りみたいなのが多いというか・・・
もっとも、最近はマーケティングを重視して出版社と相談してタイトルを決めることも多いらしいので、著者のせいばかりにはできないのでしょうが。
「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」という題名が何を意味しているのかは、終盤になるまで全くわからないのですが、種明かしされると、この本のタイトルはこれ以外ありえない、と思えるほど絶妙の命名?だと思いました。
実は、「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」というのは、主要登場人物の誕生日(8月7日)のことなのですが、ここまで明かしてネタバレにならない(・・・ですよね)ところがまた素晴らしい。
とても仲がよかった母親を殺害して失踪してしまったチエミの行方を、幼なじみの主人公が追う話で、全体的に重苦しいのですが、(文庫本の作品紹介が「彼女が逃げ続ける理由が明らかになるとき、全ての娘は救われる」というように)ラスト近くで「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」の意味が明かされる時、一種のどんでん返しのように、物語の世界観が鮮やかに転回するのが見事でした。