蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

天子蒙塵

2020年03月15日 | 本の感想
天子蒙塵(浅田次郎 講談社)

「蒼穹の昴」シリーズ第5部。といっても「珍妃の井戸」と「マンチュリアン・レポート」は外伝的作品だと思うので、実質的には「蒼穹の昴」「中原の虹」に次ぐ第三幕。

このシリーズは、西太后、張作霖、張学良、溥儀といった、一般的な歴史認識では“悪役”に位置づけられるような人を中心に据えているのが特徴だ。そして実は彼らは傑物であった、というストーリーになっている。

そして「龍玉」という巨大なダイアモンドを最後に手にする人が中国を統一する、というもう一つの流れもある。本作が終わった時点では張学良が持っているのだけど、最終的には毛沢東の許にいくはず??
だが、毛沢東って「蒼穹の昴」の終盤に数行登場しただけ。
ところが、本作の終盤でもう一度登場(本人が出たわけではないが)したので、もしかすると第6部の主人公は毛沢東なのだろうか??
いやいや、歴史の影にかくれた“悪役”にスポットを当て続けて来たのだから、もしかして西太后に次ぐ中国近代史の悪女?紅青とかだったりして・・・(冗談です)

本シリーズでは地名、人名などに中国風読み?のルビがふってあって、これがなかなかいい。一例をあげると・・・
西太后(シータイホウ)  万歳爺(ワンソイイエ) 龍玉(ロンユイ)  
袁世凱(ユアンシイカイ)  梁文秀(リアンウエンシウ)  李春雲(リイチユンシユン) 毛沢東(マオヅオドン) 王逸(ワンイー) 春児(チユンル)
コメント
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