星さんぞう異文化きまぐれ雑記帳

異文化に接しての雑感を気ままに、気まぐれに

別府温泉道名人への足あと(14)第14湯 市の原温泉

2016年06月15日 15時37分01秒 | Weblog



思い返せば9年前、別府を初めて訪れて友人Tさん宅にお世話になり、Tさんが湯守をしている市の原温泉に巡りあったことが、私の「別府狂い」の原点です。市の原温泉は私にとって「ふるさとの湯」と言っても過言ではありません。

鄙び度、内外の佇まい、泉質、雰囲気とどれをとっても共同温泉のカガミのような存在で、これの右に出る温泉には未だ巡りあっておりません。(ちょっと入れ込み過ぎの感もありますが・・・)

二週間の別府ステイを終わらせるに際して、ジムニーの返却がてらTさん宅にお邪魔してひとっ風呂ごちそうになりました。温泉道のスタンプは湯小屋には備えられておらず、筋向かいのパン屋さんで押してもらいます。Tさんのゲストとしていつも無料で入浴させていただいていますが、今回はスタンプを押してもらうので無料ともいかず200円をきっちりとお払いしました。

ごちそうといえば、Tさんのお宅によばれると、いつも出てくる量が半端ではないのです。「今日は簡単にピザだけだから」と言われてその気になってしっかり食べていたら、「パンも食べて」とパン焼き器から焼きたてのパンを取り出して目の前にドン!野菜が採れ過ぎたので野菜いっぱいのキッシュも作ったからと、これまた肉厚のキッシュがドン!

「遠慮するわけじゃなくて、もうこれ以上食べられません!限界ですから」
「そんなこといわんで、もうすこしだけ」
「Tさんも一緒に食べる?」
「あたしゃもうたくさん」
「だ・か・ら〜。僕も腹一杯でこれ以上無理よ。勘弁してよ」
「じゃ、パンだけでも持って帰ってよ。明日食べればいいでしょ」
「はあ、明日帰るので飛行機の中でごちそうになります」

ある時別府に住む他の友人とこの話をしていたら、「そうそう、あるある」となり、どうやらこれが別府の(大分の?)県民性じゃないかという話になりました。客を呼んだら「もうこれ以上はダメ、絶対ムリ」という位の量を提供するのが大分の、別府の「おもてなし」の基本と認識されているのではないかと勝手に思い込んでいます。

Tさんに聞いて確かめるわけにも行かないしな〜!?




別府温泉道名人への足あと(13)第13湯 永石(なげし)温泉

2016年06月14日 23時48分12秒 | Weblog
末広温泉の駐車場には他の車もいなかったので、少し延長して停めさせてもらい(もちろん無断で)そのまま引き続き近くの永石温泉に回ることとしました。

共同浴場への先入観も手伝ってか、見つけるのにちょっと苦労しましたが、見つけてみればいかにも別府の温泉らしい佇まいの建物です。竹瓦温泉を小さくしたような堂々たる寺院風の構えです。脱衣所から階段を4〜5段降りた低いところにある浴槽は熱めの湯を満々と湛え、入浴する者を熱く歓迎してくれているようです。先客のおじさんが「熱かったら水でうめたらいいよ」と親切に言ってくれましたが「いえ、少しくらい熱いほうが好みですから」とちょっと熱めの風呂にサクッと浸かって、末広温泉の駐車場の方も気になったので、早々に退出しました。体を洗うこともなく、せいぜい頭に源泉を数回かけ流すだけの入浴なので、滞在時間は10分程度なのです。それ以上長居するとハシゴ入浴で湯あたりしそうで心配です。

多くの市営温泉がそうであるように早朝6時から開いているので、早く目が覚めてしまって身の置き場のないときなどにふらっと立ち寄るには、特に市街中心部に宿泊している場合などには便利な存在です。駐車場がないのが難点といえば難点ですが。

町中で手軽に入れる温泉として、私もこの後何度もふらっと立ち寄って重宝に利用させてもらっています。車は近所のコンビニの駐車場の隅の方に目立たないようにひっそりと停めさせてもらっています。(私の場合長くてもせいぜい10分程度ですから、コンビニのサービス範囲内だろうと勝手に解釈しているため、罪の意識はありません。)


別府温泉道名人への足あと(12)第12湯 末広温泉

2016年06月12日 23時27分40秒 | Weblog
いずれ先になって土地勘も養われ別府独特の細い道路に慣れてくれば「ああ、こんなところだったのか!」と思い知らされることも多いのですが、なんせ別府滞在初年度の身には、温泉本の地図を頼りに共同温泉を探し当てるのは難儀の連続です。歩きながら人に聞き聞きして探した方が探し当てやすそうですが、時間との戦いでもある今回は愛車ジムニーを運転しながら探すため、路地が細いのに加えて、こちらが思い描く「温泉施設」の先入観と実際の「温泉小屋」との落差が大きいため見落としてしまったことが何度あったことか。

ホリデーハウスのある内成から別府駅前のスーパーに買い出しに出かける時にいつも通っている道沿いに、ちょっと丸味のある庇のついた、昭和の雰囲気が充満した昔風のタバコ屋を思わせる建物が実は末広温泉だったとは驚きでした。

温泉本によれば駐車場があるはずですがどこにもそれらしいものが見当たりません。入り口前でモタモタしていたら一人の男性が寄ってきて「入浴ですか?」「ええ、その前に駐車場を探しているんですが・・・」「あそこの電車のガードの手前にありますよ」「どうも」「初めてらしいけど、入り方わかりますか?」「はあ??」

ここの温泉には番台に人が常駐しておらず、利用者は入り口の料金箱に入浴料を払って自分で鍵を開けて入り、出るときに鍵を元に戻すという、いわばセルフサービスシステムなんだそうです。先ほどの男性は町内でこの温泉の管理に携わっている方だそうで、利用法を懇切丁寧に教えてくれました。この男性がいなかったらせっかく探し当てた末広温泉にも入れなかったかもしれないと、胸をなでおろしたものです。

他に入浴客はおらず私だけの貸切状態であったため、浴槽に満々と湛えられた湯はやや熱め。他人の目を気にすることなく適温になるまで水でうめて「さら湯」を堪能しました。いかにも下町の共同温泉の鑑のような味のある共同温泉でした。

別府温泉道名人への足あと(11)第11湯 田の湯温泉

2016年06月11日 09時13分56秒 | Weblog


カミさんに頼まれた食材を仕入れに、別府駅に隣接したスーパーに立ち寄ったついでに、そこの駐車場に車を残して駅近の田の湯温泉へ。

今は駅前の住宅密集地ながら、江戸時代に田んぼの真ん中であった所に湧き出た温泉だから「田の湯温泉」と命名されたそうな。先程寄ってきた鶴寿泉よりもやや大きめな浴槽から無色透明の源泉が滔々と流れ出て、清潔そのもので好印象の共同浴場でした。他の源泉からの引き湯ではなくて敷地内に源泉があるらしいので、文字通りの「源泉掛け流し」。

黙々と体を洗っている先客のおじさんに一言挨拶をしたら、「どこから?」との御下問。「千葉からです。内成に二週間滞在しているんです。」「う・ち・な・り? あんなとこで何やってんの?」「温泉名人目指して湯めぐりしているんです」「へ〜え! 別府八湯名人ね、知っとる知っとる。ま、頑張って早う名人になってね」「どうも」。

ホリデーハウスのある内成は、同じ別府に住んでいても「知ってはいるが行ったことはない」人が多いようで、よそ者が滞在していると聞くと一様に驚きを隠しません。ここぞとばかりにホリデーハウスの宣伝にこれ努めているところです。土地の人とこんな他愛もないやりとりをしながら湯に浸かるのも大きな楽しみの一つです。

ここは泉温は42度が基準とのことでしたが、それよりもやや熱く感じられました。これからまだ2〜3湯ハシゴする必要があるので、床に座り込んでまだ体を洗い続けているおじさんを残してお先に失礼しました。

別府温泉道名人への足あと(10)第10湯 鶴寿泉

2016年06月08日 22時08分29秒 | Weblog
二週間の別府生活も終わりが間近になり二日後にはホリデーハウスから退去です。
こちらでお世話になった友達Kさんを招待しての夕食準備を忙しそうにしているカミさんの邪魔をしてはいけないので、私は昼過ぎから駆け込みのハシゴ湯めぐりに単身で出かけました。




まず一番目は前にも来てゾッコン惚れこんだ鶴寿泉

鶴寿泉は2008年に別府を初めて訪れて、友達のTさん宅に一週間厄介になった時に連れて来てもらった思い出深い名泉です。硫黄系の明礬温泉の中では酸性度の高い泉質でややピリピリ感もありますが、わずかに白みがかったお湯からは、ほんのりと硫黄臭もあり、何度入っても飽きがきません。湯小屋入り口に鎮座するお地蔵さんへのお賽銭が入湯料代わりなんて、なんとものどかで心も懐もほっこりと温まります。佇まいが抜群で、私の中では総合点は極めて高く、一目惚れした秘湯です。

花崗岩を敷き詰めた床の真ん中に、4〜5人入ればいっぱいになりそうな小さめのヒノキ(?)の浴槽が埋め込まれているだけの、鄙び度のかなり高い、私好みの温泉の代表格の一つで、何度でも入りに来たい温泉です。

専用の駐車スペースが小型車2台分しかないので、よほど運が良くないと停められず、近隣の旅館の駐車場に停めさせてもらうか、遠くのパーキングに入れて歩いてくるしかないのが難点ですが。

別府温泉道名人への足あと(9)第9湯 鬼石の湯

2016年06月05日 12時32分33秒 | Weblog
私はスタンプを集める必要から一日にいくつもの温泉を巡りますが、カミさんはそんな趣味はないから「一日一湯」が基本です。「春夏秋冬」がイマイチで、なんとなく消化不良気味であったので「もう一丁行こうか?」とダメ元で水を向けたら「いいよ」と来たもんです。

そういえば別府に来たのに、別府八湯の中心的存在の鉄輪温泉にはまだ挨拶がすんでいません。数多ある市営・区営の共同浴場はいずれそのうち単身でハシゴすることにして、今日はカミさんの要件をクリアできる温泉として「鬼石の湯」を試すことにしました。鬼石坊主地獄から吹き出す蒸気の轟音を聞きながら入り口に向かいます。入湯料600円の民営施設だけあって内湯・露天風呂・展望風呂と施設が充実しています。

先ほど浴びてきた「春夏秋冬」の硫黄泉で皮脂が除去された体をしっとりと仕上げる、メタケイ酸をたっぷり含んだ泉質だそうで、保湿・保温効果も抜群とのことです。口に含むとちょっとしょっぱいのは鉄輪地区の特徴らしい。

「先に明礬温泉、その後に鉄輪温泉」なんて方程式があるとは、さすが温泉道の奥深さですね。


別府温泉道名人への足あと(8)第8湯 夢幻の里 春夏秋冬

2016年06月04日 12時18分01秒 | Weblog
ホリデーハウスは内成の地元の方々とAPU大学のLSB(Long Stay Beppu)研究会との協働プロジェクトであり、滞在中に研究会の学生さんによるインタビューがあります。外国に比べてまだまだ普及の遅れている長期滞在型・現地生活体験型の旅行形態は、今後日本でも普及の余地が大きいはずだという仮説を実証研究するLSB研究会が、実際に滞在した利用者から情報収集したり意見聴取するのが目的のインタビューです。

短期間の「旅行者」では気がつかないことで、長期に滞在する「生活者」の目で初めて見ることのできる物事は山ほどあるはずです。特に遠くから高い旅費をかけて訪れるなら、最低一週間は滞在しないと勿体無いことです。さりとて、ホテルや旅館に一週間以上滞在したら宿泊費が膨大になります。リーズナブルな経費の範囲でなるべく長期に滞在して現地生活体験型の旅行をしたいと希望する我々には、このホリデーハウスは願ったり叶ったりの施設ですっかり気に入りました。LSBで想定した利用者像を90パーセント以上体現した我々はこの研究室にピッタリの研究材料のはずです。我々もこの研究室の掲げるテーマに大いに共鳴するところがあるので、訊かれたことに答えるにとどまらず、ゼミの教官気取りで学生さんについつい余計なことをしゃべりまくって迷惑かけてしまいました。



久しぶりに若い学生さん相手にしゃべりまくって一仕事終えたご褒美に、リーズナブルで美味しい海鮮丼を食べて、これまた久しぶりに自分好みの白濁硫黄泉、「夢幻の里・春夏秋冬」に立ち寄りです。

堀田温泉を横に見ながら、案内看板に従って堀田温泉の脇にある細い山道を走ること数分。山間の秘湯という雰囲気の建物に到着。2013年にリニューアルオープンしたそうで、家族風呂を含めて全てが露天風呂のみで内湯はありません。民営であるため大人700円とやや高めの入湯料です。雨の後だったせいか、一人だけいた先客が早々にあがってしまったので、紅葉が必要以上に浮かんでいる浴槽の落ち葉拾いをしてあげました。気のせいか泉温もぬるくてコスパの良い温泉とは言えない印象でした。

さらに詳しくはビデオをご覧ください。


別府温泉道名人への足あと(7)第7湯 柴石温泉

2016年06月02日 22時59分48秒 | Weblog
別府内成のホリデーハウスを前進基地にして、大分県のみならずお隣の熊本や福岡へ足を伸ばすのも大きな楽しみです。Tさんから借りたジムニー君大活躍で杵築やら阿蘇に遠出したり、APU大学の天空祭(文化祭)にお邪魔したりと、温泉巡りの他にもやることがいっぱいあって別府八湯はしばらく巡っていません。



ネットで友達になった、洞爺湖つながりの友人Wさんとのオフ会。Wさんから勧められた、地元の魚屋さんの経営するレストランでのワンコインランチを堪能してから、千葉名産の落花生を手土産にWさんのお宅にお邪魔しました。神戸から移住して別府生活を満喫しているWさんご夫妻は、想像通りの活発なアスリート・カップルでした。ネットを通じて知り合った者同志が、お互いを良く知らないままに招き招かれ、初対面でありながら旧知の仲のように打ち解けて話し込む。こんな出会いは一昔前には想像もできなかった新しい人間関係ですね。性善説を信奉している者同志にのみ許されることなのでしょう。

すでにご夫妻で名人位を獲得しているWさんから教えて貰った温泉巡りノウハウの数々は説得力のあるものばかりで、その後の別府生活になくてはならないものとなりました。そのWさんから別府移住を盛んに勧められ、私はもう別府の住人になったような気分です。

私はまだまだ話し足りない気分ではあったものの、別府移住に話が及ぶに至ってカミさんから「ええ〜?!」満載のオーラが感じられたので、そろそろ潮時かと判断し、移住の話は今後長期的検討課題とすることにしてWさん宅を辞し、Wさんご夫妻との刺激的な話で火照った気持ちを鎮めるために訪れたのが柴石温泉でした。

市営の共同温泉にしては210円と高めなのは、施設が新しく他に比べて充実していることが体感でき納得したこと、ずいぶんと混んでいたことを記憶しいるほかは、あまり覚えていないので、名人になったらゆっくりと再訪したい温泉の一つです。

別府温泉道名人への足あと(6)第6湯 海門寺温泉

2016年06月01日 21時15分40秒 | Weblog


せっかく駐車場に停めたのだから他の温泉も回ろうとして温泉本の案内地図を眺めても、別府初心者には地名も位置関係もわからず、次に行くべき近所の温泉が探し当てられません。ずっと後になって見れば「あぁこんなところだったのかぁ!」と納得するのですが。

高等温泉の番台のおばさんに聞いたら、駐車場の反対側にある海門寺公園の中の海門寺温泉を勧められました。

平成22年にリニューアルされて綺麗になった市営温泉なので、これならうちのカミさんも喜んではいったろうに。
施設の詳細の写真がたくさん載ったサイトを見つけました。

ここにも「あつ湯」と「ぬる湯」があるので、まず最初にぬるい方で体を慣らし、次に地元の常連さんと思われるおじさんに挨拶しながら静かに「あつ湯」を試してみましたが、どちらかというと「あつ湯」のほうを好む私には44度の泉温は心地よい「あつさ」で「アッチッチ!」とまではいきませんでした。

温泉本の地図によればこの周辺には私好みの(言い換えればカミさんと一緒には来られない)鄙びた共同湯が山ほどありそうです。駐車場がない小さな温泉が多いので、いずれバスで来るか、無料駐車のノウハウを身につけた頃に訪れるとしましょう。