北へふたり旅(98)
ベンチで休息しはじめてかれこれ30分。
気分が落ち着いてきた。
「なんだったんだ。さっきまでの重い疲労感は・・・」
「だいじょうぶ?」妻が顔をよせてくる。
落ち着いたみたいだ。もう歩けるだろうと立ち上がる。
「無理しないで。若くないんだから」妻が心配そうに見つめる。
「どこへ行こうか。ユキちゃん。おすすめはどこだ?」
「大通駅には札幌の地下鉄、3路線すべてが乗りいれています。
地下歩道を北へあるけばJR札幌駅。
南へいくともうひとつの地下街、ポールタウンへ出ます」
さすが札幌の中心地、選択肢はやまほどありそうだ。
「ランチはまだ早い。
どこか落ち着ける所でコーヒーなんか呑みたいな」
「それなら3択っしょ。
観光客向け、地元民向け、学生御用達、どれがいいべ?」
「へぇぇ。学生御用達の店があるの、北の都・札幌に!」
「北海道大学には、一万人を超える学生が居るしょ。
学生たちの胃袋を毎日満たしている食堂がキャンパス周辺にいっぱいあるの。
量が多くておいしいのは基本。
その上、安いし!。大学周辺はB級グルメの聖地です」
「学生ご用達の喫茶店がいいな」
「おすすめは、北海道大学正門から徒歩3分。
昭和が薫る喫茶店があります。
漫画が並ぶ本棚の横を抜けると、カウンターとソファーの席があります」
「いいねぇ。君の母校を見ながらコーヒーを楽しもうか」
「おしゃれに洋食を食べられる喫茶店もあるっしょ。
ドリアやピザがおすすめで、焼き立ての、熱々が食べられるべ」
「ますますいいね。じゃ早速、君の母校、北大へ行こうか」
「南北線に乗って、ここからふたつめの北12条駅まで行きます。
駅からキャンパスまで徒歩4分。
地下鉄はあっというまに着いてしまいます。
ただし・・・」
「ただし?、なんだ、いまさら何か問題でもあるのか?」
「この駅は3路線すべてが乗り入れているので、構内は広いっしょ。
改札口は地下1階。プラットホームは地下2階。
そこまで自力で歩くようですが・・・」
「なんだ。俺のことを心配しているのか。
さっきは一時的な、ただの不具合だ。
年寄りあつかいするな。
階段でも通路でもシャンシャン元気に歩いて見せるぞ!」
(だいじょうぶかしら、ホントウに・・・)
妻が眉をひそめる。
(99)へつづく
ベンチで休息しはじめてかれこれ30分。
気分が落ち着いてきた。
「なんだったんだ。さっきまでの重い疲労感は・・・」
「だいじょうぶ?」妻が顔をよせてくる。
落ち着いたみたいだ。もう歩けるだろうと立ち上がる。
「無理しないで。若くないんだから」妻が心配そうに見つめる。
「どこへ行こうか。ユキちゃん。おすすめはどこだ?」
「大通駅には札幌の地下鉄、3路線すべてが乗りいれています。
地下歩道を北へあるけばJR札幌駅。
南へいくともうひとつの地下街、ポールタウンへ出ます」
さすが札幌の中心地、選択肢はやまほどありそうだ。
「ランチはまだ早い。
どこか落ち着ける所でコーヒーなんか呑みたいな」
「それなら3択っしょ。
観光客向け、地元民向け、学生御用達、どれがいいべ?」
「へぇぇ。学生御用達の店があるの、北の都・札幌に!」
「北海道大学には、一万人を超える学生が居るしょ。
学生たちの胃袋を毎日満たしている食堂がキャンパス周辺にいっぱいあるの。
量が多くておいしいのは基本。
その上、安いし!。大学周辺はB級グルメの聖地です」
「学生ご用達の喫茶店がいいな」
「おすすめは、北海道大学正門から徒歩3分。
昭和が薫る喫茶店があります。
漫画が並ぶ本棚の横を抜けると、カウンターとソファーの席があります」
「いいねぇ。君の母校を見ながらコーヒーを楽しもうか」
「おしゃれに洋食を食べられる喫茶店もあるっしょ。
ドリアやピザがおすすめで、焼き立ての、熱々が食べられるべ」
「ますますいいね。じゃ早速、君の母校、北大へ行こうか」
「南北線に乗って、ここからふたつめの北12条駅まで行きます。
駅からキャンパスまで徒歩4分。
地下鉄はあっというまに着いてしまいます。
ただし・・・」
「ただし?、なんだ、いまさら何か問題でもあるのか?」
「この駅は3路線すべてが乗り入れているので、構内は広いっしょ。
改札口は地下1階。プラットホームは地下2階。
そこまで自力で歩くようですが・・・」
「なんだ。俺のことを心配しているのか。
さっきは一時的な、ただの不具合だ。
年寄りあつかいするな。
階段でも通路でもシャンシャン元気に歩いて見せるぞ!」
(だいじょうぶかしら、ホントウに・・・)
妻が眉をひそめる。
(99)へつづく