北へふたり旅(103)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/97/56e9af233b56e6242d32d3aa3484d023.jpg)
気がついたら時計が午後の1時をまわっている。
今日は旅の3日目、明日の午前10時30分から、帰路の長い電車旅がはじまる。
(ということは札幌へ居るのは、実質あと半日か・・・)
学生たちの喫茶店でゆっくりコーヒーをのんだ後、
海鮮丼が食べたいという妻の希望で、北大近くの食堂へ場所を移した。
メニュー表を見て驚いた。一番高い海鮮丼でも1400円。
「安いな。大丈夫か此処・・・鮮度は?」
「ご心配なく。ここは学生向けの極安食堂だべさ。
でも間違っても大盛を頼まないでほしいっしょ。
驚くなかれ、普通サイズがすでに超大盛ですから。うふっ」
「大盛りの店なのか。ここは」
「当たり前です。あなたと違い若い人たちは食欲旺盛。
学生たちの胃袋を満足させるのが、こちらのお店の売りなのでしょう。
スペシャルをひとつを頼んで、あなたとわたしで分けましょう。
ユキちゃんは遠慮しないで大盛りを頼んでください。
気にしないで。どうせ主人のおごりですから。うふっ」
「ごちそうさまです」ユキちゃんが満面の笑みを見せる。
「あれ・・・」
食事をして落ち着いたせいか、身体がすこし軽くなった気がする。
(メシで満たされたのか。それともユンケルが効いてきたのか。楽になったぞ)
これなら街中を歩けそうだ。
「腹も満たされたので気力がもどってきた。
さて。これから娘に頼まれた、北海道土産の調達に行くとするか」
「もしかして、ユンケルが効いたのかしら。
顔色も良くなってきたようです」
「娘から頼まれたみやげが、なんだかんだメモにぎっしり書いてある。
じゃがポックルと白い恋人は知ってるが、ロイズの生チョコ、
ルタオのドゥーブルフロマージュ、白樺の木肌を黒と白のチョコで再現した
バームクーヘン・・・
いったいどこで売ってるんだ。こんなもの。
ぜんぶ買っていきたいが、探し出すだけで大変だ」
「ホント。全部買えるかしら・・・」
ユキちゃんがメモを覗き込む。
「ガイドブックさ乗ってるお店ばかりですねぇ。
広範囲っしょ。こったらお店を回るだけで、きっと一日かかります」
「えっ・・・そんなに時間がかかるの。全部買うには」
「札幌はひろいですからねぇ。
郊外のお店もおおいですし、回り切れないかもしれないべさ」
「まいったなぁ。なんとかならないか?」
「うふっ。心配にはおよばないべ
タクシーで飛び回らなくても、簡単に手に入る良い方法があるっしょ。
私に任せてほしいべさ。海鮮丼のお礼です」
手に入る方法があると聞いて、ホッとした。
娘から土産のリストをわたされたとき、実はドキッとした。
名前は聞いたことがある。しかしほとんどが札幌郊外の有名店ばかり。
(今どきの子は白い恋人たちで満足しないんだな)
「あたりまえです。北海道は食の宝庫。
おさかな、おにく、おやさい、くだもの、牛乳、乳製品・・・
美味しいものを数え上げたらきりがありません」
(104)へつづく
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気がついたら時計が午後の1時をまわっている。
今日は旅の3日目、明日の午前10時30分から、帰路の長い電車旅がはじまる。
(ということは札幌へ居るのは、実質あと半日か・・・)
学生たちの喫茶店でゆっくりコーヒーをのんだ後、
海鮮丼が食べたいという妻の希望で、北大近くの食堂へ場所を移した。
メニュー表を見て驚いた。一番高い海鮮丼でも1400円。
「安いな。大丈夫か此処・・・鮮度は?」
「ご心配なく。ここは学生向けの極安食堂だべさ。
でも間違っても大盛を頼まないでほしいっしょ。
驚くなかれ、普通サイズがすでに超大盛ですから。うふっ」
「大盛りの店なのか。ここは」
「当たり前です。あなたと違い若い人たちは食欲旺盛。
学生たちの胃袋を満足させるのが、こちらのお店の売りなのでしょう。
スペシャルをひとつを頼んで、あなたとわたしで分けましょう。
ユキちゃんは遠慮しないで大盛りを頼んでください。
気にしないで。どうせ主人のおごりですから。うふっ」
「ごちそうさまです」ユキちゃんが満面の笑みを見せる。
「あれ・・・」
食事をして落ち着いたせいか、身体がすこし軽くなった気がする。
(メシで満たされたのか。それともユンケルが効いてきたのか。楽になったぞ)
これなら街中を歩けそうだ。
「腹も満たされたので気力がもどってきた。
さて。これから娘に頼まれた、北海道土産の調達に行くとするか」
「もしかして、ユンケルが効いたのかしら。
顔色も良くなってきたようです」
「娘から頼まれたみやげが、なんだかんだメモにぎっしり書いてある。
じゃがポックルと白い恋人は知ってるが、ロイズの生チョコ、
ルタオのドゥーブルフロマージュ、白樺の木肌を黒と白のチョコで再現した
バームクーヘン・・・
いったいどこで売ってるんだ。こんなもの。
ぜんぶ買っていきたいが、探し出すだけで大変だ」
「ホント。全部買えるかしら・・・」
ユキちゃんがメモを覗き込む。
「ガイドブックさ乗ってるお店ばかりですねぇ。
広範囲っしょ。こったらお店を回るだけで、きっと一日かかります」
「えっ・・・そんなに時間がかかるの。全部買うには」
「札幌はひろいですからねぇ。
郊外のお店もおおいですし、回り切れないかもしれないべさ」
「まいったなぁ。なんとかならないか?」
「うふっ。心配にはおよばないべ
タクシーで飛び回らなくても、簡単に手に入る良い方法があるっしょ。
私に任せてほしいべさ。海鮮丼のお礼です」
手に入る方法があると聞いて、ホッとした。
娘から土産のリストをわたされたとき、実はドキッとした。
名前は聞いたことがある。しかしほとんどが札幌郊外の有名店ばかり。
(今どきの子は白い恋人たちで満足しないんだな)
「あたりまえです。北海道は食の宝庫。
おさかな、おにく、おやさい、くだもの、牛乳、乳製品・・・
美味しいものを数え上げたらきりがありません」
(104)へつづく