如何に歳を重ねるか?
日本はあっという間に、老人の比率が高くなり高齢社会といえる状態になりました。おかげさまで、老人に接する機会を多くもち「老人学」とも言える勉強をさせていただいています。私も、いつの日かは見るからに身も心も老人の域に達し、若い日に磨き、積み重ねたものもすっかり脱ぎ取られて老いぼれていくのでしょう。
長生きをすればのことではありますけれど…これは未来のことで、誰もどうなっていくかはわかりませんから、今を幸せと思っていられるのかも知れません。
幸い?なのか、身内に老人学の先生とも言うべき老病人がいます。先に生まれたことは、確かに後に続く人間に教え諭してくれる「先生」、「これから先はこのように生長していくのですよ」と自ら先輩はモデルを務めてくれて見せてくださるのでした。自然、自分自身の将来の展望を思い考えさせられます。
そこで身体が不自由になった者が出来るだけ楽に過ごせるようにとの思いで、ヘルパーの勉強に興味を持ちました。3級の資格がある者が受講資格の条件で、市の主催のヘルパー2級取得講座に当選し、1年近くを要して勉強しました。
勉強するのに朝から暗くなるまでで弁当持参ですから、まわりの者たちに協力してもらわなければ出来なかったことでした。
病人(老人)の移動―ベッドから車椅子へまたその逆の動作、車椅子の移動―特に坂道の介護者の位置に注意、洗髪、衣類の着脱、シーツの交換などなど…もう10年近く昔のことですが、あの時はたくさんの講師がいらっしゃいました。ときには、紙おしめ体験をして翌日はレポート提出もあり!でした。それは夜実際におしめを使うのです。なかなかできることではありません。寝る姿勢ではとうとう出なかったことが思い出されます。しかし思った程の使用後の肌の不快感はありませんでしたが、お尻がおしめで大きくなった大人の姿は、何とも切ない気分です。
老人健康保健施設にお世話になっている身内を看ているので、今は復習も兼ねているかなぁ?と、時々その勉強を思い出します。そして最近実習生も見えます。
写真はこの老健施設の職員の方のディスプレイ。とても心のこもったものを感じます。働くヘルパーさんには、いろいろな面で優しさが感じられとてもいいご縁を感謝しています。人は人の優しい心によって癒されることが大きいことを実感します。
若いときに学んできたことも、突然病により壊されてしまうこともあるのですから…!
さて私はどの道に進ませてくれるのでしょうか?神のみぞ知る…のでしょうか? 理性・判断面が多少壊れたとしても、感謝の心だけは忘れない、憎めない―可愛いおばあちゃんになっていってくれることを望むだけですが…!
利用者は食堂に一日3回(おやつを入れれば5回)は集まります。この階はこの階の住人の食堂です。他の階の方はその階の食堂にですので、上階がどんなディスプレイかはわかりませんが…。利用者みなさんの風景が私の先生でおられるのです。
(これら4枚の写真はカメラ付き携帯で撮影しました)
☆1935年(昭和10)の高齢化率(65歳以上の人口が総人口に占める割合)が4.7%と最低であった。1950~1975年の出生率低下によって、高齢化現象が進んだ。それ以降は、死亡率の改善により高齢化が進んでいる。2005年(平成17)には20.04%と上昇した。
☆65歳以上の高齢者が全人口の21%を超えると超高齢社会という。今後も高齢化率は上昇し続け、2025年には30%程度になると予想されている。
◎2006年版、高齢化社会白書(2006年6月2日閣議決定)2005年10月1日現在の統計
・65歳以上の高齢者人口 2,560万人、総人口に占める比率(高齢化率)20.04%(前年19.5%)、過去最高。
・高齢者のうち独り暮らしの割合は、2005年の推計値で男性が9.1%、女性が19.7%。
何世代もの人たちが一緒に暮らす昔ながらの日本の家族が究極の家族の姿ではないかと。
若い人ばかりの社会、年寄りばかりの社会は不自然です。人間は生まれたら、年を取りやがて亡くなっていく。赤ちゃんが生まれた時の喜び、年を取ると不自由なことがおきてくる。亡くなった時の悲しみ。そこで初めて生と死、人間の一生をを知ることができる。
とは言え、年寄りの世話が皆、嫁1人に背負わされる等の弊害もあるのも現実だし、私自身「嫁の身の何と不自由なことよ」と、常々思ってもいます。年を取っても子供たちの世話にはなりたくない、最後まで1人で暮していきたいと思っているのですが、こればかりは理想と現実はどうなるかわからないでしょうけどね。
生き物の一生を見ながら若い者が学んで行く・知恵を頂く。生老病死を見守り、見つづけることでなんとかならないかと科学が発達して…ぼんやりとだが考えますね!
ピンシャンとしていた肉親がそうでなくなることを見ていることも辛い。辛いけれどそれから理解することが多くあるだろうことも…。