先日、夫がティム・バートン版『スウィーニー・トッド』を観ていた。
夕飯の支度時にリビングでDVDを再生されると、
カウンターキッチンに立つ妻は否応なくそれを鑑賞せざるを得ない訳で…。
先端恐怖症気味のわたしは、日本語字幕なのをいいことに、
危険そうな場面になるとすかさず画面から目をそらしていたのだった。
(感想:この話、救いがないなー)
今でこそフィクションの世界にはある程度免疫ができ、
ご飯を食べながら『BONES』を観たりもしているのだが、
昔はそうたくましくもなかったから、
半強制的に観せられる作品が少々苦手だった。
でも、学校というやつは個々の児童の好みなんか関係無しに、
映画やら演劇やらを一律、集団で鑑賞させるもので…。
文部省推薦だか何だか知らないが、
全校生徒を集めて体育館で上映された映画は、
戦争で疎開した子供が田舎の子供たちの惨い苛めに遭う…という、
過去苛めを受けた経験があるわたしにはキツイ内容で、
さすがにその時ばかりは仮病を使い保健室に逃げたものだった。
(感情移入をしやすいたちなもので、虚構の物語でもすぐのめりこみ、
すぐ感動し、すぐ傷つく子供でありました)
そう、小学生の頃は、劇団の公演等も学校行事か何かで時折観に行ったのです。
あれから20年以上経ったけれど、
実は楽しかったとか、面白かったとかいう、
明るい感想を持った作品のことは覚えていない。
ぼんやり記憶しているのは、子供心に「怖かった」作品のことである。
ひとつは…斬新な“白雪姫”だった。
多分マスクプレイミュージカルの部類に入るものだったんだけど、
ぬいぐるみの頭と演者の体のアンバランスさが、なんだか怖くて。
ストーリーもどことなく不気味だった。
自らの美しさにこだわるあまり、
魔女に毒りんごをもらって白雪姫に食べさせたお妃が、
ラストには美貌を失い、魔女の仲間にさせられてしまうというところが衝撃的で。
白雪姫と王子様のまばゆい幸福に寄り添うように、
無残な罰を受けるお妃の姿が描かれているのが印象的だった。
(パンフに岸田今日子が解説を書いていたような気が…)
もうひとつは“ほていどん”。怖かったね!これは。
図体がでかくて心優しい“ほていどん”と呼ばれる男の人が、
村の人々に利用された挙句、斬首されて、
最後は赤い照明の中を頭のない状態で歩いていたような…。
(おぼろげな記憶なので確かなところは分からないけれど、
劇団ひまわりの『くびなしほていどん』だったのかな…?
今回ネットで調べてみたけれど、
お芝居ってそれほど沢山記録が残っていないのですね)
どちらも、甘いハッピーエンドで終わらない、一癖ある話。
当時のわたしは、物語からひとの心の闇の部分を感じて、
ざわざわと寒気がしたのかもしれない。
(お妃も、村の人々も、自分勝手な理由から他人を陥れようとする訳で…)
観られるものなら同じ作品をもう一度鑑賞して、
その恐怖の根源を探ってみたい気もします。
(…そういえば“ほていどん”の役も着ぐるみだったような。
もしかして…単に着ぐるみが動くのが怖かったのか?それだけか?)