昭和47年9月、有吉先生との第27期A級順位戦です。

有吉先生は得意の玉頭位取りを目指していたのだと思います。大山先生は穴熊に。

穴熊に玉頭位取りはまずいという認識があったのだと思います。私も玉頭位取り対策の意味もあって振り飛車穴熊が流行したのだと昔は思っていました。でもデータはありません。やってみれば悪くないはずです。34銀を23銀とすれば銀冠ですし。
有吉先生は矢倉の引き角に。

ここでは大山先生の作戦勝ちです。現代なら後手はここから銀冠や穴熊に組みなおすところです。

互いに手待ちのようなやり取りで、千日手でもと思いましたが、有吉先生が仕掛けます。若いころから攻め将棋で、千日手は嫌いなのでしょう。

角は空成りです。後手の攻めがどれだけ効果があるかで優劣が決まります。

飛車交換を迫るんですね。77歩成があるからいいということなんですが、本当かな?

大山先生は我慢します。これを有吉先生が逆用してもう一度決戦を迫ります。

1手パスをして金を寄らせた計算で、香車を捨てます。


1歩手に入れて87歩が狙い。取れば棒銀です。飛車を逃げるところがないです。

さらに辛抱した78金(これが玉から離れるのがつらい)に88歩成が利きました。88同金は77歩成同桂97歩で飛車が成れます。

飛車交換の後の打ち込みに飛車を合わせて金を寄せる手筋。

もう一回飛車の打ち込みに銀を左にかわしたのがわかりません。49銀は後で47桂が嫌なんでしょうか。47銀だと55桂が入る。とはいえこれではつらいです。

77歩成はまた驚きます。77同金に同銀成とはできないので、39飛成同銀77銀成かと思ったら71飛で取り返されます。とすれば77同金に47桂ですか。金取りに飛車を成って金を取ろうと。
それを大山先生が見落としたというか、有吉先生に発見されたので敗勢です。

穴熊から端を詰めても金銀を取られるのではだめそう。

穴熊なので王手で形が乱されます。

歩で竜の横利きが止まるのでは大山先生の攻めは切れてしまいました。

有吉先生からの寄せは桂打ちで39金を狙います。

こんな俗手で寄せられるのでは残念。受ける駒がありません。
最初に飛車をぶつけられた時に交換するほうが勝負になったはずです。その前は大山先生の作戦勝ちと思っていたのですが、どこかまずかったでしょうか?有吉先生からの仕掛けがきれいに決まって、快勝です。大山先生の金銀が離れていくのでいいところがありません。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:大山王将
後手:有吉8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 5四歩(53)
13 2八玉(38)
14 4二銀(31)
15 1八香(19)
16 5二金(61)
17 1九玉(28)
18 7四歩(73)
19 2八銀(39)
20 3三銀(42)
21 6七銀(78)
22 3一角(22)
23 7七角(88)
24 8五歩(84)
25 8八飛(68)
26 4四歩(43)
27 5八金(69)
28 2二玉(32)
29 4六歩(47)
30 3二金(41)
31 3九金(49)
32 4三金(52)
33 3六歩(37)
34 9四歩(93)
35 9六歩(97)
36 1四歩(13)
37 5九角(77)
38 4二角(31)
39 3七角(59)
40 7三銀(62)
41 5六銀(67)
42 5二飛(82)
43 4七銀(56)
44 8二飛(52)
45 1六歩(17)
46 8四飛(82)
47 5六銀(47)
48 9三香(91)
49 4五歩(46)
50 同 歩(44)
51 同 銀(56)
52 4四歩打
53 5六銀(45)
54 7五歩(74)
55 同 歩(76)
56 6四銀(73)
57 6五歩(66)
58 7五銀(64)
59 9一角成(37)
60 7六歩打
61 6七銀(56)
62 8六歩(85)
63 同 歩(87)
64 同 飛(84)
65 8七歩打
66 8四飛(86)
67 6八金(58)
68 9五歩(94)
69 同 歩(96)
70 8六歩打
71 同 歩(87)
72 9五香(93)
73 同 香(99)
74 8七歩打
75 9八飛(88)
76 8六飛(84)
77 7八金(68)
78 8八歩成(87)
79 同 飛(98)
80 同 飛成(86)
81 同 金(78)
82 6九飛打
83 5八銀(67)
84 6八飛成(69)
85 7八飛打
86 同 龍(68)
87 同 金(88)
88 5九飛打
89 6七銀(58)
90 8九飛成(59)
91 7一飛打
92 8六銀(75)
93 8一飛成(71)
94 7七歩成(76)
95 1五歩(16)
96 6七と(77)
97 1四歩(15)
98 7八龍(89)
99 1三歩成(14)
100 同 香(11)
101 同 香成(18)
102 同 桂(21)
103 1四歩打
104 1五香打
105 1七香打
106 同 香(15)
107 同 桂(29)
108 7一歩打
109 1三歩成(14)
110 3一玉(22)
111 2六香打
112 4七桂打
113 2九金(39)
114 3九金打
115 4八歩打
116 2九金(39)
117 同 玉(19)
118 6九龍(78)
119 3八玉(29)
120 2九銀打
121 3七玉(38)
122 3八金打
123 投了
まで122手で後手の勝ち

有吉先生は得意の玉頭位取りを目指していたのだと思います。大山先生は穴熊に。

穴熊に玉頭位取りはまずいという認識があったのだと思います。私も玉頭位取り対策の意味もあって振り飛車穴熊が流行したのだと昔は思っていました。でもデータはありません。やってみれば悪くないはずです。34銀を23銀とすれば銀冠ですし。
有吉先生は矢倉の引き角に。

ここでは大山先生の作戦勝ちです。現代なら後手はここから銀冠や穴熊に組みなおすところです。

互いに手待ちのようなやり取りで、千日手でもと思いましたが、有吉先生が仕掛けます。若いころから攻め将棋で、千日手は嫌いなのでしょう。

角は空成りです。後手の攻めがどれだけ効果があるかで優劣が決まります。

飛車交換を迫るんですね。77歩成があるからいいということなんですが、本当かな?

大山先生は我慢します。これを有吉先生が逆用してもう一度決戦を迫ります。

1手パスをして金を寄らせた計算で、香車を捨てます。


1歩手に入れて87歩が狙い。取れば棒銀です。飛車を逃げるところがないです。

さらに辛抱した78金(これが玉から離れるのがつらい)に88歩成が利きました。88同金は77歩成同桂97歩で飛車が成れます。

飛車交換の後の打ち込みに飛車を合わせて金を寄せる手筋。

もう一回飛車の打ち込みに銀を左にかわしたのがわかりません。49銀は後で47桂が嫌なんでしょうか。47銀だと55桂が入る。とはいえこれではつらいです。

77歩成はまた驚きます。77同金に同銀成とはできないので、39飛成同銀77銀成かと思ったら71飛で取り返されます。とすれば77同金に47桂ですか。金取りに飛車を成って金を取ろうと。
それを大山先生が見落としたというか、有吉先生に発見されたので敗勢です。

穴熊から端を詰めても金銀を取られるのではだめそう。

穴熊なので王手で形が乱されます。

歩で竜の横利きが止まるのでは大山先生の攻めは切れてしまいました。

有吉先生からの寄せは桂打ちで39金を狙います。

こんな俗手で寄せられるのでは残念。受ける駒がありません。
最初に飛車をぶつけられた時に交換するほうが勝負になったはずです。その前は大山先生の作戦勝ちと思っていたのですが、どこかまずかったでしょうか?有吉先生からの仕掛けがきれいに決まって、快勝です。大山先生の金銀が離れていくのでいいところがありません。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:大山王将
後手:有吉8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 5四歩(53)
13 2八玉(38)
14 4二銀(31)
15 1八香(19)
16 5二金(61)
17 1九玉(28)
18 7四歩(73)
19 2八銀(39)
20 3三銀(42)
21 6七銀(78)
22 3一角(22)
23 7七角(88)
24 8五歩(84)
25 8八飛(68)
26 4四歩(43)
27 5八金(69)
28 2二玉(32)
29 4六歩(47)
30 3二金(41)
31 3九金(49)
32 4三金(52)
33 3六歩(37)
34 9四歩(93)
35 9六歩(97)
36 1四歩(13)
37 5九角(77)
38 4二角(31)
39 3七角(59)
40 7三銀(62)
41 5六銀(67)
42 5二飛(82)
43 4七銀(56)
44 8二飛(52)
45 1六歩(17)
46 8四飛(82)
47 5六銀(47)
48 9三香(91)
49 4五歩(46)
50 同 歩(44)
51 同 銀(56)
52 4四歩打
53 5六銀(45)
54 7五歩(74)
55 同 歩(76)
56 6四銀(73)
57 6五歩(66)
58 7五銀(64)
59 9一角成(37)
60 7六歩打
61 6七銀(56)
62 8六歩(85)
63 同 歩(87)
64 同 飛(84)
65 8七歩打
66 8四飛(86)
67 6八金(58)
68 9五歩(94)
69 同 歩(96)
70 8六歩打
71 同 歩(87)
72 9五香(93)
73 同 香(99)
74 8七歩打
75 9八飛(88)
76 8六飛(84)
77 7八金(68)
78 8八歩成(87)
79 同 飛(98)
80 同 飛成(86)
81 同 金(78)
82 6九飛打
83 5八銀(67)
84 6八飛成(69)
85 7八飛打
86 同 龍(68)
87 同 金(88)
88 5九飛打
89 6七銀(58)
90 8九飛成(59)
91 7一飛打
92 8六銀(75)
93 8一飛成(71)
94 7七歩成(76)
95 1五歩(16)
96 6七と(77)
97 1四歩(15)
98 7八龍(89)
99 1三歩成(14)
100 同 香(11)
101 同 香成(18)
102 同 桂(21)
103 1四歩打
104 1五香打
105 1七香打
106 同 香(15)
107 同 桂(29)
108 7一歩打
109 1三歩成(14)
110 3一玉(22)
111 2六香打
112 4七桂打
113 2九金(39)
114 3九金打
115 4八歩打
116 2九金(39)
117 同 玉(19)
118 6九龍(78)
119 3八玉(29)
120 2九銀打
121 3七玉(38)
122 3八金打
123 投了
まで122手で後手の勝ち