名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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大山将棋研究(75); 矢倉中飛車

2016-02-24 | 大山将棋研究
昭和47年12月、原田先生と第1回早指し選手権です。


このころの原田先生は多分振り飛車党だったのですが、大山先生が25歩を決めなかったので居飛車に。

相矢倉のようですが、普通に組んでいると78玉をとがめられそうで、変化球です。

矢倉中飛車になりました。先手番で矢倉を目指したら好んで指す人はいないでしょう、普通は後手番での戦法です。

互いに早囲いになり、相手の飛車に近い方に玉がいるほうが不利です。原田先生はその玉頭で戦えます。

大山先生らしい銀の繰り替え。でも位を取られては作戦負け。

しかし原田先生の64歩が問題で、位が消えてしまいます。

逆に大山先生が位を取って盛り返しました。原田先生も対抗して位を取っています。

また駒組みになり、原田先生から仕掛けます。でも厚く構えているところから仕掛けるので効率が悪いです。端攻めを見せて様子を見るのが正しいでしょう。そのあとの打開は難しいので、何とも言えませんが。原田先生が千日手を選ぶわけはないので、攻めたくなるのもよくわかります。

大山先生は形を気にせず全力で守ります。

銀を打ってけん制します。

桂馬を取るのは危険なので角筋を遮断。ここで65歩77銀を決めてしまったのですが、83飛~86歩同歩62歩同銀64角~86角という筋で角交換しないと勝てないでしょう。このあたりが原田先生の敗因です。

大山先生も攻め味を見せます。いろいろなところに手が付いて複雑な方が好みなのでしょう。

86歩に同歩と取ったので継歩が来ました。これは小さなミス。


87歩を打てて一安心。受けきりが見えてきました。

42角を封じてあるので、金で飛車を責めればはっきりしてきました。

飛車取り放置で手筋の攻めですが

もう先手玉が寄りません。

後手玉が寄るか入玉できるかということになり

攻めつつも自玉を安定させるのは早指しの時のテクニック。最善手というわけではないのですが。

ここか少し先で36歩から上部開拓をするしかなかったでしょう。以下は後手玉が入られるかどうかの攻防。

投了図。171手の熱戦ではありましたが、短い持ち時間ではミスも多くなります。


昨日相居飛車にされたらどうするのだろうかと書いていたら、矢倉中飛車ですか。もちろん若いころは居飛車党だった大山先生ですが、力戦が好みですからそれらしい指し方です。混戦になるときの指し方がうまいです。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山王将
後手:原田8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 4二銀(31)
7 5六歩(57)
8 5四歩(53)
9 6八玉(59)
10 8四歩(83)
11 7八銀(79)
12 5二金(61)
13 7七銀(78)
14 4三金(52)
15 7八玉(68)
16 3三銀(42)
17 4六歩(47)
18 4二玉(51)
19 4七銀(48)
20 3二玉(42)
21 5八飛(28)
22 6二銀(71)
23 5五歩(56)
24 同 歩(54)
25 同 飛(58)
26 7四歩(73)
27 6六歩(67)
28 3一角(22)
29 5八飛(55)
30 8五歩(84)
31 5六銀(47)
32 7五歩(74)
33 同 歩(76)
34 同 角(31)
35 6五銀(56)
36 9四歩(93)
37 4八金(49)
38 8四飛(82)
39 9六歩(97)
40 3五歩(34)
41 4七金(48)
42 3四銀(33)
43 6八金(69)
44 4二角(75)
45 7六銀(65)
46 7五歩打
47 6七銀(76)
48 6四歩(63)
49 7六歩打
50 同 歩(75)
51 同 銀(67)
52 6三銀(62)
53 7五歩打
54 8二飛(84)
55 7九角(88)
56 2二玉(32)
57 8八玉(78)
58 3二金(41)
59 7八金(68)
60 1四歩(13)
61 1六歩(17)
62 7三桂(81)
63 5六金(47)
64 5二飛(82)
65 5五歩打
66 2四歩(23)
67 6八角(79)
68 8二飛(52)
69 2八飛(58)
70 8一飛(82)
71 1七香(19)
72 6五歩(64)
73 同 歩(66)
74 7四歩打
75 6六銀(77)
76 7五歩(74)
77 同 銀(76)
78 7四歩打
79 6四歩(65)
80 同 銀(63)
81 同 銀(75)
82 同 角(42)
83 7二銀打
84 8四飛(81)
85 6三銀成(72)
86 4二角(64)
87 6四歩打
88 6五歩打
89 7七銀(66)
90 8三飛(84)
91 4五歩(46)
92 同 歩(44)
93 2五歩(26)
94 同 歩(24)
95 3六歩(37)
96 8六歩(85)
97 同 歩(87)
98 8五歩打
99 3五歩(36)
100 2三銀(34)
101 8五歩(86)
102 同 桂(73)
103 8六銀(77)
104 4六歩(45)
105 8四歩打
106 同 飛(83)
107 4六角(68)
108 7五歩(74)
109 8七歩打
110 7六歩(75)
111 6五金(56)
112 5六歩打
113 7五金(65)
114 4五歩打
115 4四歩打
116 同 金(43)
117 7九角(46)
118 6八歩打
119 同 金(78)
120 5七歩成(56)
121 同 金(68)
122 7七桂成(85)
123 同 桂(89)
124 同 歩成(76)
125 同 玉(88)
126 8一飛(84)
127 6六金(57)
128 4六歩(45)
129 2四歩打
130 同 銀(23)
131 3六桂打
132 3五金(44)
133 4三歩打
134 3三角(42)
135 2四桂(36)
136 同 角(33)
137 7三歩打
138 4三金(32)
139 7二歩成(73)
140 3一飛(81)
141 7六玉(77)
142 2三玉(22)
143 6五玉(76)
144 3六歩打
145 5四歩(55)
146 3七歩成(36)
147 同 桂(29)
148 2六金(35)
149 3八歩打
150 1七金(26)
151 2五飛(28)
152 3四金(43)
153 2九飛(25)
154 2七歩打
155 5三歩成(54)
156 3五角(24)
157 4三と(53)
158 2四玉(23)
159 2五歩打
160 同 金(34)
161 5九飛(29)
162 1六金(17)
163 5二飛成(59)
164 4七歩成(46)
165 2二龍(52)
166 2三桂打
167 4六歩打
168 3四飛(31)
169 2五桂(37)
170 1七角成(35)
171 3三桂成(25)
172 投了
まで171手で先手の勝ち



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20160224今日の一手<その284>; 有利なときには自然な手がよい

2016-02-24 | 今日の一手
20160224今日の一手

1月24日の名南将棋大会からHさんとOさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。





昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
歩と桂の交換で馬を作っています。持ち歩があるので歩をカウントせず、先手の駒得です。
玉の堅さは同程度。美濃囲いのほうが横からの攻めに強く、矢倉は上部に厚いという違いがあります。
先手の攻め駒は21馬と持ち駒桂で2枚。
後手の攻め駒は36銀と持ち駒角で2枚。

総合すればやや先手有利です。

大局観として
駒得ですから長期戦は歓迎です。47歩成は許してはいけないので、まずはここを受けるのが本筋でしょう。さらに香車を拾って馬を引き付ければ優勢になります。それまでは我慢か。
飛車のさばき合いに持ち込むような変化もあるのですが、それはやや美濃囲いのほうに利があります。駒得もあまり生きませんから慎重に。


○ 実戦は48飛でした。

一番自然に見えますが、さばかれるのも怖いので慎重に読みます。47で清算すれば41金に当たってくるので大丈夫。実戦では39角11馬47歩成

飛角交換を甘受して香車を取りましたが、後手の飛銀をさばかれます。47同銀48角成35歩同飛36銀同飛48金39飛成

一本道ではないのですが、まあ妥当な交換で、この局面は難しいです。実戦では49歩47歩46香52金左41銀62金左55馬

とやったのですが、銀香を無駄遣いして55馬では迫力がありませんでした。

49歩47歩に55馬と引けば74桂が厳しいので64銀

これは駒損で悪そうです。

49歩としないで55馬なら

今度は64銀には37馬で悪くはないです。勢いで48竜74桂92玉95歩67銀

という寄せ合いになるのですが、調べると後手が勝ちのような。難しい終盤です。

それよりも39角に46飛がよかったのです。

42歩に68金上の味がよすぎます。28角成37歩

これで先手の有利が拡大します。

後手としては48飛に39角はまずく、52金左くらいか。

46飛45歩49飛38角11馬

飛角交換は甘受するのは実戦と同じでも、後手の飛車をさばかせてはいけません。49飛で45同銀というのは飛車のさばき合いで玉の堅さが響きます。(金の位置の違い)


○ 38飛とまわると結果が変わってきます。

間接的に47歩成を受けています。角打ちもないので37歩でしょう。そこで48飛に39角は

46飛42歩68金上

これで先手がよいというのはほぼ同じことです。

48飛に52金左は

46飛45歩同銀同銀同飛

今度は後手は37歩が邪魔なので飛車が成れませんから先手有利。
ということで、48飛よりも38飛とまわって37歩を打たせてから48飛のほうが少し得です。


× 43馬は飛車取り。

もし最初に65馬(47歩成を受けた)なら64歩と突かれて

結局43馬ですから、64歩を突かせないほうがいいでしょう。

それで24飛48飛でどうか。

27飛成61馬同銀46飛

45歩同銀47銀成

36銀から飛車の取り合いしかないですが、後手玉が薄いとはいえ銀がそっぽに行くので条件が悪く後手がやや有利です。


△ 48歩はおとなしい手です。

48飛などでさばき合いに自信がなければこれです。27銀成11馬39飛成

55馬29竜46馬

香得で75歩が楽しみ。でも後手に37角と合わせられると悩みますね。46桂と打たれる手も生じます。後手のほうが勝ちやすいでしょうか。


やや有利な局面ですから自然な手がよいです。飛車を使う48飛や38飛でやれるとおもったらその先を考えましょう。39角には46飛が利くから大丈夫、68金右の味がいい、そこまで読めたら十分です。

(この場合は必要ないですが)もしも形勢が互角がやや悪いとなれば第3の候補くらいまでは一応考えるべきで、43馬でよくならないか、48歩と謝っておいたら粘れるかもしれない、というふうに考えます。
形勢がよければ43馬や48歩はやや不自然ですから考えないほうがよい手で、逆転する元になります。

あるいは、もし自然な48飛や38飛で悪いなら形勢がよくないのかも、と考えることもできるのですが。

こういうのは少しの差が影響します。例えば後手の41金が52にあったら玉の堅さに違いがあるわけで、形勢互角か少し悪いのかも、と考えるところでしょう。逆に先手の59金が68にあれば玉の堅さでも優っているわけで、堂々と自然な手が指せますし、飛車のさばき合いでも問題なしです。
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