名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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大山将棋研究(69);四間飛車に65歩急戦

2016-02-18 | 大山将棋研究
昭和47年11月、原田先生と共同記念対局とあります。最強者決定戦(棋王戦の前身)で翌年は原田先生の優勝なのですが、共同通信の企画なのでしょう。


原田先生の四間飛車。大山先生はオーソドックスな急戦?まあちょっと変わったことをしようということでしょうか。

大山先生の65歩が早いです。取れないのですが、四間飛車のままで対応するのが今では常識です。後手番ですし、急戦はあまりうまくいかないのですが、急戦定跡の中では65歩(45歩)は有力です。

これで角交換。歩を打つこと自体は少し損なのですが、ゆっくりになります。

原田先生は軽く45の位を取ります。これは現代将棋のようです。大山先生の64銀を見て動きます。

これで角銀桂で攻めが続きそうですが。

33角に金を上がるしかないのでは攻めはとん挫です。

大山先生は位を取り返して好調。

大山先生の51銀は誘いの隙。原田先生ならすぐに反応します。「玉損の攻め」といわれる攻め将棋です。

これで原田先生が駒得になるのですが。その前に端を工作しておくのがそつのない対応で大山先生の術中です。

返し技。

さらに原田先生の返し技。

原田先生は飛車をさばくことに成功しました。

しかし端を攻められるのがきつい。

ここに金を打つしかないのでは大山先生が優勢なのだとわかります。大山先生はどこから指せるとみていたのでしょうか。

1歩を手に入れて金を打ち込みます。

1歩が役に立ちました。

清算して飛車を打って金を取れば詰めろ。

詰みがはっきりするまで指すのは原田先生のサービス。

早い65歩で急戦とは大山先生らしくないのですが、記念対局ということで勝負を楽しんでいる感じです。
51銀から繰り替えるのは大山先生らしい動き。それを見て動くのは原田先生らしいです。
大山先生の端攻めがクリーンヒットしました。さばき合いの前に端に味をつけておくのが対振り飛車急戦のコツです。後からでは手抜かれてぬるいのです。大山先生の寄せは速くてきれいなんですよね。後手から見て並べて感心します。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:原田8段
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 8四歩(83)
5 7八銀(79)
6 6二銀(71)
7 6七銀(78)
8 4二玉(51)
9 6八飛(28)
10 3二玉(42)
11 4八玉(59)
12 1四歩(13)
13 1六歩(17)
14 4二銀(31)
15 3八玉(48)
16 5四歩(53)
17 2八玉(38)
18 7四歩(73)
19 3八銀(39)
20 5二金(61)
21 4六歩(47)
22 6四歩(63)
23 5八金(69)
24 8五歩(84)
25 7七角(88)
26 6五歩(64)
27 8八飛(68)
28 6六歩(65)
29 同 銀(67)
30 7三桂(81)
31 5六歩(57)
32 6五歩打
33 5七銀(66)
34 7七角成(22)
35 同 桂(89)
36 5三銀(42)
37 4五歩(46)
38 4二金(41)
39 9六歩(97)
40 6四銀(53)
41 4六角打
42 6三金(52)
43 6六歩打
44 同 歩(65)
45 同 銀(57)
46 3三角打
47 6五歩打
48 5三銀(64)
49 6七金(58)
50 4四歩(43)
51 同 歩(45)
52 4五歩打
53 5七角(46)
54 4四角(33)
55 8九飛(88)
56 5一銀(62)
57 8六歩(87)
58 同 歩(85)
59 8四歩打
60 1五歩(14)
61 同 歩(16)
62 1七歩打
63 同 香(19)
64 8四飛(82)
65 5五銀(66)
66 同 歩(54)
67 8四角(57)
68 7八銀打
69 6一飛打
70 5二銀(51)
71 6三飛成(61)
72 同 銀(52)
73 7三角成(84)
74 5四銀(63)
75 8六飛(89)
76 6七銀成(78)
77 8一飛成(86)
78 1六歩打
79 同 香(17)
80 1七歩打
81 1九金打
82 5六歩(55)
83 3六桂打
84 1八金打
85 同 金(19)
86 同 歩成(17)
87 同 玉(28)
88 1七歩打
89 同 桂(29)
90 同 角成(44)
91 同 玉(18)
92 1九飛打
93 1八角打
94 2五桂打
95 2八玉(17)
96 4九飛成(19)
97 同 銀(38)
98 1七金打
99 投了
まで98手で後手の勝ち

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20160218今日の一手<その278>; 遊び駒について

2016-02-18 | 今日の一手
20160218今日の一手

12月19日の名南将棋大会からSさんとJさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の角歩3得です。歩をカウントしないですが、角得で馬を作っています。終盤なので重視はしませんが大きなポイントです。
玉の堅さは同程度。
後手玉の囲いに迫っているものだけを数えて、先手の攻め駒は金銀銀桂で4枚。
後手の攻め駒は56飛47金と持ち駒銀桂で4枚。

総合すれば先手やや有利です。

大局観として
しっかりした受けがあるなら指しておいてもいいです。駒得ですし。互いに戦力はあるので、普通は寄せ合いにもっていくほうがいいでしょう。攻めるなら持ち駒は小駒だけなので、大駒も使うほうがよいでしょう。28の飛車は受けに使うとして、馬や角を使うことを考えます。


× 実戦は46歩でした。

36飛を防いだという意味です。しかし57桂59金58歩と迫られると大変になりました。

68金59歩成48銀同金同飛69銀

がりがり攻められて後手陣はまだ手付かずですから逆転模様です。57桂には59金ではなく68金のほうがよかったのですが、難しい形勢です。


△ 別の受けを見てみます。57歩は

36飛44馬39飛成

68飛57金61銀

これで寄せ合いです。62歩72銀成同玉53金71銀75桂

とにかく後手玉に寄り付かなければいけないのですが、なかなか難しいです。先手玉は56桂が回ると、清算は詰みそうなのでどこかで逃げて詰めろをかけられて、という感じで4手すきくらい。
形勢は互角です。


○ 66馬は少し怖い受け方ですが

36飛54歩52歩95歩

これは端攻めが厳しいです。39飛成は防いでいるので馬を引くのは攻防なわけです。

怖いというのは切られた時ですが、

66同歩45角88玉

これは78銀と埋めるのが楽しみです。飛車を持ったので後手玉を横から攻めやすいでしょう。

○ 45銀はもう少しわかりやすい受けです。

36飛も防いでいますし、53飛44馬51飛35角

こうなれば寄せがわかりやすいですね。銀を打ったので1枚攻め駒が減ったので、馬を使い、さらに角まで使えたらお釣りが来ます。


○ 攻める方を見てみましょう。35角は

36飛44馬39飛成18飛

57桂79金38歩61銀

これで後手玉は詰めろ、48竜で68金打なら問題なく先手の勝ちです。後手玉が詰まなくても問題ないくらいです。


○ 44馬を先にして

36飛61銀39飛成29金

と、曲線的に攻めるのもあります。28竜同金48飛68角28飛成くらいなので

72銀成同銀71銀93玉66馬84歩85桂83玉82飛74玉84飛成63玉62金53玉44竜、長いですがぴったり詰みもあります。


駒得で戦力が多かったので、いろいろな勝ち方がありました。でも駒得だけで勝てるわけではないのです。駒得で遊び駒がなければ有利なのはほぼ間違いないです。(ただし戦力だけ10枚あっても守りが薄ければ負けのこともあり、余計な戦力は遊んでいるともいえます。)やや遊んでいる33馬を使うように心がければ勝ちになります。

遊び駒という概念は案外に難しく、形勢判断のところでは考慮しないほうがわかりやすいです。考慮しなくても、玉の堅さと攻め駒(の4枚)を考えれば、それに含まれるので十分です。

後手の36飛から39飛成は馬や飛に当たるので速い寄せなのですが、それだけを防いでも57桂から迫るのも重い(遅い)けれど確実な攻めなのです。なので実戦の46歩では難しくなってしまいました。

飛車を攻めながら受ける手は攻防になります。
攻めるなら33馬を使うこと、さらに79角も世に出せば簡単です。




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