名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(59); 四間飛車に持久戦

2016-02-08 | 大山将棋研究
昭和47年10月、芹沢先生と第5回連盟杯争奪戦です。


芹沢先生が急戦、大山先生は四間飛車穴熊に見えたのですが

46歩に32金と備えられて、ということですが芹沢先生が作戦に凝った感じです。飛車先を決めず、46歩はみませんね。

さらに端角ですが、大山先生は銀を繰り替えて対応します。

大山先生は穴熊は放棄して、芹沢先生は位取りのような変な持久戦です。

いろいろ歩がぶつかっての中盤戦。

角をさばいて、これは受けにくそうです。

いろいろ謝ってどうにか収まりました。

我慢ばかりでは勝てないので芹沢先生の反撃。

これでまあまあなのですが、歩切れの制約があります。

控えて打つ歩。33桂をさばけるので大山先生が好調です。

さらに自陣角。この局面なら打たざるを得ないのですが、これで十分と思っているのが大山先生です。

大山先生の角と桂がさばけました。

桂馬を取られるとはいえ38歩成が受けられません。これで技ありです。

桂馬を損しても作ったと金を使います。

54桂に62の銀を51に引くのはあれ?と思います。

62歩に52銀上を見ていたのですね。桂馬でこの銀は取られますが、61歩成を実現させません。

飛車をさばいて馬と銀に制約を課して、さらに と金が使えました。大山先生が優勢です。

芹沢先生の24馬は変な手ですが、39飛成とやってくれないかなあ、という勝負手。もちろん大山先生は応じず、銀を取ります。

投了図。大差になりました。

芹沢先生の46歩は予定だったのでしょうか?わからない作戦です。大山先生が普通に応じていたらどうなったのでしょう。もしかすると中央位取りでしょうか。それを大山先生が54歩で拒否して、端角から持久戦になったということなのかもしれません。
そのあと駒がぶつかるのですが、55角と出たところで大山先生がややリード。角交換の後の陣形のまとめ方が流石でした。44歩とか64角とか51銀とか受けの好手がちりばめられています。そして31飛をどこかで狙っていて、実現した後は と金を使って攻めればよいという落ち着いた指し回しが大山将棋という感じがします。先手後手逆にして並べてみてください。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:芹沢8段
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5八金(49)
14 8二玉(72)
15 3六歩(37)
16 4三銀(32)
17 6八銀(79)
18 9二香(91)
19 4六歩(47)
20 3二金(41)
21 5七銀(48)
22 5四歩(53)
23 6六歩(67)
24 6四歩(63)
25 9六歩(97)
26 5二銀(43)
27 9七角(88)
28 6三銀(52)
29 6七銀(68)
30 4一飛(42)
31 4八飛(28)
32 6二銀(71)
33 7五歩(76)
34 4三金(32)
35 8六角(97)
36 7二金(61)
37 8八玉(78)
38 5一飛(41)
39 7八金(69)
40 5五歩(54)
41 同 歩(56)
42 同 飛(51)
43 3八飛(48)
44 5一飛(55)
45 3五歩(36)
46 4五歩(44)
47 7七角(86)
48 4六歩(45)
49 3四歩(35)
50 5五角(22)
51 4八飛(38)
52 3七歩打
53 3三歩成(34)
54 同 桂(21)
55 3九歩打
56 4四角(55)
57 5六歩打
58 2四歩(23)
59 6五歩(66)
60 7七角成(44)
61 同 桂(89)
62 6五歩(64)
63 3二角打
64 5四金(43)
65 4六銀(57)
66 4四歩打
67 4三歩打
68 6四角打
69 4二歩成(43)
70 同 角(64)
71 4三角成(32)
72 7五角(42)
73 4九飛(48)
74 4五桂(33)
75 5五歩(56)
76 6四金(54)
77 4四馬(43)
78 3一飛(51)
79 4五銀(46)
80 3八歩成(37)
81 7九飛(49)
82 4八と(38)
83 6八金(58)
84 4七と(48)
85 5四桂打
86 5一銀(62)
87 6二歩打
88 5二銀(51)
89 4二桂成(54)
90 4三歩打
91 2二馬(44)
92 3五飛(31)
93 5二成桂(42)
94 同 銀(63)
95 2三馬(22)
96 5七と(47)
97 2四馬(23)
98 6七と(57)
99 同 金(68)
100 4五飛(35)
101 7六歩打
102 6六歩(65)
103 6八金(67)
104 6七銀打
105 7五歩(76)
106 6八銀成(67)
107 投了
まで106手で後手の勝ち
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20160208今日の一手<その268>; 高飛車をとがめる

2016-02-08 | 今日の一手
20160208今日の一手

12月13日の名南将棋大会からTさんとAさんの対局です。形勢判断とこの後の構想を考えてください。





昨日の一手の回答

形勢判断をします。
先手の1歩得です。後手に持ち歩があるのでカウントせず、損得なしとします。
玉の堅さは同程度。後手は34の地点に傷があるので金銀3枚でもあまり堅くありません。
先手の攻め駒は16角と持ち駒銀で2枚。
後手の攻め駒は65飛と持ち駒角銀で3枚。

総合すればやや後手が指しやすいかどうかで、互角に近いです。

大局観として

問題図の前はこの図で

後手が攻勢を取り、先手が攻め駒を呼び込むような56歩の突き出しは、嫌な形かと思ったのですが、問題図まで進んでみると案外すっきりしていて、後手からの速い攻めがみえません。29飛車の横利きが守備に利いていますし、飛車取りで対応しやすいので受けやすい、すなわち玉が堅いという感じです。
後手が65に飛車を引いたのは、35飛が狙いだとは思うのですが、37桂はすぐに跳ねられるのですから飛車の空成りでは怖くはないです。45歩をけん制している意味はあるのですが、65に桂馬を跳ねたいのですから中途半端な位置で、62飛なら無難だったと思います。

さて、先手玉が安定しているので攻める手を考えたいです。16角がよく利いているのでそれを生かします。29飛は攻撃参加はしにくく(29飛ではなく38飛なら使えたのですが39飛は28角があるのでうまくない)、今のところは3枚の攻めですから切れないようにしなければいけません。


× 実戦は45歩でした。35飛を防ぐ意味で当然のようですが

36歩77桂62飛25桂

36歩は取ると46角が王手桂取りです。24銀44歩同金に36銀と手が戻り、

46角57金37角成47金64馬

馬を作られ先手玉が大分薄くなりました。これでは勝ちにくいです。


○ 25桂とはねると

これで35飛は何でもないので、42銀と逃げるでしょう。34歩と突きだします。

34同金は13桂不成から桂馬を交換すれば先手の得です。35飛33歩成同桂同桂成同飛55桂

後手の対応はいろいろですが、55桂の傷があるので桂馬を持てば先手が少しよさそうです。あるいは43金が移動すれば52角成が生じます。


○ 43角成は乱暴のようで有力です

駒損ではありますが、43同金25桂42銀52銀と絡みます。

35飛には33歩が筋で

33同桂43銀成同銀33桂成同飛25桂37飛成36金

33同桂ではなく32歩とか41銀とかの受けもありますが先手の攻めも続きます。

32銀と埋めれば77桂62飛(35飛は36歩34飛35金)63金

92飛に43銀成から73金という要領です。桂馬が取れれば戦力が増えます。

54から銀を打てば

32に飛車が逃げる余地があるので77桂は35飛という意味です。
41金32玉43銀成同銀引42金同玉22銀

これで桂馬を拾ってから攻めます。

角金交換でもあとで桂馬を取る手で攻め駒を増やしつつ後手玉を薄くできます。角を渡しても先手玉には響きません。


○ 77桂とはねて

35飛は36歩で飛車が取られることになるので、62飛に75歩

自玉の近くから攻めるのでこれも違和感はありますが、桂馬を入手する狙いです。例えば85桂同桂同歩となったら、43角成同金55桂

これでがりがり攻めます。25桂と使えば4枚の攻めです。


△ 36銀は42金引で

この後がよくわかりません。34歩24銀25歩13銀とはできそうですが、そのあとどう指すか。36にいた銀を47に引いた後なのでまた戻るのはしゃくです。だから実戦で45歩としたという意味ではあります。悪くなったというのではないですが、この後が難しいです。


× 34銀と打つのはやや筋が悪く

34同銀同歩35飛

33銀と打ちこんでも足りないですし、36銀打ではもったいないです。



問題図では36銀は手損なので少し悔しく、(問題図だけなので)それを知らなくても、先手玉が薄くなるので少し不安でしょう。そのあとがよくわからないので、65飛を利かされた、ということになってしまいます。

実戦の45歩は王手のラインが増えるから不安で、すぐに後手から36歩があって苦しくなりました。

であれば25桂ならどうなるか、と考えるのが順番でしょうか。これは角筋を止めるので少しやりにくいですが、42銀に34歩と突きだせます。目標となる37桂と35歩を逃げてしまえるのですから、一番自然なのかもしれません。

43角成から(25桂42銀をここか後で入れて)52銀と絡むのは、65飛で横利きがないのをとがめようという手です。65飛では62飛が守備にも働いているから無難であったということです。
駒損なのですが、どこかで攻め駒を補充できれば勝てます。有力ですが先まで読まないと指しにくいかもしれません。

77桂はもっと直接に65飛をとがめようとしています。35歩が取れないのです。そのあとの75歩は自玉のそばなのですが、75同歩74歩ではと金ができるし、桂馬を手に入れれば4枚目の攻め駒になります。

5段目の飛車は高飛車と呼ばれます。慣用句では強い態度に出るという意味で使いますが、あまりいい手ではないです。横歩取り空中戦では有力ということになったのですが、金銀が前線に出ない低い陣形ですので、飛車が縦横に動いても追いかけられないという条件があり、例外的な扱いです。高飛車では歩を突いたり桂を跳ねたり角で狙ったりですぐに飛車あたりになります。よい狙いがなければ考えなくてよい手です。

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