名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(66);ダイレクト向い飛車のプロトタイプ(3)

2016-02-15 | 大山将棋研究
昭和47年11月、丸田先生と第1回早指し選手権です。


丸田先生は手損で角交換。大山先生は35歩の後でダイレクト向い飛車。早指しでこの展開はどちらが研究していたのでしょうか。

馬を作る変化ですが、35歩を突いているので馬は死にません。

馬を追えば後手も馬を作れます。

これで損得なし。

丸田先生のほうが形がよいようですが、大山先生は玉の堅さよりもバランスで指します。

大山先生は金を繰り出して飛車先の逆襲。

2,3筋を制圧する動きですが、飛車が向かい合っているので簡単ではありません。

筋の良い丸田先生らしいハッとする手。

もう一回。

飛車を取って、そこまでは丸田先生が調子が良いようでしたが、これは歩切れの相手に歩を渡す手。37歩と我慢して、第2次の駒組みにしたかったです。

飛車はさばききれず、大山先生は抑え込みの態勢。

と金は消えたとはいえ歩を謝るのでは丸田先生のほうがつらいです。

大山先生の遠見の角。47歩成と38角成があるので桂馬を打つしかありません。

ゆっくりしていると56の桂馬を目標にされます。丸田先生は飛車を打って対抗します。

一見は丸田先生好調のようですが、中段で歩越し飛車ではあまり働きません。

2枚飛車にして攻めるという手。飛角交換を狙います。

大山先生は飛角交換に応じなかったので、7筋を押えられたのですが、それでも玉頭の歩を合わせるのですからびっくりします。丸田先生は67金右とすべきだったと思います。73同歩成が敗着か。

大山先生は85の飛車を手順に追って安心したでしょう。銀を移動させて、

桂馬で飛車を追えば

66馬が実現して飛車を召し取りました。これで丸田先生は戦意喪失。


早指しで気合がぶつかり、思わぬ乱戦になりました。馬を作り合った後の大山先生の金銀を繰り出して右辺を押えに行く指し方が印象に残ります。丸田先生は「小太刀の冴え」といわれる軽い手筋を好まれるのですが、今回は銀を捨てる手が2回出ました。展開としては馬金銀での押し引きは大山先生のペースで、じれてしまった丸田先生がやや形勢を損ねました。最後は互いの玉頭での押し合いですが、大山先生の73歩のあわせに驚いた丸田先生が間違えてしまったのでしょう。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:丸田祐三8段
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2二角成(88)
4 同 銀(31)
5 8八銀(79)
6 3三銀(22)
7 7七銀(88)
8 3五歩(34)
9 6八玉(59)
10 2二飛(82)
11 6五角打
12 7四角打
13 4三角成(65)
14 5二金(41)
15 2五馬(43)
16 2四銀(33)
17 3四馬(25)
18 4七角成(74)
19 5八金(49)
20 6五馬(47)
21 2六歩(27)
22 4三金(52)
23 4五馬(34)
24 5二金(61)
25 2五歩(26)
26 3三銀(24)
27 3五馬(45)
28 6二玉(51)
29 4八銀(39)
30 3四金(43)
31 3六馬(35)
32 2四歩(23)
33 同 歩(25)
34 同 銀(33)
35 4七銀(48)
36 2五銀(24)
37 5六銀(47)
38 4三馬(65)
39 4六馬(36)
40 3三桂(21)
41 3六歩(37)
42 4五歩打
43 3七馬(46)
44 3五歩打
45 7八玉(68)
46 2一飛(22)
47 4七銀(56)
48 7二玉(62)
49 1六歩(17)
50 3六歩(35)
51 同 銀(47)
52 2六歩打
53 2五銀(36)
54 同 金(34)
55 5五馬(37)
56 4四銀打
57 3二銀打
58 同 馬(43)
59 4四馬(55)
60 3五銀打
61 6六馬(44)
62 2四飛(21)
63 4一銀打
64 同 馬(32)
65 3三馬(66)
66 2二銀打
67 2四馬(33)
68 同 金(25)
69 3六歩打
70 同 銀(35)
71 2六飛(28)
72 2五金(24)
73 2八飛(26)
74 2六歩打
75 3七歩打
76 2七歩成(26)
77 4八飛(28)
78 3七と(27)
79 同 桂(29)
80 3五金(25)
81 3八歩打
82 4六歩(45)
83 4九飛(48)
84 2六歩打
85 2八歩打
86 7四角打
87 5六桂打
88 8四歩(83)
89 4四飛打
90 2三馬(41)
91 7五歩(76)
92 6五角(74)
93 6六銀(77)
94 9二角(65)
95 6八金(69)
96 3三銀(22)
97 8四飛(44)
98 2七歩成(26)
99 同 歩(28)
100 同 銀成(36)
101 2九飛(49)
102 2六歩打
103 7九飛(29)
104 3八成銀(27)
105 8八玉(78)
106 6二金(52)
107 7四歩(75)
108 同 歩(73)
109 8五飛(84)
110 3四銀(33)
111 7五歩打
112 3七成銀(38)
113 4八歩打
114 7五歩(74)
115 7四歩打
116 8二銀(71)
117 7五銀(66)
118 3三馬(23)
119 6六歩(67)
120 7三歩打
121 同 歩成(74)
122 同 桂(81)
123 8六飛(85)
124 8五歩打
125 7六飛(86)
126 7四歩打
127 同 銀(75)
128 8四桂打
129 7五飛(76)
130 6六馬(33)
131 9八玉(88)
132 7六歩打
133 投了
まで132手で後手の勝ち



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20160215今日の一手<その275>; 歩を渡さない

2016-02-15 | 今日の一手
20160215今日の一手

12月19日の名南将棋大会からMさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手が2歩得で と金を作っています。後手は歩切れですし、先手の駒得です。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は68飛71と 持ち駒角で3枚。
後手の攻め駒は84飛と持ち駒角で2枚。

総合すれば互角です。

大局観として
玉の堅さで劣るので、先手玉を固めるか、後手玉を薄くするか、で形勢は良くなります。玉の囲いとしてはすぐに固めることはできないので、まずは攻めることでしょう。
せっかくと金を作ったのですから、それを活用できれば一番効率が良いです。他には68飛や77銀や88金や89桂をさばく(交換する、敵陣に成り込む)というこです。
79角や銀の傷は気になりますが、割打ちは88の金を相手にしてもらっているという意味もあり、すぐに対応しなくてもいいです。でも左の金銀はそのまま残ってはいけません。さばく以外に右に寄せて玉を固めるというのも(難しいですが)できるとよいです。


△ 実戦は78金でした。自然な手です。

ただ、後手に64銀と歩切れを解消されるのが悔しいです。そこで76銀と立ったのが悪手。

86歩同歩同飛87銀84飛86歩66角

後手はすぐに66角でもよかったでしょう。ここで飛車は切りにくく、77歩57角成69飛と辛抱しましたが66歩。

73桂を使えるようになって後手が有利になりました。先手の駒得も消えていますし、いいところがありません。

76銀では72と と使いたかったです。

85桂86銀66角には

66同飛同歩58角

74飛で と金を取られてしまいますが、桂馬が取れます。馬も作れば盤石でしょう。
後手としては66角ではなく55角77歩76歩という感じでしょうか。

これで74飛の含みで攻められます。なお、66角に66歩と捨てると同歩が嫌味です。
86銀ではなく88銀でも同じようなことで、はっきり有利にはなりません。


○ すぐに72と のほうがよいようです。

85桂には73角として64歩を守ります。

77の銀は取らせる方針です。74飛91角成77桂成同金

64銀なら82馬から83馬で飛車をいじめます。72飛には65飛が気持ちよく、銀と桂香の2枚換えなら攻めの手段に困りません。


× 76歩は振り飛車の感覚ではありません。

64銀72と85桂86銀には79角が成立し

58飛66歩78金88歩

79金89歩成78金88と

金を78ではなく68に上がれば55桂で、結局67歩成が実現します。


× 63歩成は形を乱す手筋ですが

63同金の後は72角くらい。64金45角成で

76歩(歩を与えた)86銀66歩

味の良い歩の突き出しです。65桂から77銀と打ちこむこともできますし、後手がよいでしょう。


× 74歩も手筋ですが

74同飛63歩成同金72角64飛

そのあとの継続手がたいした手がありません。


☆ まとめ
問題図では2歩得で と金を作っているので駒得なのですが、後手に歩を入手されて、さらに と金が働かなければ駒得とは言えません。

実戦の78金もよい手ではあるのですが、64銀も味の良い手です。歩を入手されたので と金を活用するしかないのですが、55角(あるいは44角)の筋で99香が当たりになるのでは金を寄った手の逆を突かれたということになります。互角のようですが少し苦しい感じです。

すぐに72と と使うのが最善で、桂馬で銀を取られるのは悔しいですが、73角から91角成が実現するのですからお釣りが来ます。後手に簡単に歩を渡さないので、有利になりやすいです。

76歩は振り飛車党なら打たないと思います。1手かけて味よく歩を入手されます。

74歩は角打ちで飛車をいじめる手なのですが、そのあとがうまくいきませんでした。



図面の間違いを修正しました。20170215
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