名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(60);中飛車に45歩急戦

2016-02-09 | 大山将棋研究
昭和47年10月、米長先生と第11期十段戦です。


米長先生の中飛車です。米長先生はなんでも指すのですが、多分振り飛車も指していたのはこのころだけ。

56歩に54歩と歩調を合わせますが、これを見て大山先生が反応します。

大山先生が急戦とは珍しい。米長先生は46歩に72銀ではなく32金なら無難なのですが、このころこの将棋を何局か指していたと思います。32金なら大山先生はどうしたのでしょう。棒銀や加藤流の袖飛車を採用したのでしょうか?

取り込んで控えて打つ歩。このあたりまでは定跡です。

あっさり角交換で勝負。

でもこれは居飛車が十分な展開です。

大山先生はさらに桂馬をさばきます。居飛車を持ったら右桂の交換が好きなんでしょうか。

これは気持ちのいい歩の突き出しです。41角が見えますね。
けれど、米長先生から14角はあったはず。中央突破を狙われます。23の地点を守っておいて43金と活用するのもいい感じがします。

米長先生は65桂と直接に行きますが、角で割打ちは痛そうです。

銀ははがされても、結局は角と金桂の2枚換え。ここでは大山先生が有利です。

44角に56歩が見ない手です。54歩同飛99角成は88銀という意味か。中央の傷を消したほうがいいと。

34飛に54飛。これも驚きますね。飛角交換を強要します。

米長先生は銀を放り込んでの交換を選びます。

65桂はありますが、銀を打って補強するのは形です。

角を打ってほっとしたところ。馬を作れば玉が堅くなります。

少しずつ大山先生が駒得で、玉が堅くなってきます。

86香から65桂を避けて香打は攻防の手。

46馬を見せて86香を強要します。

米長先生の54桂が攻防なので66桂を強要。互いに駒を打ったりはがしたりが続きます。

銀を受けに投入するのは手の流れですが、ここで受ける必要はなかったかと思います。38飛成で攻めを見せたかったです。

大山先生は端を攻めます。米長先生は香車の犠打で手を稼いでどこまで迫れるか。

竜を切っての角打ち。でも66馬が受けに利いています。

馬取りには銀を埋めて対応し、大山玉が堅くなりました。

さらに金を投入してはっきりしました。あとはどう寄せるかですが

2度の桂打ちで挟撃です。これであっさり寄ってしまいました。

投了図。受けようがないです。

大山先生の急戦は珍しいです。しかも前例のあるような手順で、米長先生の実戦集でも(ほかの人と)見かけたことのある形でした。
序盤というか、桂馬を交換したあたりまでは大山先生が指しやすく思えるのですが、14角はあったと思います。それを逃し41角を食らっては大山先生が有利。そのあとの玉の固め方は勉強になります。
大山先生が端だけで寄せてしまうというのは前にもありました。確実に寄る態勢にしてから攻めるので決まるのでしょう。対振り飛車で端攻めのタイミングというのは難しく、終盤の入り口で突くか、端玉のような状態で詰めろで突くか、どちらかだと思うのですが、本局では微妙なタイミングです。74銀と投入した後なので、ここなら突き捨てが入ると判断したのでしょう。74銀は疑問手だったのではないかと思うのです。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山王将
後手:米長8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 2五歩(26)
6 3三角(22)
7 4八銀(39)
8 4二銀(31)
9 6八玉(59)
10 5二飛(82)
11 7八玉(68)
12 6二玉(51)
13 9六歩(97)
14 9四歩(93)
15 3六歩(37)
16 7二玉(62)
17 6八銀(79)
18 8二玉(72)
19 5六歩(57)
20 5四歩(53)
21 5八金(49)
22 4三銀(42)
23 4六歩(47)
24 7二銀(71)
25 4五歩(46)
26 3二金(41)
27 4四歩(45)
28 同 銀(43)
29 3七桂(29)
30 4二飛(52)
31 4六歩打
32 5三銀(44)
33 3三角成(88)
34 同 桂(21)
35 5七銀(68)
36 4四銀(53)
37 2四歩(25)
38 同 歩(23)
39 同 飛(28)
40 2三歩打
41 2八飛(24)
42 5五歩(54)
43 2五桂(37)
44 同 桂(33)
45 同 飛(28)
46 3五歩(34)
47 同 歩(36)
48 5二飛(42)
49 5五歩(56)
50 同 銀(44)
51 3四歩(35)
52 6五桂打
53 4一角打
54 5七桂(65)
55 同 銀(48)
56 4二飛(52)
57 3二角成(41)
58 同 飛(42)
59 5五飛(25)
60 4四角打
61 5六歩打
62 3四飛(32)
63 5四飛(55)
64 7七銀打
65 同 桂(89)
66 同 角成(44)
67 同 玉(78)
68 5四飛(34)
69 7八銀打
70 3九飛打
71 8八玉(77)
72 1九飛成(39)
73 2二角打
74 4七歩打
75 1一角成(22)
76 6五桂打
77 6六馬(11)
78 6四飛(54)
79 8六桂打
80 5七桂(65)
81 同 馬(66)
82 8五香打
83 6六香打
84 3四飛(64)
85 4五歩(46)
86 8六香(85)
87 同 歩(87)
88 5四桂打
89 7五桂打
90 6六桂(54)
91 同 馬(57)
92 7四銀打
93 9五歩(96)
94 同 歩(94)
95 9八香打
96 9六香打
97 9七歩打
98 3八飛成(34)
99 9六歩(97)
100 5八龍(38)
101 同 金(69)
102 7九角打
103 8七玉(88)
104 5七歩打
105 同 金(58)
106 6五金打
107 7七銀打
108 6六金(65)
109 同 金(57)
110 5七角成(79)
111 8九金打
112 4八歩成(47)
113 9五歩(96)
114 5八と(48)
115 9四桂打
116 7一玉(82)
117 5四桂打
118 9四香(91)
119 9二飛打
120 投了
まで119手で先手の勝ち

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20160209今日の一手<その269>; 相矢倉の構想

2016-02-09 | 今日の一手
20160209今日の一手

12月13日の名南将棋大会からKさんとNさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。





昨日の一手の回答

これは一手ではなく、この先の構想を問う問題です。
☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒はありません。
後手の攻め駒は75角1枚。

総合すれば互角です。

大局観として
先手は銀矢倉になっていて、金矢倉に比べて7筋は強化されて5筋が薄いです。右金が36にありますから後手玉よりも堅くなることがないので、攻める形を考えたいところです。右の飛角金桂あるいは香の配置をどうするか、どの筋から攻めるかということを考えます。
後手のほうを見れば、玉は堅いですが、この後に攻めの形を作りにくく、陣形を整備して反撃を狙うことになるでしょう。


× 実戦は24歩同銀(同歩は25歩の筋ができる)45歩と指しました。

37角の利きで82飛を狙おうという構想です。22玉44歩同金45歩同銀同金同金

ここで76銀直84角から54銀が間違いで、44金63銀成36金

これは後手にもたれられて指し方が難しくなりました。63の成銀はあまり働いていません。

76銀直から54銀ではなく56銀打はあるかと思ったのですが

42飛45銀同飛

ここでうまい手がみえません。65金42角55角は同飛同金46角です。46金42飛45歩なら互角でしょうけれどやや後手もち。

角の筋を生かすというのが正しい場合も多いのですが、右桂が使えていないので有利にするのは難しいです。


△ 16歩から17桂と使うのも手筋ですが

こちらに跳ねるのは裏桂と呼ばれます。持ち歩があるので24歩同歩25歩とか、25歩同銀25金同銀同桂が狙いです。

こういう図を目指します。
飛金桂は使えるのですが37角が残りそう。悪いことはないですがもう少し。


○ 59角と引いて

68角から37桂を目指すと

こういう図です。68角で5筋の薄さを少しカバーしています。45歩同歩24歩と行く筋です。後手から攻める筋があまりないので(92飛から96歩同歩97歩同香同角成同桂95飛という筋か)64角の筋を避けて29飛は指しておきたいですし1筋も突き捨ててから攻めることを考えます。それなら遊んでいる駒がなくて十分になります。


△ 26角から37桂というのもありそうで

もう少し進めばこういう図。

先ほどの68角の配置と比べると、後手が一番手厚い4筋を攻めることになるのと、56歩の突き出しが先手で入って64角の利きが通るのでやや損な感じです。


△ 76銀直から盛り上がるのは

68角と転回したとしてこういう図。

銀矢倉がいいか、銀を立ったほうがいいか、という玉の堅さの比較です。後手から84桂の反撃筋があり、少し損しているような気がします。


× 58飛とまわって指すのは

中央を厚くできたのですが次にどう指していくかは難しいです。36金と59飛のバランスが悪い感じです。


どういう構想を描けましたか?

実戦のようにすぐに動くのは難しくなると思います。相手の攻め手を考えて、攻撃力が低いのだと理解したら陣形整備して理想形を目指したいです。
3筋の歩が切れて36金の形なのですから金と銀の違いはあっても理想形を作れます。

後手から攻める形が乏しいのは、81の桂馬を使いにくいからです。85の歩が84で止まっていれば使えますが、そうでなければ64歩から65歩同歩同桂という筋しかなく、その時には7筋の傷をどうするかが難しいのです。端に飛車を回って角を切って端を破るというのは角をもらうわけですから、反動も大きいでしょう。

なお、後手から56歩同銀76歩同銀86歩の筋が気になれば76歩と打っておいてもいいです。打たなくても多くの場合は対応できるようです。

相矢倉の場合、序盤は角の動き、配置が中心です。それに合わせて攻めや守りの駒の配置を考えます。右銀をどこに配置するかで攻めか守りかがわかります。
中盤から終盤では、右桂が残らないように攻めに使います。残ってしまうのは相手の攻めを受けつつ入玉を目指す場合です。

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