名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(58); 向い飛車に中央位取り

2016-02-07 | 大山将棋研究
昭和47年9月、大内先生と第21期棋聖戦です。


大内先生は振り飛車党ですが、裏芸で相矢倉もやるのでそれを嫌って飛車先を決めます。

大内先生は向い飛車。大山先生は中央位取りに。36歩を先にしたのは35の位を取らせないためのものでしょう。

位取りなので飛車交換はできません。

大内先生はツノ銀の構え。大山先生は右桂を跳ねた(33桂に対応した)のですが、左でも1歩交換。

さらに右の桂馬も交換に行きます。

67金右で大山陣が大分堅くなりました。大内先生は手薄になった3筋から動きます。

桂馬も決めて1筋に手を付けて香車の交換に。

大内先生は交換した香車で銀をはがします。

大山先生は銀香交換を受けましたが、歩切れをついての香打ちで64歩を見て損得はなくなります。

もう一回香打ちですが、ここが勝負の分かれ目だったのかも。65から打てば角筋が通っていました。

中央で駒を清算したのですが、55角と使われたのがしゃくで、やや大内先生がリード。駒の損得がほぼないのですが、飛車と角の働きに差が出てきました。

大山先生の攻め。かなりの迫力です。

飛車取りを無視して桂馬を使います。ここで大内先生の71香は粘りがありました。

桂取りを防いでの歩です。でもここで1手使うのでは苦しいです。飛車を取ってもらえば攻められるので大山先生らしい手ではあります。

飛車を捨て桂馬を捨てて銀打。

88角を使います。

さらに角を捨てるとは。

成香も捨てて

これで必至です。

でもたくさん渡したので先手玉に詰みがありました。79金から87桂と行くしかないでしょう。

他の詰み筋もあるかもしれません。銀を補充されて先が見えてきました。

これで投了図。私の力ではすぐにわかりませんが詰んでいます。


なかなか面白い将棋でした。中盤までは大山先生が得をしていたと思います。玉を固め右桂を交換して少し欲張りかなとも思う指し回しです。大内先生が垂れ歩で嫌味をつけて、先手陣をはがしに行き、大山先生も6筋の折衝で迫りました。多分2度目の66香で65香なら大山先生がよかったのだと思います。そのあとは駒を捨てて迫る順しかないのでは悪くなり、最後は長手順の詰みが生じました。
55角と出られた後、私なら64桂は見えず、46銀打73角64銀(あるいは63銀)とやりそうです。重いけれど手厚く指したほうがいいような気がします。大内先生の71香の受けで予定が狂ったのでしょうか。タイトルを立て続けに失って、調子が悪そうに見えます。


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20160207今日の一手<その267>; 駒の損得が大きい時

2016-02-07 | 今日の一手
20160207今日の一手

12月13日の名南将棋大会からYさんとIさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。







昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
金歩と角の交換で、やや先手が駒得です。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は31飛と持ち駒角で2枚。
後手の攻め駒は39飛と持ち駒金で2枚。

総合すれば互角です。

大局観として
対抗型の急戦で飛車交換、互いに飛車を下して駒を取り合ってから寄せ合い、というのはよく見かけます。これは玉が堅い振り飛車のほうが有利と思うかもしれませんが、場合によります。舟囲いも横からの攻めには案外強く、手に入れた桂香を自陣に投入すれば先は長いです。
問題図での細かいポイントは、
1 先手がやや駒得
2 56銀があまり受けに役立っていない、また88角が壁。ゆえに先手玉が堅くない。
3 後手は34銀が負担で、先手は攻めの目標にできる。
4 17桂と逃げている。さらに25桂と逃げ出せるかもしれない。
これらのことから、先手の目標は駒得をしつつ、自玉を固めての長期戦です。自玉が堅くなれば後手玉を寄せに行きます。後手の34銀21桂11香の3枚を取るか、17桂を逃げ出して使うか、88角を馬にするか、という駒得です。後手は19香と17桂しか取れないですね。あとは と金を作るくらい。後手から と金で攻められるよりは速い攻めを考えておきましょう。


× 実戦は18香でした。

後手の飛車の位置を変えようという意味です。後手からすぐに19飛成とすれば34の銀を取れる、という形でしたから少し違和感のある手です。38飛成22角18竜34飛成54香

この時56銀が逃げられません。19竜の形なら逃げられたのに。これで形勢が悪化したのですが、58銀と投入すればまだ頑張れたはずです。しかし11角成56香同歩58金

受けが無くなって敗勢になりました。


○ 22角が普通の手でしょうか。

11香は角で取り、21桂は飛車で取るというのが取るときの理想です。
19飛成34飛成54香67銀引17竜56歩

後は桂香を拾えば駒得で文句ないでしょう。

後手は19飛成の前に33歩くらいです。

21飛成19飛成25桂

銀を守られたら桂馬を逃げ出します。33桂成とできるように香車より先に桂馬を取っておきます。これで駒得。


△ 21飛成でもよさそうですが

19飛成25桂

35銀33桂成46銀

これでも先手がよいのですが、歩切れなので43歩とできなくて、34角から成桂を使う攻め合いです。あっさり34銀をとるのをあきらめるのはもったいないです。


× 25桂は24歩で

これは損です。桂取りになっていなかったのに差し出したことになりますから。


○ 65歩は壁になっている角を使う手。

33歩21飛成19飛成44角

33角成が実現すれば先手よしです。

後手は19飛成の前に43銀ですが

64歩62歩(55桂がある)25桂

24歩(手筋)同飛成19飛成33桂成

あとは54銀に22竜から42成桂とか、44角とか。


☆ まとめ

駒得にすればよい、という理由を理解したら、34銀を取るよと頑張って、33歩とか受けたら25桂から使うという手順で駒得になります。
そのためには21飛成とすぐにとらないで、後手の33歩に21飛成がセットでそのあと25桂です。
その後手の33歩の前に1手指せるわけですが、22角か65歩かということを考えればいいでしょう。65歩は同歩が少し気になるので大丈夫か確認しておきます。88角は壁になっていてできれば移動しておきたいです。将来84香と打たれたら79桂よりは88香(さらには86歩~85歩と取りに行く手も見せる)がこの場合の形です。問題なければ22角よりは65歩から44角の方がいいということになります。

対振り飛車の急戦で振り飛車の34銀が残る飛車交換なら居飛車が指せるのだと思います。長い戦いになれば玉の堅さよりも駒得が大きそうで、31飛39飛の間に入った34銀が負担です。ななめ棒銀の定跡によく出てきますね。









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