名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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大山将棋研究(64);四間飛車穴熊に玉頭位取り

2016-02-13 | 大山将棋研究
昭和47年10月、二上先生と第27期A級順位戦です。


大山先生は四間飛車から穴熊、二上先生は65の位取りは阻止されたので玉頭位取りです。

大山先生は6筋から動くと見せて55歩と銀を追わせます。

それから石田流に。石田流にするにも飛車は横に動かすから遠回りでもで6筋に回って、といううまい手順でした。

3手損をしたのですが、5筋で歩の交換ができます。

石田流に対して、二上先生の46銀は角を引くから石田流は許さない、大山先生の74歩は46銀は方向が違うでしょう、という意地の張り合いとも読めます。

これもハッとする手です。普通に74同歩もあったのですが。

飛車を玉頭に回って75銀を許しません。

7筋に続いて8筋の位も奪還しようという手。大山先生が手損だったのが、いつの間にか手得をしているということになりますかね。

この54歩が味わい深いです。指されてみると好手だとわかります。54同歩同銀はまずいし、55歩と取られると銀ばさみ。56銀と引き上げるしかなく、

大山先生が33角と使えました。44歩や33桂で銀を追っていたら33角はなかったのです。これで大山先生が有利になりました。角の筋を受けにくいのです。

飛車を回るのが軽い手で、47飛成を受けるには46歩しかありません。75歩47飛成46飛という勝負はあったのですが、順位戦だし、やる度胸があるか?と聞いたのです。

歩を突けば垂らします。これで大山先生の有利が拡大していきます。

二上先生からの反撃。

この突き出しが味がよすぎます。57歩成を受けられません。

仕方なく銀の取り合いですが、67と には同金左しかないのは痛いです。

角を切っての十字飛車。

さらに金打が好手。つい38飛成か39飛成かと考えてしまいますが、これが速い手です。56同金同飛66金は55飛同金66角なのです。

二上先生は馬を使って受けますが、両取りが決まってしまいました。

後は形づくりの手順です。後手の85歩が拠点なので受けはありません。

投了図。

大山先生の快勝譜です。序中盤の指し回しが素晴らしいです。心理面でも優位に立ってしまうので、二上先生にいいところがありませんでした。後手のほうから棋譜を並べてみてください。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:二上8段
後手:大山王将
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 3四歩(33)
3 7六歩(77)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4二飛(82)
9 7八玉(68)
10 6二玉(51)
11 9六歩(97)
12 7二玉(62)
13 5六歩(57)
14 8二玉(72)
15 5七銀(48)
16 4三銀(32)
17 6八銀(79)
18 9二香(91)
19 6六歩(67)
20 5四銀(43)
21 6七銀(68)
22 9一玉(82)
23 7五歩(76)
24 5二金(41)
25 6五歩(66)
26 8二銀(71)
27 7六銀(67)
28 3三角(22)
29 5八金(49)
30 7一金(61)
31 8六歩(87)
32 6二金(52)
33 7七角(88)
34 7二金(62)
35 8五歩(86)
36 1四歩(13)
37 8八玉(78)
38 6二飛(42)
39 5五歩(56)
40 4三銀(54)
41 6七金(58)
42 3五歩(34)
43 1六歩(17)
44 3二飛(62)
45 2五歩(26)
46 5四歩(53)
47 同 歩(55)
48 同 銀(43)
49 5五歩打
50 4三銀(54)
51 7八金(69)
52 4二角(33)
53 2六飛(28)
54 3四飛(32)
55 4六銀(57)
56 7四歩(73)
57 同 歩(75)
58 7五歩打
59 8六角(77)
60 4五歩(44)
61 同 銀(46)
62 7四飛(34)
63 8七銀(76)
64 8四歩(83)
65 同 歩(85)
66 8五歩打
67 6八角(86)
68 8四飛(74)
69 7六歩打
70 5四歩打
71 5六銀(45)
72 3三角(42)
73 6六金(67)
74 5五歩(54)
75 6七銀(56)
76 4四飛(84)
77 4六歩(47)
78 4七歩打
79 2四歩(25)
80 同 歩(23)
81 2二歩打
82 同 角(33)
83 4五歩(46)
84 3四飛(44)
85 3六歩(37)
86 4八歩成(47)
87 3五角(68)
88 5六歩(55)
89 5三角成(35)
90 5七歩成(56)
91 4三馬(53)
92 6七と(57)
93 同 金(78)
94 2五歩(24)
95 同 飛(26)
96 6六角(22)
97 同 金(67)
98 3六飛(34)
99 5五角打
100 5六金打
101 4四馬(43)
102 5五金(56)
103 同 馬(44)
104 2四歩打
105 同 飛(25)
106 5七角打
107 2一飛成(24)
108 6六角成(57)
109 同 馬(55)
110 同 飛(36)
111 7八金打
112 8六銀打
113 5五角打
114 8七銀成(86)
115 同 金(78)
116 6八飛成(66)
117 9七玉(88)
118 8六銀打
119 同 金(87)
120 同 歩(85)
121 投了
まで120手で後手の勝ち




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20160213今日の一手<その273>; 振り飛車らしい手

2016-02-13 | 今日の一手
20160213今日の一手

12月19日の名南将棋大会からNさんとOさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。





昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
金銀交換で少しだけ先手が駒得です。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は59飛68角持ち駒金桂で4枚。
後手の攻め駒は44角65飛持ち駒金銀桂で5枚。

総合すれば先手がやや有利です。

大局観として
ここから有利を拡大する事を考えます。駒得を拡大するか、玉を固めるあるいは敵玉を薄くするか、攻め駒を増やすというのが基本です。この場合は攻め駒が4枚あるので駒得や攻め駒を増やす必要はなく、玉を固めるのは持ち駒を投入しない範囲で考え、相手玉を薄くすること、すなわち攻めることを考えればいいでしょう。59飛68角78金を活用するのが最も効率が良い指し方です。持ち駒の小さい方、歩や桂馬を使って敵陣を乱すとか、と金を作って攻める、というのも候補です。
後手の攻め駒も多いので、あまりのんびりしていないほうがよく、少し早い手段が必要かもしれません。後手からは24桂から36歩(あるいは36歩から24桂)という手段がありますから、それを許さないくらいの手を指したいです。


× 実戦は74歩でしたがこれは悪手。75飛とまわられます。

相手の歩の裏に飛車が回るというのは好形で、飛車が安定します。Oさんとしては我慢して77金打とすべきだったかもしれませんが、77桂と打って、Hさんは65金が気になったのか74飛と歩を払いました。でも65金と打たれて

これはまた逆転です。71飛54金同銀同飛

気持ちよく飛車がさばけました。43金44飛同金62角74飛53銀32玉

これで44銀成なら十分すぎたのですが、格好良く51角成としたのがつまづきの元。粘られて受けそこなってOさんの負けになりました。

74飛ではもちろん76歩ですね。65金に77歩成で

75金には金をとっても角をとっても優勢でしょう。


× 77金と使うのはやってみたい手なのですが

残念ながら76桂と捨てる手があって取る一手。飛車を成られた図は

これは先手がまずいです。竜を作られるのは守りの意味でも大きそうです。


○ 77角とぶつけるのはあって

77同角成同金68銀には66金

59銀成65金49成銀同銀

この図がどちらがいいのかわかりません。

68銀には飛車を逃げるほうがよいようです。

77銀成に56角は両取り。45飛に26桂

34桂が王手になるのが大きく、これは先手有利です。

ということは角交換の後68銀では間に合わず、55角でどうか。(遠くから打っても55歩で近づければ同じ)

55同飛同飛22角

これで先手が指せます。後手から48歩の時に取ってもいいのですが55角成49歩成22飛

32金なら52金、32桂なら44桂という具合で、この王手は厳しいです。


○ 普通に考えるのは66金でしょうか。

堅実な手です。63飛に55歩

取れば54歩から46桂の筋です。43銀45歩33角

この後はどれがいいのかわからないのですが、35角か74歩か。持ち駒の金を打ってしまうので攻めはやっくりですが、後手の飛角を押えているので十分指せるでしょう。


△ 56金もあって

飛車が縦に逃げれば46桂43銀45金と使えます。75飛に77歩で

32玉のような手なら66金45飛46歩85飛65桂

これで54飛を見ます。

54の地点を強化する63銀は66金45飛46歩85飛76金

銀を手放すと87銀がないので飛車を殺します。

難しいのは77歩に36歩同歩24桂ですが47銀として

これは難しい図です。先手陣も悪い形ではないので受けは利きます。


○ 55歩は飛車を使う手です。

55同角は同飛同飛66角

77角としたいのですが、75飛66角打はよくわかりません。この図で怖いのは48歩ですが、39金58飛成59歩

56竜11角成

これは先手が有利です。香車を角で取るのは大きな手です。後手玉を攻略しやすい形です。

では55歩に同飛はどうか。

55同飛同角46桂43銀81飛

これはやや先手が有利なのかな?というくらいです。桂馬を46に打たざるを得ないのが悔しいです。32銀打に66金22角91飛成くらいでしょうか。まあまあ指せます。


さて、問題図はどれを選ぶかというと棋風によると思います。

居飛車も指す人なら66金と打ってしまいそうな気がします。筋は良くないのですが、重いけれど確実な手です。

56金は粘る振り飛車党。攻めにも守りにも働きそうだから金銀を持ったら自陣に打つのが好き、という人です。

77角はその先を読まないと指しにくいのですが、本筋の手です。先手と後手で角の働きに差があるので交換したほうがよいだろうという感覚です。

55歩は豪快な振り飛車党。飛車は切るものだと思っています。

軽くさばくタイプならどうするのでしょうか。やりませんでしたが89飛とか56飛とか52歩とか45歩とか43歩とか46角とか考えるのでしょうか。77角も軽い手ではありますね。両取りをかけさせてひらりとかわす感じです。



*図面の間違いがあったので修正しました。20170213


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