名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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大山将棋研究(63);四間飛車穴熊に左美濃

2016-02-12 | 大山将棋研究
昭和47年10月、加藤博二先生と第1回早指し選手権です。


加藤博二先生は写真で見たことはありますが、棋風とかはわかりません。大山先生は四間飛車穴熊に。

ここだけ見ると現代的です。左美濃で対抗。36歩が早いのが気になります。

銀冠のほうがいいとは気が付いていない時代でしょう、大山先生の飛車の動きに合わせるしかないなら、今なら千日手でしょうか。当時は序盤で千日手になることはまずありません。後手からでも打開しています。

73角の転回を見せられて、46の歩を突くのは仕方ないのでしょうけれど、ここでは加藤先生が作戦負けです。

さらに55歩で傷を広げました。77桂か87銀としてまだまだだったのですが。

1歩持ったので桂頭を攻めます。

ところが桂馬を跳ねる手があって、後手が有利です。こういうところ、大山先生は手が見えます。

桂馬を取れなくて、57歩のくさびが入り、飛車も使って、大山先生が有利を拡大しています。

ちょっと俗手ですが、金銀交換から打ち込んではがします。

もう一回俗手。形勢がよければこれくらいの俗手でも構いません。形勢互角の時はひどい目に合うことがあります。

これは渋い好手。飛車を取ったので角を働かせなければ加藤先生からの攻めはありません。

角を追わせて切ります。無駄がない手順です。

あとは十字飛車から角取りの飛車で銀打。大差の投了図です。


このころにそんな常識はなかったので仕方ないのですが、左美濃なら36歩は急がないほうがよく、さらに46歩を突いたらだいたい作戦負けです。55歩もやらないほうがいい手です。45桂からは一方的になり、俗手や好手を織り交ぜて、きれいに寄せてしまいました。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:加藤博二8段
後手:大山王将
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 3四歩(33)
3 7六歩(77)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 9六歩(97)
14 8二玉(72)
15 5八金(49)
16 9二香(91)
17 5七銀(48)
18 9一玉(82)
19 3六歩(37)
20 4三銀(32)
21 6六歩(67)
22 8二銀(71)
23 7七角(88)
24 5二金(41)
25 8八玉(78)
26 7一金(61)
27 7八銀(79)
28 6四歩(63)
29 8六歩(87)
30 6二金(52)
31 9五歩(96)
32 1四歩(13)
33 1六歩(17)
34 3二飛(42)
35 2五歩(26)
36 3三角(22)
37 6七金(58)
38 5一角(33)
39 3八飛(28)
40 7四歩(73)
41 5九角(77)
42 7二金(62)
43 4六歩(47)
44 2二飛(32)
45 2八飛(38)
46 7三角(51)
47 3七角(59)
48 3三桂(21)
49 5五歩(56)
50 5四歩(53)
51 同 歩(55)
52 同 銀(43)
53 2六角(37)
54 4二飛(22)
55 3五歩(36)
56 6五歩(64)
57 5八飛(28)
58 4五桂(33)
59 6八銀(57)
60 5七歩打
61 4八飛(58)
62 6六歩(65)
63 同 金(67)
64 6二飛(42)
65 6七歩打
66 6五銀(54)
67 3四歩(35)
68 6六銀(65)
69 同 歩(67)
70 5八金打
71 同 金(69)
72 同 歩成(57)
73 同 飛(48)
74 4六角(73)
75 6七金打
76 5七歩打
77 1八飛(58)
78 2八金打
79 5九歩打
80 1八金(28)
81 同 香(19)
82 3五歩打
83 4七歩打
84 5八歩成(57)
85 同 歩(59)
86 6八角成(46)
87 同 金(67)
88 6六飛(62)
89 3五角(26)
90 3九飛打
91 7七銀打
92 7九銀打
93 投了
まで92手で後手の勝ち

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20160212今日の一手<その272>; 駒得は味が悪い

2016-02-12 | 今日の一手
20160212今日の一手

12月19日の名南将棋大会からOさんとHさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。





昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩得です。後手に持ち歩がないので先手の駒得とみます。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は66銀56銀で2枚。
後手の攻め駒は65桂81飛で2枚。

総合すればやや後手がリードしているか、というくらいの形勢です。

大局観として
先手玉が薄いので、それをカバーしたいのですが、後手玉よりは堅くなりそうに見えません。であれは、後手の攻めを封じながら駒得を生かすという方向で考えます。65の桂馬を取ることができるのですが、それを決行するとどうなるかを考えるところでしょう。取れば先手陣がさらに薄くなりますから、読まないで指せる手ではありません。
すぐに桂馬を取って悪いとしたら、陣形整備してからなら取れるかということを考えます。
結局取ると悪くなるということであれば、放置したらどうなるか、それでもまずければ対等の駒交換をしてでも取り除こうか、という順で、どちらにしろ65の桂馬をめぐる思考の組み立てです。


× 実戦は57銀として駒得をあきらめた、とは言っても歩は得なので3枚換えです。

57同桂成同飛13角

後手は角を使うのがとても味がよく、先手が困っています。これがなければ先手も悪くなかったのですが。
47飛58銀25桂

先手も反撃はあるのでまだ難しいです。24角33桂成同桂44歩47銀成43歩成同金右47銀56歩

長いですがこれくらいの進行でしょう。58歩と受けてまだ長いのかと思ったのですが、44歩53金に43銀からバラしていって

72金が敗着です。当然44金で、勝負にはなったはず。


△ 65銀右(あるいは直)は

65同銀同銀58歩成同飛69銀

ここまでは読めますね。78銀成から87飛成が実現すれば後手よし。しかし52飛成同金79金で

これは後手の味が悪いです。2枚換えなので先手が十分。58銀成54銀59飛53歩42金55桂

後手は歩切れなのも痛く、54銀を追えません。これは先手優勢です。

では桂馬を取ればいいのかというと、58銀と打たれる手があります。

79飛67銀成同金87飛成

銀桂得でも竜を作られました。77角に58歩成。

これで難しい局面です。最初に飛車は79に逃げるのは78竜を防ぐ意味ですが、13角で当たるのが難点。88歩85竜75歩13角。

68歩57と76金81竜25桂

先手が駒得ですが味が悪いです。形勢は先手がいいのだろうと思いますが、あまりやりたい順ではありません。駒得は味が悪いものです。逆転されそうな気がします。


× では陣形整備してから65銀右を狙うとして、54歩は攻めにも使える手ですが

24銀に65銀右同銀同銀といくと

88角成同金68銀

と金を作られるので先手が悪いです。


× 55歩として

35歩くらいの手に65銀右同銀同銀といけば

58歩成同飛69銀

今度は52飛成がないので先手が悪くなります。

55歩の後もっと陣形整備をするのなら話は別で、ほかの変化と合流します。


× 77桂とぶつけて桂馬を消去するのは

77同桂成同角46桂

これは金をはがされますから先手が悪いです。


○ 48金と寄る手、これを推奨します。

意味は先ほどの46桂や58歩成や58銀を避けたということです。
24銀55歩35銀

65銀右同銀同銀にそれでも58銀

79飛は46銀なので、58同金同歩成同飛46銀

歩切れなので後手の攻めも薄そうですが、13角があるので受けにくいのです。これは後手が有利。

戻って、48金24銀に77桂とぶつけてみます。(77桂の前に55歩35銀を入れてもよいのかも)

66角は大丈夫なので、77同桂成同角

これで55歩から57飛を狙います。後手の攻め筋として75歩同歩同銀があるのですが44桂で

銀を取り返せばいいでしょう。


× 47金24銀55歩と陣形整備を進めるというのはありそうです。

これはこれからの将棋です。

でも47金35歩55歩34銀38玉33桂46金13角

後手に35の位を取られると45歩を守り切れません。57の歩を消去しないと持久戦は危ないです。


何度か書きましたが、駒得をすると少なくとも取るための手数がかかり、多くは取った後の形が乱れます。駒得は味が悪いのです。味よく駒得ができたら優勢ですが、それは相手のうっかりによるものでしょう。駒得しても大丈夫か?と確認しないで指せるものではありません。小さな駒得と大きな駒得があれば、小さいつづらを選ぶ方がよいことが多いです。

実戦の57同銀は歩を数えれば駒得で、一見味の良い形なのですが、後手の13角がそれ以上の手で困りました。

65銀右(あるいは直)というのは一番自然で、でもとった後は金銀がバラバラ、銀を渡すのですから怖いのです。普通は58歩成から69銀で、実は飛車を切れば先手よし、となります。とても強い人や初心者なら58銀と打つかもしれません。それは先手が大変ではないかと思います。その意味では勝負手なのかもしれません。

堅実に48金から77桂を勧めます。これで2歩得になりそうで、遊んでいる左桂を働いている65桂と交換するのですから味の良い手です。46桂には気をつけなければいけませんが。

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