名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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大山将棋研究(57); 位取り三間飛車に中央位取り

2016-02-06 | 大山将棋研究
昭和47年9月、内藤先生と第13期王位戦第5局、これで決着です。


内藤先生は鳥刺し含み、大山先生は石田流かという構えです。

内藤先生は中央位取りに。

大山先生の34銀は位取りの三間飛車ということですが、42角との組み合わせは珍しく、42角の形ですから石田流にするのが普通です。さらに33桂が趣向で、ちょっと凝りすぎです。

4筋5筋を突き捨てて銀の応援です。この手順は思いつきません。ゆっくりしていては25銀があるので動こうということです。

25銀とはできないので歩を突いて飛車を追うのですが、内藤先生としては4筋に飛車を回れるので困りません。どうも大山先生の趣向が失敗したようです。

45銀ができるので65に銀を出るのは気が付きませんでした。54の歩は助けにくいです。

2筋の守りは桂馬で間に合わせます。

大山先生は3筋からの動き。

46歩と打たれて銀を戻らざるを得ないのでは大山先生は苦しいままです。

ここに歩を打つのも角が使いにくいのでつらい手です。逆に打たれたらダメなんでしょう。

45歩から44歩。同銀は25桂の意味か。

銀は32に引くのでは元気が出ません。でも3筋に歩を垂らしてから26歩でこれはどうやら飛車交換で決戦です。

交換して と金は作れるのですが、34歩や22飛が残るので居飛車よしです。

と金は捨てて角を使います。

さらに竜を引き付けての防戦。

内藤先生に25桂と使われると、桂損がもろに響いたことになります。その前に53歩のくさびが入ったのも大きいです。

36竜の銀取りも、43歩成から33桂成まで先手で入るのですから内藤先生が優勢です。

さらに歩で銀が取れれば4枚目の攻め駒。

大差の投了図になりました。


大山先生の趣向は実らず。石田流にはしにくい事情があったのでしょうか。多分後で右銀を46に出て引き角で狙うのを嫌ったのでしょう。これは使えるアイデアかもしれません。
34銀から33桂は居飛車が24歩とできる形ではびっくりします。24歩には22飛というつもりだったのでしょう。それを45歩同銀54歩同歩57銀と返すのがこれまた驚きの手順で、思いつきません。44角と出られれば後手の右銀桂が窮屈でした。さらには後手の飛角が働きづらいわけで、大山先生が苦しい中盤戦を強いられました。逆転しているところはなかったと思います。内藤先生の快勝です。これで2回目のタイトル獲得です。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:内藤8段
後手:大山王位
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 3四歩(33)
3 4八銀(39)
4 3二銀(31)
5 5六歩(57)
6 4四歩(43)
7 6八銀(79)
8 4三銀(32)
9 5八金(49)
10 3五歩(34)
11 5七銀(68)
12 3二飛(82)
13 2五歩(26)
14 3三角(22)
15 6八玉(59)
16 6二玉(51)
17 7八玉(68)
18 5二金(41)
19 1六歩(17)
20 7二玉(62)
21 2六飛(28)
22 4二角(33)
23 7六歩(77)
24 8二玉(72)
25 5五歩(56)
26 7二銀(71)
27 5六銀(57)
28 3四銀(43)
29 4六歩(47)
30 3三桂(21)
31 4五歩(46)
32 同 銀(34)
33 5四歩(55)
34 同 歩(53)
35 5七銀(48)
36 3四銀(45)
37 4四角(88)
38 2四歩(23)
39 同 歩(25)
40 2五歩打
41 4六飛(26)
42 2二飛(32)
43 6五銀(56)
44 4三歩打
45 7七角(44)
46 2四飛(22)
47 1七桂(29)
48 4五銀(34)
49 4九飛(46)
50 3六歩(35)
51 4六歩打
52 3四銀(45)
53 3六歩(37)
54 4四歩(43)
55 5四銀(65)
56 5三歩打
57 6五銀(54)
58 4三銀(34)
59 5六銀(65)
60 1四歩(13)
61 4五歩(46)
62 同 歩(44)
63 4四歩打
64 3二銀(43)
65 3五歩(36)
66 3七歩打
67 3九飛(49)
68 2六歩(25)
69 3七飛(39)
70 2七歩成(26)
71 2五歩打
72 3七と(27)
73 2四歩(25)
74 4六歩(45)
75 同 銀(57)
76 5四歩(53)
77 3七銀(46)
78 6四角(42)
79 4八銀(37)
80 2九飛打
81 3四歩(35)
82 2四飛成(29)
83 3三歩成(34)
84 同 龍(24)
85 5三歩打
86 5一金(52)
87 2五桂(17)
88 3六龍(33)
89 4三歩成(44)
90 同 銀(32)
91 3三桂成(25)
92 4二歩打
93 4七銀(48)
94 3九龍(36)
95 3一飛打
96 1九角成(64)
97 4四歩打
98 5五歩(54)
99 4三歩成(44)
100 5六歩(55)
101 5二歩成(53)
102 投了
まで101手で先手の勝ち



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20160206今日の一手<その266>; 石田流の破壊力

2016-02-06 | 今日の一手
20160206今日の一手

12月13日の名南将棋大会からAさんとHさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。






昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩損ですが持ち歩があるので損得なしとします。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は77桂と56銀で2枚。
後手の攻め駒はありません。

総合すれば先手が有利です。

大局観として
よくある形のように見えるかもしれません。でも先手が5筋の歩を切って持ち歩があり、56銀がいい配置にあります。後手は44歩と角筋を止めていますから反撃がないです。だから問題図は先手の攻めが続くのです。
6.7筋方面を攻めるのもありますし、88角の利きを生かして動くのもあります。
問題図では後手が手損しているようで、先手の態勢が十分すぎます。


○ 実戦は65同桂でした。

64銀左に45歩が狙いの手。

45同歩は22角成同玉44歩で45銀~34銀~43歩成を狙います。飛桂は捨ててもいいくらいです。
55歩同銀65銀と進み

これは先手のやや失敗です。36飛45歩64歩52銀43歩同金44歩

33金57金13角

まだ難しいものの、桂馬を損して飛角銀がうまく使えていないので難局です。

途中55歩に同角なら

55同銀同銀45歩44歩

これで後手陣はつぶれています。64歩には53銀

65歩42銀成同玉43金51玉64歩

後は54銀から56飛で終わりです。

55同角に54歩のほうが難しそうですが

44角同角同歩55歩

45銀65銀34銀

これで76銀には43角

31桂には36飛

後手は歩切れで受けがありません。


△ 65同銀は

64歩には56銀しかなく

1歩交換しただけでまた65歩と合わせることになりそう、1手損したようなものです。形勢は悪くはないのですが。


× 74歩を入れると

74同歩65銀73金

これは攻めがありません。


○ 97角は石田流では当然の手です。

64銀左に65銀同銀同桂64銀打66歩

これくらいなら文句はありません。53歩や62歩と垂らす手がありそうです。それと74歩同歩64角同銀74飛という筋を絡めます。(すぐにやると切れそう)

64銀左に74歩を入れると

74同歩65銀75歩

64銀同銀75角同銀同飛

これもさっぱりして悪くはありません。


後手が作戦負けだという意味が解りましたか?
97角から65銀と攻める普通の順でも、1歩持っているので53歩とか62歩とかの余地があるので石田流が攻めやすいです。後手からは22角が使えないのですから反撃がまるでなく、先手が間違ってくれるのを願うだけです。

実戦の65桂から45歩というのはとても良い感覚です。角筋を生かすことが頭にあって、55歩に同角を考えなかったのでしょうが、角銀交換でも4筋に拠点が作れるので十分な体制になります。82飛と72金がまるで働いていないので、駒損でも攻めは切れにくいです。

石田流に棒金というのは定番の対策ですが、角筋を止めてはいけません。腰掛銀に出られたら55歩で強く戦うしかありません。銀を引けば位取り、45銀には33金、と行く順しかないと思います。それに自信がないならもっと前に工夫が必要です。別の対策を考えたほうがいいでしょう。




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