名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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大山将棋研究(73);四間飛車に玉頭位取り

2016-02-22 | 大山将棋研究
昭和47年12月、中原先生と第11期十段戦第5局です。


大山先生の四間飛車。連敗していますから穴熊はあきらめて端を受けます。

中原先生は玉頭位取りに。

55歩に備えた受け。これが癪なんですよね。現代で居飛車穴熊に44銀の形ではこう回らずに55歩同歩同銀の時に35歩から反撃をしますから、それでよければ穴熊を指すようになるでしょう。

大山先生は5筋の歩を交換して銀の繰り替え。54金と出て中央を厚くするのはまだこの時には出ていない指し方なのでしょう。

中原先生は35歩の交換を見せたゆさぶり。大山先生は74歩で、単純な歩の交換では35歩が気になるから、袖飛車かと思ったのですが。

強引な銀交換は驚きますが、やや無理な動きです。

大山先生が玉頭の位は取り返しますが中原先生は銀を投入。手堅いです。

35歩を受けて44角とすれば28飛で、33角で千日手にするのが当然のように思いますが、大山先生は22飛と受けて千日手を回避。本当になるかどうかわかりませんが、形勢がよいとみていたのでしょうか?このころは千日手は後手番でも打開していた時代ではありますが、少し不思議です。飛車がラインに入ったので中原先生の65歩は手ごたえを感じます。

大山先生の囲いがまとまらないうちに角交換で困っていると思います。

33角のあわせに53角成でもよさそうですが、44角で42角を強要するほうを選びました。あとは強く戦うだけなので歩を合わせます。中原自然流が始まります。

銀をぶつけられて交換できません。

歩を使った攻めにするのが本筋。飛と桂を使う準備です。

54歩を打たせてから銀交換。すぐに銀を打たせるのですから中原先生の有利が拡大します。

有利になると自然な好手が出てきます。味のよさそうな歩の垂らし。

これで1枚はがせます。

歩の取り込みから突き出しを見て味の良い手です。

あとはどう寄せるかですが、金を釣り上げて無力化。

金の抑えを打って桂馬を使えれば攻めが切れなくなりました。

投了図。大差になりました。

名人を奪って、十段を防衛。中原先生が好調ですが、大山先生は名人を取られても(内藤先生にも棋聖を取られていましたか)十段戦の挑戦者になるのですから、中原先生以外には強さを見せていたのです。
中原先生は作戦勝ちをすれば自然な手で優勢を築いて簡単に(見える)勝ってしまいます。大山先生が中原先生相手にはムキになって無理をしている感じがします。
ここは中原先生の自然な指し方を勉強したいです。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:中原十段
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 9六歩(97)
14 9四歩(93)
15 6八銀(79)
16 4三銀(32)
17 5七銀(48)
18 5二金(41)
19 5八金(49)
20 8二玉(72)
21 7五歩(76)
22 6四歩(63)
23 7七銀(68)
24 4五歩(44)
25 2五歩(26)
26 3三角(22)
27 7六銀(77)
28 4四銀(43)
29 3六歩(37)
30 7二銀(71)
31 6六歩(67)
32 6三金(52)
33 1六歩(17)
34 5四歩(53)
35 4八飛(28)
36 5五歩(54)
37 同 歩(56)
38 同 銀(44)
39 5六歩打
40 4四銀(55)
41 8六歩(87)
42 5三銀(44)
43 7七角(88)
44 5四銀(53)
45 8八玉(78)
46 8四歩(83)
47 7八金(69)
48 8三銀(72)
49 3八飛(48)
50 7四歩(73)
51 同 歩(75)
52 7五歩打
53 同 銀(76)
54 7四銀(83)
55 同 銀(75)
56 同 金(63)
57 6七金(58)
58 7五歩打
59 8七銀打
60 4四角(33)
61 2八飛(38)
62 2二飛(42)
63 6五歩(66)
64 7七角成(44)
65 同 桂(89)
66 6五歩(64)
67 4四角打
68 3三角打
69 同 角成(44)
70 同 桂(21)
71 4四角打
72 4二角打
73 6六歩打
74 同 歩(65)
75 同 銀(57)
76 6五歩打
77 5五銀(66)
78 4三銀(54)
79 2六角(44)
80 7三桂(81)
81 4六歩(47)
82 5四歩打
83 4四銀(55)
84 同 銀(43)
85 同 角(26)
86 4三銀打
87 2六角(44)
88 7二金(61)
89 6二歩打
90 7一金(72)
91 6三銀打
92 6四金(74)
93 7二歩打
94 6三金(64)
95 7一歩成(72)
96 同 玉(82)
97 4五歩(46)
98 6四角(42)
99 4四歩(45)
100 5二銀(43)
101 4八飛(28)
102 4五歩打
103 7四歩打
104 同 金(63)
105 4三歩成(44)
106 同 銀(52)
107 6三金打
108 3一角(64)
109 3七桂(29)
110 6六歩(65)
111 同 金(67)
112 5七銀打
113 6一歩成(62)
114 同 玉(71)
115 4五桂(37)
116 投了
まで115手で先手の勝ち

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20160222今日の一手<その282>; 落ち着いた受け

2016-02-22 | 今日の一手
20160222今日の一手

12月19日の名南将棋大会からSさんとTさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
銀と桂歩歩の交換で、後手に持ち歩があるので歩を数えない、銀桂交換ですが、馬を作っているのでほぼ損得なしです。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は76飛23馬持ち駒桂で3枚。馬は後手玉に迫っていないので数えるかどうか。
後手の攻め駒は24角と持ち駒銀で2枚。
総合すれば互角です。

大局観として
駒がぶつかっているのでこの折衝で優劣が決まるでしょう。後手玉の位置が悪いので王手飛車の筋が見えますね。それに飛び込むかどうか。対抗型ではないので駒得を意識しすぎてはいけません。相手の攻め駒を減らすような駒得ならいいのですが、少々駒得になっても自玉が危なくなっては元も子もありません。自玉の安全度を中心に考えます。


× 実戦は34馬でした。飛車を取る手です。

37歩成(これで銀を損する)同金34銀21飛43角

先手で飛車を下して寄せるという予定だったのですが、両取りがありました。24飛成76角48金59銀

角と飛の取り合いですが、58の金に当たってしまうのが痛く、後手は4枚の攻めですからうまく受けられません。


△ 24馬と角の方を取ってしまえば

37歩成同桂24飛35角

銀は取られても王手飛車、45の銀にもあたっているので、これで十分に見えるのですが。82玉24角54角65歩36銀

銀銀と飛桂の交換で、駒得ではあるのですが玉の堅さが違うのでまだ大変です。39桂37銀成同金25桂

これが4枚の攻めなので受けきりは難しく、左側に逃げつつ寄せ合いを狙うしかありません。美濃囲いは堅いので先手が大変です。


△ 37の銀を取らせるのは今一つでした。36同銀は

強い手ですが、36同銀とはできないので、飛車交換は必至。最初に36同飛でも同じ事になります。36同飛同飛同銀24馬

馬で角を取る味がいいのでこれを選びたくなります。35馬が残っています。
37歩同桂同銀成同玉39飛

38歩19飛成31飛

今度は24に馬があるので上部脱出を見ながらの寄せを狙います。前の24馬の変化より勝ちやすそうですが、後手は竜があるのでまだ難しいです。


○ 銀を逃げる手を見てみます。28銀。26銀もほぼ同じでどちらがよいかは微妙です。

46歩は怖いのですが同歩で

46同角同飛同銀34馬

今度は銀と角桂の交換で、駒得というより後手の攻め駒が3枚になったというのが大きいでしょう。先手有利です。

王手飛車が残っているので82玉くらい。

自分から46歩ではちょっとばからしいです。74歩同歩73歩という格好いい筋がありました。

73同玉は85桂から73歩ですし、73同銀は34馬から31飛が両取り。73同桂に75歩

これで十字飛車の筋で技ありです。


△ あとは46銀とぶつけてどうか。

46同角同歩37銀

37同桂同歩成同金49銀

強襲されます。28玉は36歩47金寄58銀不成

これはつぶれています。

49銀には同玉しかありません。

37飛成45馬47金

しがみつかれましたが、26角があります。同竜同歩37桂

59玉58金同玉49角

王手飛車をかけられてしまいます。でも47玉76角成67金

ほぼ損得なし、互角に近いですが先手玉が薄い分だけ大変です。


王手飛車の筋が見えると欲張ってしまいたくなりますが、37の銀を取らせる変化(24馬、36同銀、36同飛)は飛銀交換くらいにしかなりません。馬は消えるし元が銀桂交換なので銀銀と飛桂交換。後手の攻め駒がさばけるのですから受けきるのは大変です。

じっと28か26に銀を逃げておいて、そのあとに王手飛車を見るのが安全策で最善です。馬によって後手の飛角銀の動きを制限しているので、先手から清算して楽にしてあげることもありません。平凡ですが落ち着いた受けでした。
そのあとの変化で82玉に74歩同歩73歩以下が決まったら気持ちいいですね。







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