名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(56); 中飛車に45歩急戦

2016-02-05 | 大山将棋研究
昭和47年9月、加藤一二三先生と第11期十段戦です。


大山先生の中飛車になりました。後手番ですし(英ちゃん流でない)54歩と突いてからの中飛車は急戦を受けるには少し損なのですが、加藤先生が56歩と突いていないから、という気分なのでしょう。

大山先生は32金と備えないのは不思議な感じがしますが、32金には加藤先生の袖飛車(56右銀)になるので、それを避ける意味か。でも82玉と寄って離れ駒を作ってから仕掛けさせるのはどうだったか。

55歩と突き捨てるのは手筋で、44歩と取り込みにくくします。それから金を締まります。

3筋にアヤをつけてから角交換に応じます。でもこれが疑問なのでしょう。

ここに歩を打たれるのがきついです。24飛があるので32銀しかないですが

36歩から14角。これで反撃です。

ところが25歩同桂45桂という跳ね違い。中央に跳ね違う手が成立すれば加藤先生が有利です。

後手陣は金銀が低い位置なので45の桂馬に働きかけられません。飛車浮きに角打ち。これではっきりしてきました。

大山先生は桂馬を使い、角を切り、どうにか勝負の形を目指します。

飛車が逃げられるのでは角を切った効果は小さいです。26の金を寄ったのですが、55香もあるので仕方ないのでしょう。

幸便に13飛成が実現してと金の作り合いですが、竜の後押しがあるほうが速いです。

そのと金で32の銀を取るのではなく囲いの銀をはがしました。

これで詰み。

大山先生は軽くさばきに行ったのですが、先手玉のほうが堅いですし、44歩や25歩から45桂と加藤先生のほうに好手が多く、苦戦に陥りました。角を切ったところで勝負になるかと思いましたが、飛車を使われては駄目です。
加藤先生の快勝でした。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:加藤一二三8段
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 2五歩(26)
6 3三角(22)
7 4八銀(39)
8 3二銀(31)
9 6八玉(59)
10 4三銀(32)
11 3六歩(37)
12 5四歩(53)
13 7八玉(68)
14 5二飛(82)
15 5六歩(57)
16 6二玉(51)
17 4六歩(47)
18 7二玉(62)
19 5八金(49)
20 6二銀(71)
21 6八銀(79)
22 8二玉(72)
23 4五歩(46)
24 5五歩(54)
25 2四歩(25)
26 同 歩(23)
27 5五角(88)
28 7二金(61)
29 3七桂(29)
30 3五歩(34)
31 2六飛(28)
32 4五歩(44)
33 3三角成(55)
34 同 桂(21)
35 4四歩打
36 3二銀(43)
37 3五歩(36)
38 3六歩打
39 同 飛(26)
40 1四角打
41 2五歩打
42 同 桂(33)
43 4五桂(37)
44 3七歩打
45 5七銀(48)
46 5四飛(52)
47 2二角打
48 1七桂成(25)
49 3七飛(36)
50 5八角成(14)
51 同 金(69)
52 2八成桂(17)
53 1一角成(22)
54 2六金打
55 4七飛(37)
56 3六金(26)
57 1七飛(47)
58 2七成桂(28)
59 1三飛成(17)
60 4六歩打
61 4三歩成(44)
62 4七歩成(46)
63 同 金(58)
64 同 金(36)
65 5三と(43)
66 1二歩打
67 同 馬(11)
68 4四飛(54)
69 6二と(53)
70 同 金(72)
71 5三銀打
72 同 金(62)
73 同 龍(13)
74 4二飛(44)
75 同 龍(53)
76 同 金(41)
77 6二飛打
78 7二飛打
79 7一角打
80 投了
まで79手で先手の勝ち



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20160205今日の一手<その265>; 棒銀の使い方

2016-02-05 | 今日の一手
20160205今日の一手

12月13日の名南将棋大会からHさんとIさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。







昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは後手のほうがやや堅いです。
先手の攻め駒はありません。
後手の攻め駒は44角1枚
総合すれば互角です。

大局観として
まだ駒がぶつかったばかりです。先手は引き角棒銀で、矢倉の形は角筋で狙われるので得ではないと前に書きました。それでも棒銀で攻勢に出たらどうかというのがこの将棋ですが、玉の囲いは中途で攻めました。でも35歩と打つのですはやや失敗です。先手の攻め駒がみな35歩で止まっているのがわかりますね。
ここからは玉を固めるか攻めを探すかという選択ですが、上手く指さないと作戦負けになりそうです。


× 実戦は37桂でした。攻めの手です。

後手から36歩と打てるので違和感があるのですが、45桂は確実なので成立するかも。55歩に45桂43金

55歩は同角なのでやりにくく(後手が44歩と打てるようになる)46角54金55角

これで53桂成を目指して指せると読んでいたのですね。でも45金44角同金

桂損ですし、27角もあるので後手が有利です。


△ 37桂が無理なら36飛と浮いておくのは考えられます。

55歩同歩同角37桂54銀

1歩手に入れたので24歩同歩22歩同飛34歩

こうなれば35銀と出るのが好形になります。

後手は歩を渡さないで62角から

37桂44金

先手は1歩手に入れて24歩の筋を狙うくらい。でも33にいた金が移動すると重い手に見えてきます。46歩からの交換でしょうが、後手は33桂と使いやすくなります。やや作戦負けか。とすればここから玉を固めておいてこれからではあります。


× 46歩の交換は

46同歩同角45歩57角に55歩

これが嫌です。と言って角を右に引くのも形が悪いですし。55同歩同角37銀には36歩

46歩で交換するのはまあまあの手ですが、そのあとが味が悪いです。やや方向違い。


○ 37銀と立て直す手が一番よく見えます。

55歩同歩同角56歩44角36銀

54銀46歩同歩同角45歩28角

ぴったりした手順です。銀を立て直して角を使いました。
この後は75の位を取ることはできますが、35の位と両方はバランスが悪く、矢倉から穴熊を見るか、銀冠にするか、玉を固めます。28角がにらんでいるので65歩の筋が怖くありません。


× 88玉は自然な手のようですが

(手順省略)矢倉では横の攻めに弱いので穴熊に組もうとしても

65歩があるのでこれは作戦負けになりそうです。


△ 固めるなら88銀のほうがよく

それでも88玉とはやりにくくてこういう形か

あるいは89玉から78金かもしれません。あるいはミレニアムのように組むとか。穴熊に組もうとするよりよいのですが、少しだけ作戦負けの気配。


実戦の37桂は成立することはまれで、26銀が残るのですから切りすててもいいでしょう。

問題図では一目37銀です。銀を立て直すのは35歩と打った時にはセットで考えるものです。銀が引けない(35歩を取られる)場合はすでに作戦負けと思っていてよいです。普通の棒銀急戦の定跡も35歩と打つ手がありますが端を絡めてもあまりうまくいっていないと思います。
手順で示した銀の立て直しから角の転回はきれいな手順です。
なお、36銀の後37桂とはねるのは対抗型の場合は好形ではないと何回か書きました。角を移動するほうがよほど形がよく使いやすいです。

37銀と引けないときには36飛から37桂というのは一応ある手で、石田流みたいですね。あとで34歩から35銀と使えるめどが立っているならいいでしょう。

玉を固めたいのですが、片矢倉の68金直は場合によってあるかもしれません。65歩や75歩と左の位を取るのは左右分裂です。穴熊に組み替えはできるならいいのですが、この場合は44角のにらみがきいています。銀冠でどうかですが、いずれにしろ88玉とはやりにくいので、44角を移動させる手があればそれから囲うほうがいいということになります。

中盤の構想の問題でしたが、この説明を理解していただければ感覚がよくなると思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする