名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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大山将棋研究(67);先手三間飛車に急戦

2016-02-16 | 大山将棋研究
昭和47年11月、中原先生と第11期十段戦第2局です。


大山先生の先手三間飛車。前回穴熊で失敗したので端を受けます。

中原先生は急戦で、それを見て大野流三間飛車になりました。普通に組んでいたら中原先生はどう指していたのでしょうか?後手番で急戦はうまくいきません。

大野流といっても、大山先生ですから軽く指さないで金を使って守ります。

46銀と出るのは積極的で、45銀を警戒して、中原先生は角筋を止めます。

5筋の歩を交換して金を繰り出します。大山先生が積極的です。

だけれど、桂馬を跳ねたのは疑問手。37銀左と引いて固めるのだと思ったのですが。大山先生が右桂を跳ねないというのはうそ情報でしょうか。

中原先生は37桂をとがめに行きます。桂馬の交換で角筋が通ります。

中原自然流とはよく言ったもので、少し良くなると自然な手で有利を拡大します。

桂打ちは好打。美濃囲いが薄すぎます。

大山先生の反撃。

中原先生は飛車切りから角打ち。これが攻防なのですね。

銀取りは受けずに攻め合いです。

銀をかけて勝負になったと思ったのですが

桂を成り捨てる手。いかにも好手です。遊び気味の桂馬を使い、取れば金を外して自玉が安定します。

金を外して後手玉が広いので優勢。あとはどう寄せるかですが

格好いい角捨てがありました。

飛車の横利きがないので取れません。

左右挟撃で投了図。


大山先生は中原先生に勝てなくなって、焦ってしまったのでしょう。積極的な指し方でしたが、37桂からは中原先生によい手が多すぎました。ここは後手をもって並べるとよいです。画面の上下をひっくり返して図面を見るだけでもやってみてください。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山王将
後手:中原十段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八飛(28)
4 8五歩(84)
5 7七角(88)
6 3四歩(33)
7 6六歩(67)
8 6二銀(71)
9 6八銀(79)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八玉(48)
14 5二金(61)
15 2八玉(38)
16 1四歩(13)
17 1六歩(17)
18 7四歩(73)
19 3八銀(39)
20 5四歩(53)
21 5八金(69)
22 4二銀(31)
23 5六歩(57)
24 5三銀(42)
25 5七銀(68)
26 6四歩(63)
27 6七金(58)
28 7三桂(81)
29 8八飛(78)
30 4二金(41)
31 4六銀(57)
32 4四歩(43)
33 5五歩(56)
34 同 歩(54)
35 同 銀(46)
36 5四歩打
37 4六銀(55)
38 6三銀(62)
39 5六金(67)
40 9四歩(93)
41 3六歩(37)
42 4三金(52)
43 3七桂(29)
44 3三桂(21)
45 5七銀(46)
46 4五桂(33)
47 同 桂(37)
48 同 歩(44)
49 同 金(56)
50 6五歩(64)
51 6八飛(88)
52 8六歩(85)
53 同 角(77)
54 2四桂打
55 3七銀(38)
56 6六歩(65)
57 2六桂打
58 6五桂(73)
59 4六銀(57)
60 8六飛(82)
61 同 歩(87)
62 5六角打
63 6一飛打
64 6七歩成(66)
65 9八飛(68)
66 5七と(67)
67 6三飛成(61)
68 4七と(57)
69 5二銀打
70 3七と(47)
71 同 玉(28)
72 5七桂成(65)
73 4三銀成(52)
74 同 金(42)
75 5二龍(63)
76 4二歩打
77 5七銀(46)
78 4五角(56)
79 5六歩打
80 3六角(45)
81 4七歩打
82 9九角成(22)
83 同 飛(98)
84 2七角成(36)
85 4八玉(37)
86 3六桂(24)
87 5八玉(48)
88 7八銀打
89 投了
まで88手で後手の勝ち


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20160216今日の一手<その276>; 寄せのセオリー (5)

2016-02-16 | 今日の一手
20160216今日の一手

12月19日の名南将棋大会からOさんとNさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。






昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
金銀歩と角の交換(歩をカウントしないで2枚替え)馬と成桂を作り合っています。後手が駒得です。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は43馬79飛と持ち駒角金で4枚。
後手の攻め駒は48成桂56銀と持ち駒金金銀桂で6枚。

総合すれば後手が有利です。

終盤の寄せ合いでは何手で詰めろになるかを数えるほうが正確です。先手玉は38成桂~28銀で詰めろですから3手すき。後手玉は54金~64金同玉53角73玉74歩82玉71角成同玉73歩成 で(多分)詰めろですから3手すき。もうちょっといい手順があるかもしれません。3手すきと3手すきですから先手番なので先手有利です。

この図に至る前、

ここでは後手が有利に見えたのですが、先手のMさんがうまく迫りました。73歩同金85桂74金上73銀

73同金同桂成同玉67金

75歩56金同銀で問題図です。

強引ですが空き王手から角を取るのがよい攻め方なんですね。後手の別の対応もあるかもしれませんが、これで大きく盛り返しました。


寄せのセオリーは
①厳しい手から考える
②小さな駒から使う

です。厳しい手、つまり王手から、玉の近くの守り駒、少し離れた守り駒、という順番に攻めの対象を考えます。攻める駒は小さな駒から。歩香桂銀金角飛の順ですね。攻撃力が十分ならこれでよいです。(攻撃力が足りないときは遊んでいる攻め駒を使うか、相手の駒を取ることで攻め駒を増やします。)

○ まずは敵玉に直接迫る手を考えます。小さな駒からなので74歩です。

逃げるわけにはいかないのでどちらかで取るのですが、74同玉には76歩

やはり小さな駒で敵玉に迫ります。76同歩同飛75歩は56飛

これなら次に53銀くらいで詰めろ、持ち駒によっては85銀から詰むかもしれません。

後手は76歩のあわせに52銀

と受けますか。34馬(銀取り)47銀成75歩

75同金には76歩から75金、84玉には74金という調子で、これは先手が勝てるでしょう。52銀と1枚使わせて34馬で銀当たりになって、取ってしまえば後手の攻めが細いのです。

ということで、74同玉には76歩がよい手でした。セオリー通りです。74同金には

敵玉に迫るのは37角ですが、46歩の打ち捨てが好手。

成桂を取って勝ちというわけにいかないので、46同角64銀くらいで次によい手がみえません。

74同金にはその金を目標にするほうがよく(セオリーの順番)、76歩と合わせます。

十字飛車で銀を取ればよいというのは前と同じです。

38成桂には46角が攻防ですし、64歩同金53銀とかで詰めろは続きそうです。

76同歩同飛64桂78飛

桂馬を打てば銀取りは受かりますが、成桂取りと75歩が見合いです。

他に76同飛に67銀不成や66金にも37角64桂74飛、37角に64銀は同角、・・・後手も持ち駒に金銀があるので手段が多く全部は調べきれませんが、先手玉を詰ますにはかなりの駒が必要ですから飛車を切って攻めることもできるので先手が指せるようです。


△ 74歩でよければそのあとは考えなくてよいのですが、うまくいかないとなった場合は64金を攻めます。歩ではだめなので54金です。

これは後手が千日手でよいと思えば74金打か63金打で千日手です。
打開するなら54同金同馬64金としかりつけるのですが、そこで74歩を打ちます。

74同玉は85金

取れば64馬で受け無し、73玉には74歩の追撃。これは先手の勝ちです。

74同金には

37角64桂63金

何を合駒しても取れるのでこれも先手の勝ち。

合駒しないで84玉には86歩(その前に46歩を打ち捨てた方がよい)

73桂64金同金同馬74金85金

85同桂同歩同金73馬93玉97桂

少し難しい手順ですが、後手に受けはなくなります。


× 64の金を狙うのに37角は攻防なのですが

38成桂なら85金で先手の勝ち。


後手は46歩同角55歩と受けます。

54金しかないですね。後手には千日手の権利がありますし、54同金同馬64金

55角同金63金84玉55馬に38銀

角を渡したのでこの銀打ちで詰めろ。56馬は詰めろ逃れですが36金28金39角

これは後手の勝ちです。


× 53馬も64金に迫る手で、これが実戦の手です。

でも62金と打たれると

大きな駒で迫ったので64馬とはやりにくいですね。74歩同金46角にも64銀

後手玉が堅くなっていきます。63金同金71馬47銀成

これは後手の勝ちに終わりました。


寄せのセオリーの話は何度も出てきます。74歩の王手で同玉でも同金でも76歩が有力で、いろいろな変化があるのですが先手が勝てるのではないかという結論です。終盤で駒の損得は軽視してよいのですが、後手に金銀の持ち駒が多いので受ける手段はいろいろあり、攻める方は大変です。







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