穴熊の難しい話が続いたので、奇襲戦法でリラックスしましょうか。まずは原始中飛車です。定跡書としては、飯塚祐紀先生の「奇襲振り飛車戦法」です。
初手から、76歩52飛26歩62玉25歩32金
2筋は金で受けるというのが特徴です。24歩同歩同飛23歩28飛72玉48銀82玉68玉72銀78玉54歩56歩
今日の話は飯塚先生の本には出ていないのですが、私が子供のころに読んだ定跡本の記憶 (書名も覚えていないです) をもとに検討してみます。42銀58金右53銀68銀64銀36歩55歩同歩同銀
これはだめな手ですよと書いてあったはずです。パッと見えるのは24歩同歩25歩
2筋を継ぎ歩攻めします。25同歩同飛が銀取りで、34歩24歩
33桂には55飛ですから、2筋が受からず先手優勢です。
ところが
AIに聞くと、31角24歩22歩の図は
評価値は-12、互角なのだと。最初の落とし穴がありました。
戻って
57銀右56歩66銀
66同銀同歩57銀41銀
この割打ちは痛く、先手優勢です。評価値は+1000くらい。
後手は割打ちに備えなければいけないので、51飛96歩を入れてから55歩同歩同銀としてみましょう。
57銀右56歩66銀
後手は銀を引くと57歩同歩成同銀上と盛り上がられます。66同銀同歩57銀に67金
中央の受け方を昔の定跡本は教えてくれるのです。68銀成同金上57銀58歩
68銀成同玉で中央は受かるから、原始中飛車は卒業して、ノーマル中飛車 (当時はこう言いませんでしたが) を覚えなさいと書いてありました。でも14歩を突かれたら
46銀と受けて、13角65歩
ここまで来てやっと評価値は+127の先手ペースくらいなのです。局面が落ち着けば、45銀打~56銀とすれば有利になります。
途中で先手が工夫するならば。最初に57銀を打たれたときに52歩と返せば
52同飛には41銀があります。52同金57銀同歩成同金62金68金
56歩67金寄57銀とすれば、後手の61金が62金に替わっている図になります。58歩と受けても良いのですが、69金とかわして
評価値は+990、ほぼ先手優勢です。(61金の形だと評価値は+577です。) 48銀不成には52歩同飛58歩と受けるのが良い手です。
なおやはり私の記憶があいまいなのですが、
95歩34歩が入っていて、最初の受け方をした図です。64歩~65歩の筋を受けにくいから、難しいのではないかと書いてあったアンチ定跡本 (森雞二先生だったような) を読んだことがあります。振り飛車が先手だったか、美濃囲いではなくて72玉の形だったかがあいまいですが。この図の評価値は-106なので、後手ペースなのでしょう。
先手の受け方はわかったのですが、実は後手が5筋を強引に攻めなければ難しいのです。(評価値は+100くらいです。) もっと戻って先手の対応策を聞いてみると
64銀には66歩だと。「歩越し銀には歩で対抗」です。55歩同歩同銀には56歩
銀を引いてもつまらないので、56同銀とすると46歩で銀ばさみ。57歩同銀右同銀成同銀54飛
この図の評価値は+235の先手良しです。先手が手得しているので、中央を厚くしていけばよいでしょう。
また
51飛と待ってから攻めるのは、57銀右55歩67金
56歩同銀55歩45銀
この図の評価値は+215の先手良し。
こういう受け方のほうが本格的な感じがします。