プレジデント 2023/10/13号では「健康診断のウラ側」ということを特集していました。
ここで東大医学部卒の医者3人が、誤ったことをたくさん扇動していましたので、一つ一つ根拠を示しながら反論するシリーズです。
養老孟司という解剖学者ですが、東京教育大学卒の池田清彦という生物学者との対談でそそのかされたということもありますが、
「僕は医者にかかって薬を毎日飲んでいます。たぶん意味がないけど、飲まないと医者の期限が悪くなるから仕方がない。医者に気を使っているわけじゃないですよ。池田君が指摘したように、システムの問題で、薬を出さないと医者は食べていけません。僕がずっと病院に行きたくないと言っていたのは、一度医者にかかるとそのシステムに否応なく巻き込まれるからでした。」
と言っています。
彼は以前から抗がん剤に対して否定的で、「ガンになっても抗がん剤治療は受けない」と公言していましたが、このほど小細胞肺ガンステージIIであることが判明し、抗がん剤治療+放射線治療を受けていると、以下の本に書かれています。
養老先生、ガンになる
プレジデント 2023/10/13号にはその他に東大卒の和田秀樹という精神科医は「コレステロール数値のコントロールは早死にを招く」(24ページ)などと言っているし、同じく東大卒の大脇幸志郎という医者は「大腸ガン検診を受けても99%以上の人には意味なし」(32ページ)などと言っています。これも誤りです。
大腸ガン検診である便潜血検査の有用性は以下の論文で公表されています。
Randomised controlled trial of faecal-occult-blood screening for colorectal cancer
Lancet 1996;348:1472
1981年から1991年まで、イギリスのノッティンガム地方の45歳~74歳の住民のうち研究への参加を同意した約15万人が、隔年で便潜血検査を受ける群と、便潜血検査を全く受けない群に分けられ、平均約8年間追跡調査されました。
結果は、上の右図のように、全ての理由による死亡は両群で12,624人対12,515人と差がなかったのに、大腸・直腸ガンによる死亡は、便潜血検査を受けた群で360人、受けなかった群で420人と、便潜血検査を受けた群で有意に少なくなりました。その比は0.85(95%信頼区間:0.74~0.98)でした。
左の図は便潜血検査を受けないコントロール群と検査を受けたスクリーニング群の経時変化による死亡率のグラフです。便潜血検査を受けた群では15年間で大腸・直腸ガンによる死亡は1,000人あたり約4.5人(約0.45%)で、受けない群では約5.5人(約0.55%)ですから、便潜血検査は15年で大腸・直腸ガンによる死亡を1,000人に1人減らすことになります。
便潜血検査のコストが1,000円と仮定すると、2年に1回1,000円がかかるので、15年で1人8,000円、8,000円x1,000人=80万円で1人の大腸・直腸ガンによる死亡を減らせることができます。
便潜血検査のコストを2,000円としても、160万円で1人の大腸・直腸ガンによる死亡を減らせることができます。1人の死亡を160万円で減らせるなんて、便潜血検査は大変有用な検査ではないでしょうか。
東大三羽カラス、カラスは鳥類の中でとても知能が高いらしいですが、彼らこそが「現代人がいかに考えないままに、己の周囲に壁を作っているか」と書かれてあった「バカの壁」なのではないでしょうか。
私はこれまで数千人以上の患者を数十年間以上続けて診てきましたが、東大三羽カラスの皆さんは「机上の空論」論者、数千人以上の患者を数十年間以上続けて診たことがないのだと思います。
車を運転していて交通事故に遭う確率は1000分の1以下だそうです。大脇幸志郎という医者が「大腸ガン検診を受けても99%以上の人には意味なし」と言うのは、「シートベルトをしても99.9%以上の運転者には意味なし」と言うのと同じ、まさに「バカの壁」です。
このようなことを週刊誌に載せるということは(真実性)、たとえ悪気がなくても、国民の健康に不利益をもたらす(公益性)(公共性)ので、注視すべきことだと思います。それにしても、「プレジデント」は昔は「1分で伝わる話し方」だとか「一生ものの勉強法」だとか、ためになる記事が多かったのですが、今や「週刊ポスト」並みに堕落してしまいましたね。
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ここで東大医学部卒の医者3人が、誤ったことをたくさん扇動していましたので、一つ一つ根拠を示しながら反論するシリーズです。
養老孟司という解剖学者ですが、東京教育大学卒の池田清彦という生物学者との対談でそそのかされたということもありますが、
「僕は医者にかかって薬を毎日飲んでいます。たぶん意味がないけど、飲まないと医者の期限が悪くなるから仕方がない。医者に気を使っているわけじゃないですよ。池田君が指摘したように、システムの問題で、薬を出さないと医者は食べていけません。僕がずっと病院に行きたくないと言っていたのは、一度医者にかかるとそのシステムに否応なく巻き込まれるからでした。」
と言っています。
彼は以前から抗がん剤に対して否定的で、「ガンになっても抗がん剤治療は受けない」と公言していましたが、このほど小細胞肺ガンステージIIであることが判明し、抗がん剤治療+放射線治療を受けていると、以下の本に書かれています。
養老先生、ガンになる
プレジデント 2023/10/13号にはその他に東大卒の和田秀樹という精神科医は「コレステロール数値のコントロールは早死にを招く」(24ページ)などと言っているし、同じく東大卒の大脇幸志郎という医者は「大腸ガン検診を受けても99%以上の人には意味なし」(32ページ)などと言っています。これも誤りです。
大腸ガン検診である便潜血検査の有用性は以下の論文で公表されています。
Randomised controlled trial of faecal-occult-blood screening for colorectal cancer
Lancet 1996;348:1472
1981年から1991年まで、イギリスのノッティンガム地方の45歳~74歳の住民のうち研究への参加を同意した約15万人が、隔年で便潜血検査を受ける群と、便潜血検査を全く受けない群に分けられ、平均約8年間追跡調査されました。
結果は、上の右図のように、全ての理由による死亡は両群で12,624人対12,515人と差がなかったのに、大腸・直腸ガンによる死亡は、便潜血検査を受けた群で360人、受けなかった群で420人と、便潜血検査を受けた群で有意に少なくなりました。その比は0.85(95%信頼区間:0.74~0.98)でした。
左の図は便潜血検査を受けないコントロール群と検査を受けたスクリーニング群の経時変化による死亡率のグラフです。便潜血検査を受けた群では15年間で大腸・直腸ガンによる死亡は1,000人あたり約4.5人(約0.45%)で、受けない群では約5.5人(約0.55%)ですから、便潜血検査は15年で大腸・直腸ガンによる死亡を1,000人に1人減らすことになります。
便潜血検査のコストが1,000円と仮定すると、2年に1回1,000円がかかるので、15年で1人8,000円、8,000円x1,000人=80万円で1人の大腸・直腸ガンによる死亡を減らせることができます。
便潜血検査のコストを2,000円としても、160万円で1人の大腸・直腸ガンによる死亡を減らせることができます。1人の死亡を160万円で減らせるなんて、便潜血検査は大変有用な検査ではないでしょうか。
東大三羽カラス、カラスは鳥類の中でとても知能が高いらしいですが、彼らこそが「現代人がいかに考えないままに、己の周囲に壁を作っているか」と書かれてあった「バカの壁」なのではないでしょうか。
私はこれまで数千人以上の患者を数十年間以上続けて診てきましたが、東大三羽カラスの皆さんは「机上の空論」論者、数千人以上の患者を数十年間以上続けて診たことがないのだと思います。
車を運転していて交通事故に遭う確率は1000分の1以下だそうです。大脇幸志郎という医者が「大腸ガン検診を受けても99%以上の人には意味なし」と言うのは、「シートベルトをしても99.9%以上の運転者には意味なし」と言うのと同じ、まさに「バカの壁」です。
このようなことを週刊誌に載せるということは(真実性)、たとえ悪気がなくても、国民の健康に不利益をもたらす(公益性)(公共性)ので、注視すべきことだと思います。それにしても、「プレジデント」は昔は「1分で伝わる話し方」だとか「一生ものの勉強法」だとか、ためになる記事が多かったのですが、今や「週刊ポスト」並みに堕落してしまいましたね。
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