医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

「数値のコントロールは早死にを招く」は誤り

2024年11月28日 | 生活習慣病
プレジデント 2023/10/13号
では「健康診断のウラ側」ということを特集していました。

ここで東大医学部卒の医師3人が、誤ったことをたくさん扇動していましたので、一つ一つ根拠を示しながら反論するシリーズです。

和田秀樹という精神科医は「フィンランド保険局の調査で、血圧、血糖値、コレステロール値をコントロールしないほうが、死亡リスクが減少するという結果が判明しています」「数値のコントロールは早死にを招く」(24ページ)と書いています。上の図の赤線の部分です。
何もコントロールしない群と、intervention群すなわち治療介入する群を比較したら、18年間のフォローで何もコントロールしない群で1000人あたり31.1人、治療介入する群で63.7人で、治療介入する群の方が多く死亡しているではないか!と言いたいようです。
これも誤りです。

彼は以下の論文と上の図を日本語に訳してプレジデント 2023/10/13号に載せています。
Mortality in participants and non-participants of a multifactorial prevention study of cardiovascular diseases: a 28 year follow up of the Helsinki Businessmen Study.
Br Heart J 1995;74:449-54.


そこで私はその論文の原文を読んで確かめてみました。
原文には以下のように書いてありました。
Total deaths were significantly predicted by age (RR 1.48, 95% CI: 1.31-1.66), systolic blood pressure (RR 1.18, 95% CI: 1.13-1.24), serum cholesterol (RR 1.11, 95% CI: 1.04-1.19), and smoking (RR 1.87, 95% CI: 1.55-2.25).; coronary death by age (RR 1.44, 95% CI: 1.19-1.75), systolic blood pressure (RR 1.26, 95% CI: 1.15-1.34), and cholesterol (RR 1.26, 05% CI: 1.13-1.41).

補足してまとめますと、
死亡は、年齢が5歳増えると1.48倍、血圧が10mmHg増えると1.18倍、総コレステロールが約38mg/dL増えると1.11倍、喫煙があると1.87倍増える。狭心症や心筋梗塞で死亡するのは、年齢が5歳増えると1.44倍、血圧が10mmHg増えると1.26倍、総コレステロールが約38mg/dL増えると1.26倍増える。
と書いてありました。

そして結論に以下のように書いてありました。
In conclusion, this study shows that the traditional cardiovascular risk factors are also important predictors of mortality among men of the highest social class.
「結論として、(教育を受けた)高いクラスの男性の間でも、(血圧、血糖、コレステロール値という)伝統的なリスク因子は死亡リスクを評価するのに重要な因子である。」

また、18年間のフォローで何もコントロールしない群より治療介入する群で多く死亡している点について、
「However, the important questions remain: what is the optimal treatment to lower the risk factors in primary prevention and what are the target levels for intervention? Apparently the intervention methods were not optimal in the Helsinki Businessmen Study.」

「適切な治療介入とは何であるか、どこまで治療介入するかは未だ不明であり、この研究での治療介入は適切でなかった」と書かれています。

「適切でない治療介入だった」とはどういう方法だったのか、この論文で2番目に引用されている論文に、この論文の研究方法が詳しく書かれていましたので、原文を読んでみました。
血圧の治療薬は、日本でも第一選択薬ではない、「利尿薬」と「ベータ・ブロッカー」でした。また、コレステロール低下薬は、現在はコレステロール低下作用以外にも抗炎症作用、抗酸化作用を併せ持つ「スタチン」が使用されるのに、この研究では「フィブラート系」が使用されていました。

つまり、適切でない治療介入で調べられたこの研究の結果から「数値のコントロールは早死にを招く」と導くのは誤りと言えます。

一方で、「○○値の下げすぎはNG」とか「やや高めでもいい」と、批判をかわせるようなあいまいな表現をしています。
さすが「東大話法」!

東大話法その1、自分の信念ではなく、自分の立場に合わせた思考を採用する。
東大話法その2、自分の立場の都合のよいように相手の話を解釈する。
東大話法その3、都合の悪いことは無視し、都合のよいことだけ返事をする。


東大話法その12、自分の議論を「公平」だと無根拠に断言する。 など、
↓ここに載っています。
東大話法

このような誤りの記事は(真実性)、たとえ悪気がなくても、国民に不利益をもたらす(公益性)(公共性)こともあるので、注視すべきことだと思います。

東大医学部卒の医師3人が、誤ったことをたくさん扇動していましたので、一つ一つ根拠を示しながら反論するシリーズ、これからも続けていきたいと思います。


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東大三羽カラスによる困った扇動

2024年10月31日 | 生活習慣病
査読員から修正を求められていた2編の論文のリバイスに四苦八苦しておりましたので更新が遅れていましたが、無事に2編ともアクセプトされました。求められる修正に1つ1つ対応するのは大変でしたが、その度に論文の内容が良くなっていったので、本当にありがたいことです。


さて、それで少し前の話ですが、プレジデント 2023/10/13号では「健康診断のウラ側」ということを特集していました。

ここで東大医学部卒の医師3人が誤ったことをたくさん扇動していましたので、今後一つ一つ根拠を示しながら反論したいと思います。

まずは、養老孟司という解剖学者ですが、東京教育大学卒の池田清彦という生物学者との対談でそそのかされたということもありますが、

「僕は医者にかかって薬を毎日飲んでいます。たぶん意味がないけど、飲まないと医者の機嫌が悪くなるから仕方がない。医者に気を使っているわけじゃないですよ。池田君が指摘したように、システムの問題で、薬を出さないと医者は食べていけません。僕がずっと病院に行きたくないと言っていたのは、一度医者にかかるとそのシステムに否応なく巻き込まれるからでした。」(14ページ)
と言っています。

彼は以前、「血圧が160 mmHg以上あるけれど薬を飲まなくてもこのようにピンピンしているから、本当は血圧なんて160 mmHgでもいい」というようなことを言っていました。

上の図は下に示した論文から引用した、血圧が上がるにつれて死亡率が上がるので、(110 mmHg以下になるとふらついて転倒したり腎臓への血流が低下したりする場合があるのでその限りではありませんが)110 mmHgまでは低い方がいいという根拠です。

私は日頃の診療でこの図を患者に見せて、説明しています。もちろんこれは観察研究ですので、薬を飲んで血圧を下げた場合に死亡リスクが下がるかを示したものではありませんが、この研究には薬を飲んでいる患者も飲んでいない人も含まれていますので、薬の内服の有無にかかわらず、その時の血圧で判断できるとも解釈できます。

皆さんも以下の論文を参考にしてみて下さい。

Age-specific relevance of usual blood pressure to vascular mortality: a meta-analysis of individual data for one million adults in 61 prospective studies
Lancet 2002;360:1903-13.


During 12·7 million person-years at risk, there were about 56 000 vascular deaths (12 000 stroke, 34000 ischaemic heart disease [IHD], 10000 other vascular) and 66 000 other deaths at ages 40–89 years.
Blood pressure and cardiovascular disease in the Asia Pacific region
Journal of Hypertension 2003;21:707


彼は以前から抗がん剤治療に対しても否定的で、「ガンになっても受けない」と公言していましたが、このほど小細胞肺ガンステージIIであることが判明し、抗がん剤治療+放射線治療を受けていると、以下の本に書かれています。きっと東大の良心である中川恵一先生にエビデンスを丁寧に説明してもらったのだと思います。

「養老先生、ガンになる」

プレジデント 2023/10/13号にはその他にも東大卒の和田秀樹という精神科医が「コレステロール数値のコントロールは早死にを招く」(24ページ)などと言っているし、同じく東大卒の大脇幸志郎という医者は「大腸ガン検診を受けても99%以上の人には意味なし」(32ページ)とか、「子宮頚ガンワクチンで子宮頚ガンを減らせるのか、この議論もまだ決着がついていません」(33ページ)などと言っています。

東大三羽カラス、カラスは鳥類の中でとても知能が高いらしいですが、彼らこそが「現代人がいかに考えないままに、己の周囲に壁を作っているか」と書かれてあった「バカの壁」なのではないでしょうか。


私はこれまで千人以上の患者を十年以上続けて診てきましたが、東大三羽カラスの皆さんは千人以上の患者を十年間以上続けて診たことがないのだと思います。

東大三羽カラスに一つ一つ根拠を示しながら反論するシリーズは今後も続けます。

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魚の油 EPAの製剤、宣伝されている割には効果がない

2024年06月23日 | 生活習慣病
今からちょうど10年前、魚の油 EPAの製剤エパデールに関して以下の記事を書きました。

エパデールの効果 JELIS study、やはり、「狭心症による入院」というエンドポイントはダメでしょう

エパデールの効果、二次予防に対するJELISサブ解析

これらに関して、興味深い論文が先月発表されました。

Regular use of fish oil supplements and course of cardiovascular diseases: prospective cohort study
BMJ Med . 2024 May 21;3(1):e000451.


【方法】
対象は、英国で2006〜10年に実施された英国バイオバンクの参加者41万5,737人(平均年齢55.9歳、男性45%)です。

タッチパネル方式で魚の油 EPAの製剤を内服しているかどうかを含め、各項目がアンケートにて(平均12年間)調査されました。

健康な状態から心房細動(推移A)、
健康な状態から心血管疾患(推移B)、
健康な状態から死亡(推移C)、
心房細動の患者が心血管疾患(推移D)、
心房細動の患者が死亡(推移E)、
心血管疾患の患者が死亡(推移F)の6つの推移が調査されました。

全てのモデルで年齢、性、民族、油分の多い魚の摂取、油分の少ない魚の摂取、喫煙、飲酒、肥満、高血圧、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患、慢性腎不全、スタチン・糖尿病治療薬・降圧薬の使用が多変量解析で補正されました。

【結果】
健康な状態から心房細動(推移A)、1.13倍、悪化した
健康な状態から心血管疾患(推移B)、1.00倍、効果なし
健康な状態から死亡(推移C)、0.98倍、効果なし
心房細動の患者が心血管疾患(推移D)、0.92倍、改善した
心房細動の患者が死亡(推移E)、0.91倍、効果なし
心血管疾患の患者が死亡(推移F)、0.99倍、効果なし

健康な状態の人が魚の油 EPAの製剤を内服しても、心房細動が増えるという悪化作用だけでした。
心房細動の患者が内服すると、心血管疾患を8%減らせました。

41万5,737人を解析して様々な因子で補正され、前向きに調査されているので、結果にはかなりの重みと信頼性があります。

魚の油 EPAの製剤、いろいろと宣伝されている割には効果がないです。
少なくとも、健康な状態の人が内服してもお金の無駄ですね。



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やはり卵黄の取り過ぎは死亡リスクを増やす

2022年06月06日 | 生活習慣病
時々患者から「卵を食べ過ぎると悪玉コレステロール値が上がるというのは嘘ですよね」と尋ねられます。
でも、「悪玉コレステロール値の高い人が卵の摂取を減らすと、悪玉コレステロール値が減少する」ことは臨床でよく経験します。

卵(卵黄)の取り過ぎは動脈硬化性疾患の発症とは関連がないというデマも存在します。
以下のように「卵屋さん」が言っても説得力はありません。

たまごは1日2個以上食べてOK!たまごはコレステロールの敵ではない!
癌患者は栄養状態が落ちていることにより悪玉コレステロール値が下がっているのに、悪玉コレステロールが低いと癌になると、アホな主張をしています。これは単に、単解析における「因果の逆転」なのです。

合計約3万人を平均17年間前向きに調査した臨床データが2年前に信頼性の高い医学雑誌で発表されています。
Associations of Dietary Cholesterol or Egg Consumption with Incident Cardiovascular Disease and Mortality
JAMA. 2019;321:1081-1095.

(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

この研究では個人へのアンケートで毎日の食生活が調査され、6つの前向き調査のデータが合計されて再解析されました。もちろんこれらのデータは、性別、年齢、人種、教育のレベル、喫煙状況、糖尿病の状況、血圧の状況、日々の活動量、身長体重指数、飲酒量、善玉コレステロール値、内服薬物の状況で補正されました。

上の図は、食事内容から1日の悪玉コレステロール摂取量が解析され、その後の心血管疾患の死亡リスクと全疾患の死亡リスクとの関連が示されたものです。

参考までに、卵1つに200~260mgの悪玉コレステロールが含まれています。

下の図は同様の解析で、1日の卵の摂取量とその後の心血管疾患の死亡と全疾患の死亡との関連が示されたものです。

摂取悪玉コレステロールが多いほど、摂取卵量が多いほど全疾患の死亡率は連続的に上昇しています。スペースの関係で載せていませんが、心血管疾患の死亡はもっと関連が強かったです。

具体的には、悪玉コレステロールの1日摂取量が300mg増えるほど、心血管疾患による死亡リスクは1.17倍、全疾患の死亡リスクは1.18倍増えており、これは統計学的に有意なものでした。

卵の1日摂取個数が1つ増えるほど、心血管疾患による死亡リスクは1.06倍、全疾患の死亡リスクは1.08倍増えており、これも統計学的に有意なものでした。


やはり卵黄の取り過ぎは、心血管疾患の死亡リスクと全疾患の死亡リスクを上昇させます。卵の取り過ぎは良くないです。

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LDL(悪玉)コレステロール値は160mg/dlでも大丈夫

2016年11月08日 | 生活習慣病
総コレステロールの値とその後17.3年間の死亡危険率の関係
(総コレステロール値160mg/dl-180mg/dlを1として比較した場合)

黒棒は補正なしの危険率です。
白棒は肝臓病でもコレステロールが下がるため、肝臓病を除外した場合の危険率です。
グレーの棒は、ガンになっているのを知らないでコレステロールが下がっていた場合を除外するために、17.3年間の観察のうち最初の5年間で死亡した人を除外した場合です。

いずれの場合も総コレステロール値が260mg/dlまで死亡率が上昇していない事がわかります。

さて、2007年に改定された動脈硬化性疾患予防ガイドラインを熟読していたら、奇妙なことに気がつきました。LDL(悪玉)コレステロールの件に関して、ガイドラインの中には「LDLコレステロールはその値が高くなるほど動脈硬化性心臓病が増える」とあり、その根拠として2007年に発表された次のこの論文が参考にされています。

The relationship between serum total cholesterol and all-cause or cause-specific mortality in a 17.3-year study of a Japanese cohort.
Atherosclerosis. 2007;190:216.
(インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★★★)

1980年に30歳以上の日本人10,546人が調査の対象となり、17.3年間その予後が調べられ、最終的に9,216人のデータが揃いました。

総コレステロールの値が240mg/dlの場合はLDLコレステロール値はだいたい160mg/dlと考えることができるらしいのですが、上の図を見ると、LDLコレステロール値180mg/dlまでは生命の予後を悪化させていません。

欧米人と異なり、日本人の場合、一次予防(まだ心筋梗塞や狭心症を起こしていない場合)、悪玉コレステロール値は160mg/dlでも良いということです。

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ビタミンのサプリメントは動脈硬化性心臓病に効果ない

2014年08月19日 | 生活習慣病
前回、来年度から、これまであいまいにしか書けなかった健康食品の宣伝文句が、企業の責任で体にどう機能するか明確に表示できるようになる見通しであることをお伝えしました。この制度は消費者が商品を選びやすくすることで、市場を拡大させるのがねらいです。しかし新たな制度によって、問題のある商品がこれまで以上に増えるのではないかという指摘もあります。

先日もNHKのクローズアップ現代でこの問題が取り扱われていました。
↓今でもNHKのサイトに載っていますので、まず動画をご覧下さい。
健康食品が変わる 規制改革の波紋

以前から、ビタミンEに関してはいろいろと研究が進んでいますが、ビタミンEが動脈硬化による心臓病に効いたというCHAOSという大規模試験があります。しかし、大規模試験でビタミンEが効いたと結論づけているのはこの研究だけです。そこで、どうしてその大規模試験だけが「効いた」のか調べてみることにしました。

これまでにビタミンEの心臓病の予防に対する効果を調べた無作為大規模臨床試験は以下の4つありました。

European Heart Journal. 2004;25:1171.
Effect of alpha-tocopherol and carotene supplementation on coronary heart disease during the 6-year post-trial follow-uo in the ATBC study.
(インパクトファクター★★★☆☆、研究対象人数★★★★★)
この研究では喫煙者29,133人がビタミンE(50mg/dl/日)摂取群(6,820人)とベータカロチン(20mg/dl/日)摂取群(6,821人)、両者の摂取群(6,781人)、非摂取群(6,849人)に分けられて調査されました。6年間の調査で、狭心症や心筋梗塞で風船治療や手術を必要としたのはビタミンE群で520人、ベータカロチン群で548人、両者摂取群で511、非摂取群で534人と効果がない事が判明しました。死亡にまで至らない心筋梗塞や心筋梗塞による死亡に対しても同様に効果はありませんでした。
この研究の対象者は喫煙者で、一次予防といってまだ狭心症や脳梗塞や心筋梗塞に一度もかかっていない人です。

Lancet. 2000;355:253.
Effects of ramipril on cardiovascular and microvascular outcomes in people with diabetes meritus: results of the HOPE study and MICRO-HOPE substudy. Heart Outcomes Prevention Evaluation Study Investigators.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)
この調査では3,577人の既に狭心症や脳梗塞や心筋梗塞にかかったことがある糖尿病の患者さんがramiprilというACE阻害剤(高血圧の薬、日本では未発売)投与群とビタミンE投与群と非投与群に分けられ5年間調査されました。ramiprilは全ての原因による死亡、心筋梗塞による死亡、脳梗塞の発症、心筋梗塞の発症予防に効果があったのですが、ビタミンEにはその効果は全く認められませんでした。
この研究の対象者は糖尿病の患者で、二次予防といって既に狭心症や脳梗塞や心筋梗塞にかかったことがある人です。

Lancet. 1999;354:447.
Dietary supplementation with n-3 polyunsaturated fatty acids and vitamin E after myocardial infarction: results of the GISSI-Prevenzione trial.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)
この研究では、心筋梗塞にかかって3カ月以内の患者さんがビタミンE投与群(2,830人)と非投与群(2,828人)に分けられ3.5年間調査されました。ビタミンEには心筋梗塞による死亡、脳梗塞の発症、心筋梗塞の発症予防効果は全く認められませんでした。
この研究の対象者は心筋梗塞にかかっている患者です。もちろん二次予防になります。

さて、ビタミンEが効いたというCHAOSという大規模試験です。
Lancet. 1996;347:781.
Randomised control trial of vitamin E in patients with coronary disease: Cambrige Heart Antioxidant Study (CHAOS).
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)
この研究では、心臓カテーテル検査で心臓の血管に治療しないといけないほど狭いところがある患者がビタミンE800IU/日投与群(546人)とビタミンE400IU/日投与群(489人)と非投与群(967人)に分けられ約2年間調査されました。

死亡に至らない心筋梗塞になった人数
投与群 1,035人中14人、非投与群 967人中41人と、約1,000に27人減りました。これは統計学的にも「効果あり」です。

心筋梗塞による死亡
投与群 1,035人中23人、非投与群 967人中27人と、約1,000に4人減りました。これは効果なしです。

全ての原因による死亡
投与群 1,035人中36人、非投与群 967人中27人と、約1,000に9人増やしました。これは効果なしです。

これでわかりました。ビタミンEは心臓カテーテル検査で心臓の血管に治療しないといけないほど狭いところがあるのだけれど、風船治療や手術をしないでいる患者さんには、死亡に至らない心筋梗塞を1,000分の27の確率で予防するということです。

これらの結果を総合すると、ビタミンEはまだ狭心症や脳梗塞や心筋梗塞に一度もかかっていない人や心筋梗塞にかかってしまった人には心筋梗塞による死亡や心筋梗塞や狭心症の発症予防に全く効果がないのだけれど、心臓カテーテル検査で心臓の血管に治療しないといけないほど狭いところがあるのだけれど、風船治療や手術をしないでいるごく限られた方(たぶんこういう方は医師から風船治療や手術を勧められていると思います)に有効ということでした。

しかし、現在の医療水準において、心臓の血管に治療しないといけないほど狭いところがあるのだけれど、風船治療や手術をしないでいる患者などほとんどいません。

こういう特殊な結果を一般に当てはめて、一般の人(心臓カテーテル検査で心臓の血管に治療しないといけないほど狭いところがない人)に「ビタミンEは心臓病の予防に効果がある」とアピールするのは不適切ですから、今後は取り締まられなければいけません。

さて、ビタミンの動脈硬化による心臓病に対する予防効果について最近興味深い総括が発表されました。

Efficacy of vitamin and antioxidant supplements in prevention of cardiovascular disease: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials
BMJ. 2013 Jan 18;346:f10
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

この総括では、ビタミン剤は動脈硬化による心臓病に効き目がないと結論づけています。

50の大規模臨床試験の結果をまとめたものですが、上の図にあるように、製薬会社からプロバイドされたものではない研究では、ビタミンは効果がありません(上の4つですが、真ん中の1倍という縦軸を横軸が交差している場合は効果がありません)。

しかし一方で、製薬会社からプロバイドされた下の8つの研究では効果有り(横軸が真ん中の1倍という縦軸より左に偏っている)となっています。特に今回ご紹介したCHAOSという大規模試験は他の7つより飛び抜けて左に偏っていますね。
製薬会社は、先日のノバルティス・ファーマ社の事件のように、医学研究の結果を変えてしまうほどの凄い力を持っているということです。私たち医者は、そのように講演料を一杯もらってブタが木に登らないように気をつけないといけません。

新しい制度で健康食品の宣伝文句が体にどう機能するか明確に表示できるようになるのは良いけれど、例えば今回ご紹介したように、私たち消費者は研究の信頼性をどのように知ることができるのでしょうか。

とにかく、ビタミン剤は動脈硬化による心臓病に効き目がないことは事実です。

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健康食品が変わる 規制改革の波紋

2014年06月30日 | 生活習慣病
↑(NHKのホームページより引用)

7編の論文を並行して提出しているのと、英文の総説を3編依頼され、全く首の回らない状態です。睡眠時間を削ってなんとかやり繰りしています。ブログの更新が滞ってしまい申し訳ありません。


さて、来年度から、これまであいまいにしか書けなかった健康食品の宣伝文句が、企業の責任で体にどう機能するか明確に表示できるようになる見通しです。この制度は消費者が商品を選びやすくすることで、市場を拡大させるのがねらいです。しかし新たな制度によって、問題のある商品がこれまで以上に増えるのではないかという指摘もあります。

先日もNHKのクローズアップ現代でこの問題が取り扱われていました。視聴率が9.1%だそうですから、視聴した方も多かったと思います。

↓今でもNHKのサイトに載っていますので、まず動画をご覧下さい。
健康食品が変わる 規制改革の波紋


この制度は20年以上前から米国で導入されていて、企業がみずからの判断で効果を表示できるため、逆に科学的根拠がない商品が続出しているという弊害が出ています。

番組では、その健康食品が良いという(何に良いのかは非常に微妙な問題です)医学的根拠が多く出ているという製品を作っている会社の意見が紹介されていました。

上の写真にあるように、食品メーカーニッスイ研究所長の辻智子氏は自社製品について、「有効性をヒトで試験するという論文は2500以上発表されています」と述べ、他の研究者も「世界中でお金をかけて科学的根拠を照明しているはずなのに、(これまではそれが表示できなかった)」と、来年度から施行される新たな制度に賛成を表明していました。

そして、番組ではこのニッスイの製品に関する論文を2つ映していました。2500以上の論文のうちこの2編を映すのですから、よほど自信があるのだと思い、私はそれらの論文を調べてみました。

ところが、そのうちの一編(写真右上)は私が前回のブログで紹介した論文で、「不安定狭心症、風船治療やステント治療やバイパス術が必要となった」のはEPA内服群で低かったけれど、「突然死、致死性心筋梗塞」では差がないのに、「突然死、致死性心筋梗塞、非致死性心筋梗塞、不安定狭心症、風船治療やステント治療やバイパス術が必要となった」全体で効果があると誤解を招きかねない論文です。

しかも、オープンラベルの研究であり、上島教授が指摘しているように「李下に冠を正さず」ではない論文です。

詳しくは前回のブログをご覧下さい。

もう一つの論文(写真左上)は
Long-chain omega-3 Fatty acids eicosapentaenoic Acid and docosahexaenoic Acid and blood pressure: a meta-analysis of randomized controlled trials.
Am J Hypertens. 2014 Jul;27(7):885-96

(インパクトファクター★★★☆☆、研究対象人数★★★★★)

魚の脂製剤EPAを内服すると血圧が下がるというものなんですが、原文を読んでみると
In the overall meta-analysis model of 93 data points from 70 RCTs, SBP decreased by 1.52 mm Hg (95% CI = −2.25 to −0.79) compared with placebo, after EPA+DHA provision. In the meta analysis of hypertensive subjects, significant reductions in SBP (−4.51 mm Hg; 95% CI = −6.12 to −2.83) were observed.

全体では血圧は1.52 mmHg低下して、高血圧症患者に限ってみると4.51 mmHg低下した、と書かれています。

通常血圧が低下して改善するといったら、消費者は最低でも10 mmHgぐらいは低下するイメージを持つのではないのでしょうか。それがたった1.52 mmHgでは、動脈硬化性疾患を予防するのにビクともしないレベルです。

何が言いたいかというと、新しい制度で健康食品の宣伝文句が体にどう機能するか明確に表示できるようになるのは良いけれど、例えばこの製品の場合、この2つの論文を根拠として、もしも「動脈硬化性疾患を減少させます。血圧を下げます」と表示したならば、それは半分は偽りではないだろうかと感じるわけです。

明確に「5年間内服すると、動脈硬化性疾患の一部、不安定狭心症を0.9%だけ減少させます。血圧は1.52 mmHだけ減少します」と表示しなければいけません。

そんな程度なら、自己判断で健康食品を内服するより、病院を受診した方が安全です。

↓さて、来年度からこの製品は、そのように表示してくれるのでしょうか?
http://www.nissui.co.jp/product/cm/cm_epa03.html今でも、「ラストに驚きのパフォーマンスを!」EPAの持つスポーツへの機能を中心に開発されたサプリメントシリーズです」って何?と思えてしまいますが・・

これからは消費者がそれらの論文を自分で調べろということですから大変です。私も今後も消費者の立場でできるだけ多くの論文を分析していきます。

国民に不利益になる(効果のない薬を買わされる)事実(真実性)が間違って公言されることがあれば、それは大問題だと思いますし(公共性)(公益性)、しっかりと検証しなければいけません。


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鍼治療は高血圧症に効果ない

2013年10月01日 | 生活習慣病
中国では、鍼治療が血圧を下げることに効果があるということが報告されています。それらの報告では、血圧測定者が被験者が針治療を行われる群とそうでない群のどちらに振り分けられているか知っている方法で行われており、信頼性に欠けるものでした。鍼治療が血圧を下げることに効果があると信じている血圧測定者は何度か血圧を測定して低い数値を結果として採用するからです。

しかし、これは研究方法の限界とも考えられます。どちらの群に振り分けられたかは被験者に尋ねればわかってしまうからです。

そんな結果に決着をつけるべく、二重盲検無作為ランダマイズ試験が行われました。

Stop hypertension with the acupuncture research program. Results of a rondomized, controlled trial.
Hypertension. 2006;48:838.
(インパクトファクター★★★☆☆、研究対象人数★★★☆☆)

血圧が140/90mmHgから179/109mmHgの192人が、高血圧に有効とされているツボに鍼治療を行う群、個人の東洋医学的な状態から個別に処方されたツボに鍼治療を行う群、それらと全く関係のないツボに鍼治療を行う群に分けられました。

つまり研究対象者全員になんらかの針穿刺を行うことで、血圧測定者に被験者がどの群に振り分けられたかが解らないようにしたのです。もちろん被験者自身も自分がどの群に振り分けられたのか知らされていません。

鍼治療は、12年以上針治療の研修をうけた専門家によって週2回、6~8週間行われ、血圧は開始から10週間後、4、6、9、12か月後に測定されました。

10週間後には、高血圧に有効とされているツボに鍼治療を行う群で収縮期血圧が3.6mmHg、個人の東洋医学的な状態から個別に処方されたツボに鍼治療を行う群で3.6mmHg、それらと全く関係のないツボに鍼治療を行う群で3.8mmHg低下し、3群間で差がありませんでした。同様に拡張期血圧も差がありませんでした。

鍼治療が終了した4、6、9、12か月後には血圧は治療前の値に戻っていました。鍼治療には高血圧の薬を内服すること以上の対費用効果は認められませんでした。高血圧の薬を内服すれば血圧は10mmHg以上下がります。また、治療直前と治療直後にも血圧の差は認められませんでした。

鍼治療をうけていると、たとえそれが適当(いいかげんなツボ)にされている群でも血圧がわずかに低下していることから、精神的な暗示効果は認められましたが、このように鍼治療には高血圧症を治療する効果が全く認められないことが初めて二重盲検無作為ランダマイズ試験で証明されたのです。

この研究はアメリカでおこなわれました。中国のお家芸である針治療はおそらく、中国>日本>アメリカ、の順に多く行われていると思います。症例数が多い中国でこれまで大規模に証明されなかったのは、鍼治療に効果がないことを知っていたためにこういう研究をする事を意図的に止めていたと考えるのが自然です。

この研究は小手調べといったところでしょう。血圧という数値化された結果を扱うから証明しやすいのです。そのうちアメリカは頭痛とかのぼせに対する漠然とした効果も数値化して効果のなさを証明するでしょう。現にこの論文でも精神的スコアーは針治療で改善したが、身体的スコアーは改善しなかったことを証明しています。

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日本のメラトニン受容体作動薬とアメリカのメラトニンの価格差

2013年03月13日 | 生活習慣病
学会のためにアメリカに来ています。

体内に元々ある物質でメラトニンという物質は睡眠を促します。そこで、このメラトニンが働く部位に作用してメラトニンと同じ効果で睡眠を促す薬剤ロゼレムが武田薬品から売られています。現在1錠82円です。

しかし、アメリカではメラトニンと同じ効果の物質ではなく、メラトニンそのものがコンビニなどで売られていて誰でも簡単に手に入れられます(写真左)。私も10年以上前から愛用していて、日本では発売されていないのでアメリカを訪れた時に買っておいて、眠れない時に使用しています。私はこれを使用するととてもよく眠れて、次の朝は快適に覚醒できます。副作用については個人責任ですが、こんな記載がネットにありましたので、ご紹介します。あくまでも自己責任です。

(以下、引用)
「メラトニンは、アメリカでは医薬品扱いではなく、栄養補助食品として扱われており、規制なく誰でも自由に購入できます。確かに今までの研究結果により発表されているこの物質は、とてもすぐれた効能がありますが確証はありません。長年の厳重なモニター研究で現在のところ危険性はなく注意を促す副作用もないとされていますが、いまだラットを使っての実験研究は続いていますので、その効能のあとにくるものは研究途中だということを頭において、その上であくまでも自己責任のもとご使用を判断されることをおすすめします。日本では、医薬品扱いですので、製造、販売、個人輸入はできませんが、個人の利用目的であれば個人輸入できるようです。ネット通販では、代行輸入の会社もあります。アメリカに旅行に行った際にサプリメントで売っていますので、買ってきて試してみることもできるでしょう。どちらにせよ、購入時は必ず原料の確認をしましょう。メラトニンは、植物や動物のもあり、原料が天然性、動物性、または牛もありますが、これらの原料のメラトニンはウイルスや抗体反応を起すタンパク質を含む恐れがありますので、避けるほうがよいでしょう。人体で分泌する分子構造と同じ人工性、薬剤性メラトニンが原料の場合は安全です。メラトニンサプリは、錠剤の数に違いがあり、1錠に何mg入っているかで服用の仕方が異なります。メラトニン1mgが90錠に入っている場合は、少し睡眠をヘルプしてもらう程度に思っている人にいいでしょう。初めて試してみる場合は、少量タイプから始める方がいいですね。服用は寝る30分ほど前に済ませましょう。吸収性高く効果が出ます。不眠に悩んでいる方は標準タイプともいえる1錠に3mgメラトニンが含まれ60錠入りです。即効性があります。現在では副作用がないといわれているメラトニンですが、確証はありません。薬よりもさらに副作用が考えにくい天然素材のメラトニン・サプリメントからなら、気軽にはじめる事ができますね」
(以上、引用)

今回もアメリカで購入したのでブログで紹介するために写真を撮りました。税関などで、個人が使用する範囲内と認められれば持ち帰りは認められます。有効期限を考慮すると個人使用なのですから10瓶も持っていたら、引っかかるでしょう。私は2瓶買いました。アメリカで買わなくてもネットで検索すれば日本でいくらでも手に入れられます。さて、1錠1mgが1瓶180錠入りで値段はアメリカでどれぐらいだと思いますか?日本でロゼレムが1錠82円なのだから14000円ぐらい?いえいえ、違います、1瓶8ドル99セント、日本円で1錠約7円です!日本のロゼレム錠はアメリカのコンビニで買えるメラトニン錠の10倍以上の値段に設定されているのです。

さて、私が本日「メラトニン」をアメリカのウォルグリーンというコンビニ兼薬局で買おうとしたら、偶然隣に、「Fish Oil」なるものがありました。それが写真の右です(こんなの必要ないので、写真を撮ったら捨ててしまいました)。この錠剤には、以前お伝えしたイコサペント酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)が入っています。両者の割合は不明ですが、1錠に1.2g入っていて1日に3錠内服すると書いてあります。そういえば、武田薬品から発売されているロトリガには1日分4g入っていて508円でした。

ちなみに、写真のごとく、ボトルにはMay Reduce Risk of Coronary Heart Diseaseと書かれています。動脈硬化性の心臓病のリスクを減らす「かもしれない」という意味で、「減らす」とは書かれていないです。一種の「お守り」みたいなものです。さすが、アメリカは訴訟の国ですから正直に書いています。

→ロトリガを内服しても心筋梗塞、脳梗塞、死亡を減らすことはできない

この「Fish Oil」、120錠(40日分)入りで値段はどれぐらいだと思いますか?日本でロトリガが1日508円なのだから1瓶20000円ぐらい?いえいえ、違います、1瓶14ドル99セント、日本円で1日分約38円です!日本のロトリガはアメリカのコンビニで買う13倍以上の値段に設定されているのです。

その後の記事にもジャンプしてみてください。

コメントに対する私の反論

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ロトリガを内服しても心筋梗塞、脳梗塞、死亡を減らすことはできない

2013年02月14日 | 生活習慣病
前回、魚肉に多く含まれるイコサペント酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)などのオメガ-3脂肪酸エチルをサプリメントとして摂取すれば、動脈硬化性疾患が減少するという「推測」のもとに、武田薬品工業株式会社からEPA+DHA製剤であるロトリガに健康保険が効く承認がなされたということをお伝えしました。

ロトリガの成分であるイコサペント酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)を摂取して、死亡や心筋梗塞や脳梗塞が減るのかを調べる研究は多くなされていて、昨年、それらの研究をまとめて解析したメタ解析の結果が発表されましたので、ご紹介します。

Association between omega-3 fatty acid supplementation and risk of major cardiovascular disease events: a systematic review and meta-analysis
JAMA. 2012 Sep 12;308(10):1024-33.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

EPA+DHA製剤に関する研究で1年以上観察された20研究、68,680人において、EPA+DHA製剤を内服するグループとそうでないグループで、全ての原因による死亡、心臓病による死亡、突然死、心筋梗塞、脳卒中の発症に違いがあるかが解析されました。

その結果、内服した場合のリスクの倍率とリスク減少率は、

全ての原因による死亡、0.91~1.02倍、リスク変化率=-0.01~+0.02
心臓病による死亡、0.85~0.98倍、リスク変化率=-0.02~0.00
突然死、0.75~1.01倍、リスク変化率=-0.012~+0.006
心筋梗塞、0.76~1.04倍、リスク変化率=-0.007~+0.002
脳卒中、0.93~1.18倍、リスク変化率=-0.002~+0.004
です。

この論文の結論には、「EPA+DHA製剤を内服しても、全ての原因による死亡、心臓病による死亡、突然死、心筋梗塞、脳卒中の発症は減少しない。我々の結果はEPA+DHA製剤の内服を正当化することはできない」と記載されています。

この論文にも記載されていますが、以前の研究で唯一効果があった研究(DART study)は、悪玉コレステロール低下薬がまだ普及していない時代(1989年)の、心筋梗塞を発症して間もない患者を対象にしていたとあります。

↓従って、この辺に書かれている、動脈硬化予防、心筋梗塞予防ということは真実ではないということになります。
http://www.hakuraidou.com/info/omega3.htm

それなのに、なぜ厚生労働省は、ロトリガが中性脂肪を下げるというだけで健康保険が効くように日本で認可したのでしょうか。

仮に、効果の低い薬(真実性)を効果が高いかのように販売するとすれば、それは国民の不利益(公共性・公益性)になるので、止めていただきたいものです。

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180 mg/dl未満で大丈夫な悪玉コレステロール

2011年12月27日 | 生活習慣病
2年前、学会発表を見て十数秒間表示されるスライドを急いでノートに書き写しご紹介した研究「悪玉コレステロール低下薬を内服していれば悪玉コレステロールは160mg/dlでも大丈夫」をお伝えしました。

今年、その研究が論文になって公表されましたので、ご紹介します。私が急いで写したグラフは論文で発表されたグラフと結構あっていました。そんなことはどうでもいいのですが・・

Long-term event monitoring study of fluvastatin in Japanese patients with hypercholesterolemia: Efficacy and incidence of cardiac and other events in elderly patients (≥65 years old)
J Cardiol 2011;57:77
(インパクトファクター★☆☆☆☆、研究対象人数★★★★★)

この研究はレムスタディーといって、研究開始前4週間は悪玉コレステロール低下薬を内服していない脂質異常症の患者18,084人(平均の悪玉コレステロール値は173 mg/dl)を対象にして、ローコールという悪玉コレステロール低下薬を投与して、これまでに動脈硬化性心臓病にかかっていない患者(一次予防)は5年間、かかったことのある患者は3年間観察したものです。

致死性心筋梗塞、非致死性心筋梗塞、心臓突然死、画像で診断された狭心症、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作の合計が調査されました。期間中368人がこれらの疾患を発症しました。

結果は、上の左図にあるように、これまで動脈硬化疾患を発症したことのない人が最初の動脈硬化疾患を予防するとき(これを一次予防といいます)、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」で推奨されている悪玉コレステロール140mg/dl以下になった人に比較して180mg/dl未満までは動脈硬化疾患のリスクは増えませんでした。

同様に、上の右図にあるように、これまで動脈硬化疾患を発症したことがある患者が次の動脈硬化疾患を予防するとき(これを二次予防といいます)、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」で推奨されている悪玉コレステロール100mg/dl以下になった人と比較して180mg/dl未満までは動脈硬化疾患のリスクは増えませんでした。

ただし、重要な前提は、ローコールという悪玉コレステロール低下薬を内服している場合の結果であるということです。内服していない場合の180mg/dl未満は今回は調査されていません。逆に、特に一次予防の人に顕著に表れているのですが、ローコールという悪玉コレステロール低下薬を内服してさえいれば、その後の悪玉コレステロール値が180mg/dl以上でなければどんな値であろうと、動脈硬化疾患のリスクは増えていないということです。これは悪玉コレステロール低下薬が、悪玉コレステロールを低下させる作用だけでなく、炎症を抑えたり血液の固まりやすさを緩和させたりする作用(多面的作用と呼ばれています)があるからと考えられます。

これらの結果は、悪玉コレステロールは特に二次予防では強力なスタチンを使ってなるべく下げた方がよいと主張している一部の製薬会社と、その宣伝塔となっている医者たちにとって大変不都合なデータであり、医者自らが医学雑誌で探さなければ、ほとんど表に出でこないデータです。

そのためなのか、2万人近くを3~5年調査した(研究対象人数★★★★★)大変貴重で素晴らしい研究なのに、インパクトファクターが低い(1.175)医学雑誌にしか掲載されませんでした。これは邪推ですが、もっとインパクトファクターが高い医学雑誌の審査員の中に、宣伝塔となっている医者たちがいたのかもしれません。


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動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版の問題点

2011年12月10日 | 生活習慣病
前回、「基準値」について正規分布の話を含めてお伝えしましたので、今回はそれをもとにして「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」の問題点をお伝えします。

あなたは総コレステロールが高いですと健康診断でひっかかってしまう「基準値」は220mg/dL以上です(悪玉コレステロールは140mg/dl以上)。これは「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」の中でも定められているのですが、その根拠も以下のように記載されています。

「米国で総コレステロール200mg/dL (LDL-C値120mg/dl)に比し相対リスクが2倍となる240mg/dL (LDL-C値160mg/dL)値を高コレステロール血症と診断する基準を設けたのを参考にして、本邦では総コレステロール160mg/dl未満に比し相対リスクが約1.6倍になる220mg/dL (LDL-C値140mg/dL)を高コレステロール血症の基準に定める。」

しかし、上の左の図を見て下さい。脳梗塞はアメリカ人に比較して日本人は3~4倍多いのですが、心筋梗塞はアメリカ人に比較して日本人は3分の1~4分の1少ないのです。アメリカでは200mg/dlという平均ぐらいの値を基準にして、リスクが2倍となる値を設定していますが、日本では160mg/dLとかなり低い人を基準にして、しかもリスクは1.6倍とアメリカより非常に厳しい設定のしかたをしています。

アメリカ人より3分の1~4分の1心筋梗塞のリスクが少ない日本人で、どうして心筋梗塞の発症を予防しようとしてアメリカより厳しく設定しなければならないのか全く理解できません。

しかも、上の図の右を見て下さい。この図はこの基準が設定された頃の日本人全体の総コレステロール値の分布です。平均は190~200あたりですが、正常値を設定している基準の160というのはかなりの優等生(低い方が優等生かという問題は別として)です。35%ぐらいが220以上ですから、これらの人々は検診を受けるたびに「脂質異常症」と診断されてしまうのです。その病気であると定める基準値を広くすれば、製薬会社がより儲けることができます。

この分布を正規分布に当てはめると、その下の図のように、ばらつきを表す標準偏差の1.5倍のあたりに基準値160があることがわかります。そして、異常だとされているのは標準偏差の0.3倍あたりです。

これでは、「偏差値65というかなりの優等生と比較して1.6倍不都合な事が多いから、ほとんど平均値に近い偏差値47以下の人間は全て異常だ」といわれているのも同然のことなのです。

こんなアホなことがありますか?

中学校のクラスの中で、偏差値65の優等生と比較され、偏差値47以下という、クラスの35%ぐらいに相当する生徒はみな異常ですか?35%の生徒はダメですか?

動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版の作成者たちは、バカなことを言ってはいけません。

以前お伝えした、ゼチーアの効果についてで的外れなことを言っていた医者もそのメンバーです。

なぜ「脂質異常症」の基準がこのように決められたのか、私は理由を知っています。

1つは、日頃から製薬会社は医者たちに近づき、自分たちの会社に都合の良いことを言ってくれる医者に1回に10~15万円のギャラを払って講演を依頼し、「先生」「先生」と褒めはやし、会社にとって有利になるように働きかけていること。(その際、医者が実際にそうしてくれるかは別問題)
2つめは、このような製薬会社に厚生労働省の官僚が天下りをしており、製薬会社に有利な基準を作る。
3つめは、そのようなギャラと名誉にあやかろうとする不埒な医者たちの存在です。

東京電力の構図と全く同じなのです。国民をバカにするのは、いいかげんにしろ!と言いたいです。

国民に不利益になる(効果のない薬を買わされる)コメントが間違って公言されることがあれば、それは大問題だと思いますし(公共性)(公益性)、その証拠はしっかりと残したいものです。

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ゼチーアの効果について間違った解釈

2011年08月12日 | 生活習慣病
私がこのブログを開設して6年半が経とうとしていますが、開設当時から「医者から詳しく聞かされない医療情報・あなたの病気が治る本当の確率」としてきました。医者が多忙により患者に伝えきれない情報を患者に伝えたり、あるいは医者が医学論文や製薬会社などから一部しか教えられていない情報を詳しく伝えたりする目的があったからです。伝えられていない情報というのは伝えない側にとって不都合な場合が多く、製薬会社にとって不都合な情報とは、すなわち患者にとって不都合な情報です。

私は当時から日本の財政状況にも大変な危機感を持っています。今の日本は私たちの子供・孫の世代に借金を押しつけながら成り立っており、医療も例外ではありません。余りにも経済効率の悪い医療が多すぎます。そして、それは病院や製薬会社など儲ける側にとって不都合な情報が患者に隠されて行われている場合が多いのです。売り上げの多い医者が部長になれたり、売り上げの多い診療科の部長が院長になれたりするシステムにも問題があります。

このままでは、日本はいったん破産しIMFから消費税を20%にするよう命ぜられます。社会保険の負担率は現在の個人8% + 企業8%から、個人16% + 企業16%になります。「自分」の財布が傷むようになって初めて医療費の無駄使いに気がつくのでは遅すぎるのです。もう遅いのですが・・・
(社会保険の負担率16%とは、月給30万円で4万8千円ですよ!)

日本の借金時計

さて、以前「ゼチーアの効果について間違った解釈」をお伝えしました。
今回はその元になっている研究の論文を紹介します。

その前に、ゼチーアの宣伝をもう一度見てみましょう。スタチンの効果だけかもしれないのに、スタチンとゼチーアの効果であるとしている問題点を解説しましたが、ここには「動脈硬化性イベント発症率」が有意に減少したとあります。

「動脈硬化性イベント」と聞いて、どういうことが減ったと想像しますか?その代表格である「心筋梗塞」はもちろんのこと、「心臓発作で突然死」とか、「脳梗塞」とか「足の血管がつまってしまう」とか、想像しませんか?サッカーの松田選手が襲われた「心筋梗塞」から「突然死」してしまうことも想像できます。

この結果が報告されている研究論文です。
The effects of lowering LDL cholesterol with simvastatin plus ezetimibe in patients with chronic kidney disease (Study of Heart and Renal Protection): a randomised placebo-controlled trial.
Lancet. 2011;377:2181.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

この研究では合計9,270人の慢性腎不全患者が調査されていますので、統計学的なパワーが大きく、いろいろなサブ解析の結果が書かれています。

その結果が上の図です。
一番上に記載されているNon-fatal MIすなわち「非致死性の心筋梗塞」とCHD deathすなわち「心臓死」はゼチーア+スタチンの内服群でも減っていません。二段目の「脳梗塞」は減っています。三段目に記載されている「心臓の血管を治療する回数」は減っていますが、「足の血管の治療する回数」は減っていません。

つまり、「動脈硬化性イベント」を減らしたと宣伝されていながら、効果があったのは「脳梗塞」と「心臓の血管を治療する回数」だけです。

「心筋梗塞」も「心臓発作で突然死」も「足の血管の治療する回数」も減っていないのです。


図の下の方を見て下さい。効果があった「脳梗塞」と「心臓の血管を治療する回数」も、女性にはまったく効果がないことがわかりますし、BMIが28以上(身長170cmなら体重81kg以上)のかなり太った人にしか効果がないこともわかります。これは単解析のサブ解析ですから、女性でもBMIが28以上(身長160cmなら体重71kg以上)の肥満者や、BMIが24~28(身長170cmなら体重69~81kg)でも男性なら効果があるかもしれませんが、効果があったのはかなり特殊なグループであることには間違いありません。

男性で、身長170cmなら体重69kg以上の慢性腎不全患者の「脳梗塞」と「心臓の血管を治療する回数」だけに効果があるのに、あの宣伝ではまるで「すごーく」効果があるように聞こえてしまうのは私だけでしょうか?

あの宣伝を見た医者が、女性の慢性腎不全患者の「心筋梗塞」の発症率を減らす目的でゼチーア+スタチンを処方したとすれば、患者にとってみれば、「押し売り」(押し売りならまだましです、商品は残っているから)を通り越して、確実に「詐欺」です。しかも「公費」と「自己負担」を含めて一ヶ月約1万円、効果がない状態に半永久的に支払い続けないといけないのです。

詐欺:他人を欺罔(ぎもう)し錯誤に陥れさせ、財物を交付させるか、または、財産上不法の利益を得ることによって成立する犯罪 (刑法246条)

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沖縄クライシスは誤り、ゼチーアの宣伝の間違い

2011年06月02日 | 生活習慣病
                 ↑沖縄県衛生環境研究所報 第40号 (2006)より


東大の教授が東京電力から巨額の研究費をもらっているので、東京電力に都合のいいことしか言えず、原発事故対策が不利になったことを教訓として、公共の利益が害されることがないように公益目的で、誰がどういう事を言っていたかを証拠として残していくシリーズです。

商品を売ろうとする場合、例えば「あなたの財産運営は大丈夫ですか」とか「あなたの抜け毛、気になりませんか」とか「あなたのおうちの浴槽はカビだらけ」「縁の下のシロアリは恐ろしい」のように、危機感を煽るのが効果的であることはMBA(経営学修士)過程でも教えられることです。私が留学していた時に取っていたクラスでもそういうことを教えられました。


ゼチーアの宣伝では、九州大学 江頭健輔 准教授が、左上の図を紹介して、以下のようにコメントしています。

「われわれ日本人の食卓は、昔の一汁一菜から、ファーストフードに代表される欧米食へ変化し、コレステロール摂取量が増加しています。過去、長寿を誇った沖縄も、一足先にファーストフードが上陸したことで、いまや、そのランキングを下げてしまっています。これは由々しき事態です。」


しかし、私がいろいろと調べたところでは、これは大きな間違いです。

平均寿命というのは0歳時の平均余命のことです。まず、このあたりの認識を間違えています。つまり、例えば沖縄の0歳の子供がなんらかの感染症で大勢が亡くなっても沖縄の平均寿命は低下するので、それが動脈硬化疾患のために中高年層で死亡する人が増えたためとは必ずしも言えないのです。

そこでネットで沖縄の別の年齢の平均余命を調べていました。それが、右上の図です。2008年5月「厚生の指標」に載っていたもので県別の65歳の男性の平均余命ですが、沖縄の65歳の男性の平均余命は全国一位にかわりはありません。女性もしかりです。

それではいったい沖縄県の誰が死亡しているのでしょうか。それも調べてみました。下の図は、2006年の沖縄県衛生環境研究所報に載っていたものです。数字は沖縄県が全国47都道府県で何番目かというものですが(数字が大きい方が悪い)、15~45歳の全死因が最悪であることがわかります。そしてその内訳は、けっして心筋梗塞ではなく肝疾患と自殺であることが分かります。沖縄県は最近の他県の産業構造の改善に取り残されるかたちで失業率が日本で最悪で、若年~中年の自殺者が増えています。

つまり、沖縄県の平均寿命が低下してきたのは、欧米食へ変化しコレステロール摂取量が増加して心筋梗塞が増えたためではなく、肝疾患と自殺が増えたためなのです。那覇空港をハブ空港化するとか政府が取り組んでいる沖縄産業の復興対策や、精神科的な介入により自殺者を減らすことの方が、沖縄県の平均寿命を改善するのに、よほど効果があると考えられます。

このようにちょっと調べればすぐに分かることなのに、ゼチーアは誤った解釈で危機感を煽り宣伝しています。

じつは沖縄の食事が欧米化した件に関して、以下のように2006年9月の沖縄医師会会報に「沖縄クライシス」として記載されています。

「若い世代では高脂肪食に代表される欧米型のライフスタイルが浸透しており、いわゆる生活習慣病の増加が社会問題となっている。 2000 年の都道府県別平均寿命では、女性は1 位を堅持したが、男性は20 年近く守った1 ~ 5 位の座を一気に26 位まで下げてしまった。沖縄県民の食生活は、米軍の統治下、無批判に西欧化を受け入れ、短時間のうちに様変りしてしまった。そして遺伝と環境のギャップにツケを払う羽目になった。これを沖縄クライシスと呼ぶならば、近い将来の日本クライシスを予見しているとも考えられる。」

沖縄県の医師会も、もう少し調べて書いたほうがよかったのではないかと思います。

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ゼチーアの有用性について間違った解釈

2011年05月30日 | 生活習慣病
東大の教授が東京電力から巨額の研究費をもらっているので、東京電力に都合のいいことしか言えず、原発事故対策に不利になったことを教訓として、公共の利益が害されることがないように公益目的で、誰がどういう事を言っていたかを証拠として残していくシリーズです。

左の図はある架空のエンジンオイルです。エンジンのピストン内の摩擦を極力低下させますが、車の燃費が良くなったり、エンジンのパワーが上がったりエンジンが長持ちしたりはしません。あくまでもエンジンのピストン内の摩擦を極力低下させるものです。皆さんはこんなエンジンオイルがあったら買いますか?


ピストン内の摩擦を低下させても、車の燃費が良くなったり、エンジンのパワーが上がったりエンジンが長持ちしなければ買いませんよね。当たり前のことです。


カレスサッポロ北光記念クリニックの 佐久間一郎 医師は、以下のようにゼチーアとストロングスタチン併用の有用性を日本人で証明と言っています。

「高コレステロール患者38例で、アトロバスタチン10mg単独投与、アトロバスタチン20mg単独投与、およびアトロバスタチン10mgとゼチーア10mg併用投与をそれぞれ3か月以上行い、各種脂質指標を比較検討した。その結果、アトロバスタチン20mg単独投与はアトロバスタチン10mg単独投与と比較しLDLコレステロールをさらに5.7%下げるに留まり、有意差も認められなかった。一方、アトロバスタチン10mgとゼチーア10mg併用投与ではアトロバスタチン10mg単独投与と比較してさらに17%低下した。」

と書いてありました。これって、単にLDLコレステロールが余計に下がっただけじゃないですか。ぜんぜん有用性など証明されていません。有用性というのは心筋梗塞の発症率や死亡率が低下するということではないですか??

悪玉コレステロール低下剤ゼチーア効果なし
悪玉コレステロール低下剤ゼチーアの効果について

↑以前にお伝えしたように、ゼチーアをスタチンと併用してLDLコレステロールをさらに低下させても動脈硬化の指標や心筋梗塞の発症予防に効果がないというデータが出た(真実性)にもかかわらず、前回お伝えしたように、国民に不利益になる(効果のない薬を買わされる)コメントが間違って公言されることがあれば、それは大問題だと思いますし(公共性)(公益性)、その証拠はしっかりと残したいものです。


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