(時事通信)
中国の遼寧省瀋陽市と上海市の病院で2004、05年の2年間に、計108人の日本人が腎臓や肝臓の移植手術を受けていたことが30日分かった。背景には日本国内の深刻なドナー(臓器提供者)不足があり、重症患者らが移植を待ち切れず、ひそかに中国へ渡っている。日本人の患者にとって、中国が海外最大のドナー国となっているのが実態だ。
中国では最近1年間に腎臓移植約6500件、肝臓移植約3000件が実施され、移植医療技術が急速に向上。ただ、ドナーの約9割を死刑囚が占めるほか、公平な臓器配分制度が確立されておらず、人権・法整備面の不透明さも大きい。中国での臓器移植は、今後議論を呼びそうだ。
(中日新聞)(東京新聞)
中国で日本人の臓器移植手術を仲介する中国国際移植支援ネットワークセンター(遼寧省瀋陽市)は30日、今年末までの2年間に、日本人計108人が腎臓、肝臓の移植手術を受けていたことを明らかにした。
日本国内のドナー(臓器提供者)不足が深刻なため、多くの重症患者が中国に渡航し、移植手術を受けている。同センターによると、移植手術は北京、上海、瀋陽の有名病院で実施され、これまでに腎臓が97人、肝臓が9人、腎臓・肝臓が2人の計108人が手術を受けた。諸費用は腎移植が600万円台、肝移植が1,300万円ほどで、米国などと比較するとはるかに安い費用で済むという。
ただ、中国人ドナーの95%は死刑囚とされ、倫理問題を指摘する専門家も多い。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは中国で昨年、約3,400人の死刑が執行されたと発表。これら死刑囚の臓器は移植手術に使われたとみられる。中国では年間6,000件の腎移植が実施されるが、移植が必要な患者は約5万人いるとされる。金銭的に恵まれた日本など外国人患者の増加は、中国人患者の手術の妨げになるとの指摘もある。
同センター代表は「死刑囚から臓器提供を受けていることは分かっている。だが、自分の身内や子どもが重症患者だったら、倫理問題を言ってはいられない。中国の医療技術は高く、今後も臓器移植をサポートしたい」と話している。
以上引用
同じ出来事でもこの二社で報道のニュアンスがかなり違う事に気が付きます。中日新聞・東京新聞は「倫理問題を言ってはいられない」という意見を本気で支持しているのでしょうか。実際、日本の医師は日本ほどの技術を持たない中国で移植した患者さんの術後管理で苦労していて、倫理的問題も含め日本の移植学会でもかなり問題になっています。
死刑囚からの臓器提供が可能なのは、それを仲介する日本の病院が実際に存在するからで、このような肯定的な記事は、病院名は言えませんが、それらの病院との癒着があるからです。
私は脳死・臓器移植に関しては肯定派でも否定派でもないのですが、死刑囚からの臓器提供には倫理的問題を強く感じます。こうした人体の徹底利用は、最後はどこに行きつくのだろうかと考える時、徳山大学教授・粟屋剛 氏の指摘が意味深いです。
「最後に残るのは肉である。その肉をそのまま食べればカニバリズムとして批判されるにちがいない。しかし、アミノ酸に加工し、錠剤になったものだったらどうだろうか。飢餓に苦しんでいる時に、口にする人も出てくるかもしれない」。
死刑囚からの臓器提供のみならず脳死・臓器移植は、「いわゆるソフィスケートされたネオ・カニバリズムへの一里塚」であると指摘しています。
ヒト組織を利用する医療行為の倫理的問題に関するガイドライン
http://www.asas.or.jp/jst/reports/guideline/ethicalguideline.html
ここにはこんなことが書かれてあります。
「ヒト組織の提供は、ドナー側の善意に基づいた社会全体に対して行われる公共性を持った崇高な行為である。提供を受けた組織バンク及び移植施設等は、ドナーの尊厳を確保し、ドナー側の意思と社会に対する善意を尊重して組織を取り扱わなければならない。」
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中国の遼寧省瀋陽市と上海市の病院で2004、05年の2年間に、計108人の日本人が腎臓や肝臓の移植手術を受けていたことが30日分かった。背景には日本国内の深刻なドナー(臓器提供者)不足があり、重症患者らが移植を待ち切れず、ひそかに中国へ渡っている。日本人の患者にとって、中国が海外最大のドナー国となっているのが実態だ。
中国では最近1年間に腎臓移植約6500件、肝臓移植約3000件が実施され、移植医療技術が急速に向上。ただ、ドナーの約9割を死刑囚が占めるほか、公平な臓器配分制度が確立されておらず、人権・法整備面の不透明さも大きい。中国での臓器移植は、今後議論を呼びそうだ。
(中日新聞)(東京新聞)
中国で日本人の臓器移植手術を仲介する中国国際移植支援ネットワークセンター(遼寧省瀋陽市)は30日、今年末までの2年間に、日本人計108人が腎臓、肝臓の移植手術を受けていたことを明らかにした。
日本国内のドナー(臓器提供者)不足が深刻なため、多くの重症患者が中国に渡航し、移植手術を受けている。同センターによると、移植手術は北京、上海、瀋陽の有名病院で実施され、これまでに腎臓が97人、肝臓が9人、腎臓・肝臓が2人の計108人が手術を受けた。諸費用は腎移植が600万円台、肝移植が1,300万円ほどで、米国などと比較するとはるかに安い費用で済むという。
ただ、中国人ドナーの95%は死刑囚とされ、倫理問題を指摘する専門家も多い。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは中国で昨年、約3,400人の死刑が執行されたと発表。これら死刑囚の臓器は移植手術に使われたとみられる。中国では年間6,000件の腎移植が実施されるが、移植が必要な患者は約5万人いるとされる。金銭的に恵まれた日本など外国人患者の増加は、中国人患者の手術の妨げになるとの指摘もある。
同センター代表は「死刑囚から臓器提供を受けていることは分かっている。だが、自分の身内や子どもが重症患者だったら、倫理問題を言ってはいられない。中国の医療技術は高く、今後も臓器移植をサポートしたい」と話している。
以上引用
同じ出来事でもこの二社で報道のニュアンスがかなり違う事に気が付きます。中日新聞・東京新聞は「倫理問題を言ってはいられない」という意見を本気で支持しているのでしょうか。実際、日本の医師は日本ほどの技術を持たない中国で移植した患者さんの術後管理で苦労していて、倫理的問題も含め日本の移植学会でもかなり問題になっています。
死刑囚からの臓器提供が可能なのは、それを仲介する日本の病院が実際に存在するからで、このような肯定的な記事は、病院名は言えませんが、それらの病院との癒着があるからです。
私は脳死・臓器移植に関しては肯定派でも否定派でもないのですが、死刑囚からの臓器提供には倫理的問題を強く感じます。こうした人体の徹底利用は、最後はどこに行きつくのだろうかと考える時、徳山大学教授・粟屋剛 氏の指摘が意味深いです。
「最後に残るのは肉である。その肉をそのまま食べればカニバリズムとして批判されるにちがいない。しかし、アミノ酸に加工し、錠剤になったものだったらどうだろうか。飢餓に苦しんでいる時に、口にする人も出てくるかもしれない」。
死刑囚からの臓器提供のみならず脳死・臓器移植は、「いわゆるソフィスケートされたネオ・カニバリズムへの一里塚」であると指摘しています。
ヒト組織を利用する医療行為の倫理的問題に関するガイドライン
http://www.asas.or.jp/jst/reports/guideline/ethicalguideline.html
ここにはこんなことが書かれてあります。
「ヒト組織の提供は、ドナー側の善意に基づいた社会全体に対して行われる公共性を持った崇高な行為である。提供を受けた組織バンク及び移植施設等は、ドナーの尊厳を確保し、ドナー側の意思と社会に対する善意を尊重して組織を取り扱わなければならない。」
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