医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

アルコール性肝硬変の予後

2010年10月28日 | 消化器
「彼氏が25歳という若さでアルコール性肝硬変になってしまいました。今30歳です。
お酒を断酒すれば、長生きできるんでしょうか?これから、結婚とか考えると不安でしかたありません。せめて50歳いや60歳くらいまではもちこたえてほしいです。若い症例はあまりないみたいなので、投稿しました。肝臓は、他の臓器に比べたら、回復するといわれてるので、少しでも希望が持ちたいのです。30年生存することは可能なんでしょうか?」とアルコール性肝硬変の予後についてセカンドオピニオンのリクエストをいただきましたので、調べてみました。

欧米人は日本人に比べて脂肪の摂取率が多く欧米のデータを日本人に当てはめることができないそうですので、日本人の研究を調べてみました。

「肝硬変の自然経過」 臨床と研究 平成8年73巻4号 825-830ページ
上の図はこの論文からの引用ですが、アルコール性肝硬変の場合、断酒できるかどうかが、寿命を左右することになります。5年後の生存率は断酒できた群で90%、断酒できないと40%です。

別の日本人の報告で、5年後の生存率は断酒できた群で85%、断酒できないと35%という結果もありますので、この割合は信頼性があると考えられます。

ところで、どれくらい飲酒するとアルコール性肝硬変になるかというと、エタノール換算で男性で1,000kg、女性で500kgと研究されています。

エタノール換算の仕方ですが、1日350mLで7%の酎ハイ2本を飲酒した場合、350mL x 2本 x 0.07 = 49gと計算します。エタノールの比重は約0.8ですから、これに0.8をかけます。約40gが1日の飲酒量です。

これを毎日20年間続けると、40g x 365日 x 20年 = 292,000g = 292kgです。この飲酒割合では約30年続けると肝硬変になると計算できます(個人差があります)。

男性の場合、上記の酎ハイを毎日4本飲酒し続けると30年で肝硬変になると計算できます(個人差があります)。

とにかく、断酒が重要です。

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尖閣諸島が昔から日本の領土である根拠を英語で世界に発信しましょう。ことあるごとにごコピペして自分のサイトに貼ってください。↓外務省から公表されています。

From 1885 on, surveys of the Senkaku Islands had been thoroughly made by the Government of Japan through the agencies of Okinawa Prefecture and by way of other methods. Through these surveys, it was confirmed that the Senkaku Islands had been uninhabited and showed no trace of having been under the control of China. Based on this confirmation, the Government of Japan made a Cabinet Decision on 14 January 1895 to erect a marker on the Islands to formally incorporate the Senkaku Islands into the territory of Japan.
Since then, the Senkaku Islands have continuously remained as an integral part of the Nansei Shoto Islands which are the territory of Japan. These islands were neither part of Taiwan nor part of the Pescadores Islands which were ceded to Japan from the Qing Dynasty of China in accordance with Article II of the Treaty of Shimonoseki which came into effect in May of 1895.
Accordingly, the Senkaku Islands are not included in the territory which Japan renounced under Article II of the San Francisco Peace Treaty. The Senkaku Islands have been placed under the administration of the United States of America as part of the Nansei Shoto Islands, in accordance with Article III of the said treaty, and are included in the area, the administrative rights over which were reverted to Japan in accordance with the Agreement Between Japan and the United States of America Concerning the Ryukyu Islands and the Daito Islands signed on 17 June 1971. The facts outlined herein clearly indicate the status of the Senkaku Islands being part of the territory of Japan.
The fact that China expressed no objection to the status of the Islands being under the administration of the United States under Article III of the San Francisco Peace Treaty clearly indicates that China did not consider the Senkaku Islands as part of Taiwan. It was not until the latter half of 1970, when the question of the development of petroleum resources on the continental shelf of the East China Sea came to the surface, that the Government of China and Taiwan authorities began to raise questions regarding the Senkaku Islands.
Furthermore, none of the points raised by the Government of China as "historic, geographic or geological" evidence provide valid grounds, in light of international law, to support China's arguments regarding the Senkaku Islands.

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禁煙補助薬チャンピックス

2010年10月11日 | 呼吸器
(左)タバコが値上がりしてファイザー社は禁煙補助薬の宣伝に必死になっています(悪玉コレステロール低下薬の場合と同じ、またファイザー社です)
しかし、この禁煙補助薬で実際に禁煙できる人は以下に示すように7~9人に1人です。
これを、あたかもほとんどの人が禁煙できるかのようなイメージで宣伝してはいけません。しかもこの企業の主張には抜け道があって、「ほとんどの人が禁煙できる」とは一切言っていないし、この禁煙補助薬を使用して禁煙できない場合は、「通常の疾患に罹患する場合」と違って「あなたの意志が弱いから」と言うことができるのです。疾患に罹患するのを予防する薬の場合は、「あなたの意志が弱いから」とは言えませんから。

(右)「Smokers Tar in a Jar」という商品で、1日20本1年間の喫煙によって肺内に入るタールの量をビンに詰めた(タールは模倣品です)もので、タバコの吸い殻なども入っており、禁煙の動機付けに使用するものです。診察室に置いておくと、禁煙補助薬よりよほど効果が高いだろうと私は思います。
↓このサイトから購入できます。
http://www.gasp.org.uk/p-smokers-tar-in-a-jar.htm



バレニクリン(チャンピックス)はファイザー社が禁煙治療を目的に開発したニコチン性アセチルコリン受容体に対する選択的な部分作動薬です。禁煙に伴う禁断症状やたばこに対する欲求を緩和し、同時に喫煙した際に得られる満足感を抑制すると考えられています。

欧州や日本での商品名は「チャンピックス」ですが、アメリカではチャンピオンやマックスやスパーなどという「最高」というイメージを連想させる商品名を薬剤に使用することは禁じられていますのでこの商品名では発売されていません。

この薬を内服すればほとんどの人が禁煙できるわけではありませんし、その正確な有効性はあまり伝えられていません。

(1)そこでその有効性を論文で調べてみました。

The efficacy and safety of varenicline for smoking cessation using a flexible dosing strategy in adult smokers: a randomized controlled trial.
Curr Med Res Opin. 2008;24:1931-41.
(インパクトファクター★☆☆☆☆、研究対象人数★★★☆☆)

対象は18歳~65歳の禁煙を望んでいる320人の米国人で、チャンピックス非内服群と1日0.5mg~2.0mg内服群に二重盲検で無作為に分けられ、投与52週後のcontinuous abstinence rete(CAR)と呼ばれる持続禁煙率が調査されました。

持続禁煙率とは、たばこを一服もせず、ニコチン含有製品(紙巻きたばこ、葉巻、パイプたばこ、噛みタバコ、嗅ぎたばこ、ニコチン製剤)を使用せず、かつ呼気中の一酸化炭素濃度が10ppm以下であった割合です。

結果ですが、チャンピックス内服52週間後の持続禁煙率は、非内服群で7.7%、内服群で22.3%でした。その差は14.6%で、チャンピックスをして内服してそのおかげで禁煙できるのは7人に1人です。


(2)別の研究の結果も最近報告されました。

Varenicline for smoking cessation: A placebo-controlled rendomized study.
Respirology. 2009.
(インパクトファクター★☆☆☆☆、研究対象人数★★★☆☆)

対象は禁煙を望んでいる333人の中国人で、チャンピックス非内服群と1日1.0mg内服群に二重盲検で無作為に分けられ、投与9~24週後のcontinuous abstinence rete(CAR)と呼ばれる持続禁煙率が調査されました。

結果ですが、持続禁煙率は非内服群で25.0%、内服群で38.2%でした。その差は13.2%で、チャンピックスをして内服してそのおかげで禁煙できるのは8人に1人です。



(3)日本人での大規模臨床試験の結果は以前シカゴで開催された米国心臓病学会で発表されています。

日本の19の施設で90日以上続けて1日10本以上のタバコを吸っている20歳から75歳の618人のうち515人がニコチン依存性のテストでニコチン依存性と診断され調査の対象となりました。

対象は、チャンピックス非内服群、1日0.25mg内服群、、1日0.5mg内服群、、1日1mg内服群に二重盲検で無作為に分けられ、投与12週間と投与後40週間にわたって調査されました。

結果ですが、投与後40週間の持続禁煙率は、非内服群で23.5%、1日0.25mg内服群で27.3%、、1日0.5mg内服群で28.9%、1日1mg内服群で34.6%でした。その差は11.1%で、チャンピックスを内服してそのおかげで禁煙できるのは9人に1人です。

意外と有効性は低いですね。もしチャンピックスを内服するとほとんどの人が禁煙できるというようなイメージで販売・処方されるような事があるとすれば、それは誇大広告ということになります。

ここにファイザー社のチャンピックスに関するプレスリリースがありますが、40週後や52週後のデータがでているのに、どうして12週までのデータしかプレスリリースに公表していないのか不思議です。

ファイザー社は3ヶ月禁煙できればそれで十分と考えているとしか思えない報道です。

仮に2年後にはチャンピックス内服群で禁煙率が23%、非内服群で20%となった場合、それほど有用な薬なのかという疑問が残ります。


ニコチンを皮膚から吸収させて禁煙の補助をしようとするニコチネルという貼り薬がありますが、その効果に関する論文が今年発表になっています。

(4) Effectiveness of extended-duration transdermal nicotine therapy: a randomized trial.
Ann Intern Med. 2010;152:144
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★☆☆)

568人をこの薬を従来どおり8週間使用する群と、24週間にまで延長して使用する群に分けて、24週間後と52週間後の禁煙率が調査されました。

結果は、24週間後の禁煙率は、8週間使用する群で12.6%であったのに対して、24週間にまで延長して使用する群では19.2%と高くなりました。

しかし、52週間後には両群の禁煙率は15%と同じになりました。

つまり、結局8週間使用しても24週間にまで延長して使用しても、効果は52週間後には同じになってしまうということで、24週間にまで延長して使用しても費用がかかるだけということになります。



IPアドレスからみると、このブログは財務省の方にもご覧いただいていると思います。24週間にまで延長する治療には、例え厚労省が申請をしても(実際にはそんな細かな申請はないのですが)予算を付けない必要があると思います。今の日本にそんな余裕はありません。しかも相手は外国企業です。
医者も患者も、日本人が上手にだまされ、外国企業に外貨としてもっていかれるのです。


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