レイト・グレイキング・クリニカル・トライアルの会場は満員でした。 私は立ち見で ↑ここから聴いていました。
米国心臓協会学会で発表するためにニューオリンズに行ってきました。
レイト・グレイキング・クリニカル・トライアルの会場で以下の臨床研究の結果を聴きました。
名付けて「パイオニア AF-PCI研究」というのだそうです。
Prevention of bleeding in patients with atrial fibrillation undergoing PCI
N Engl J Med November 14, 2016DOI: 10.1056/NEJMoa1611594
(インパクトファクター★★★☆☆、研究対象人数★★★★★)
これは、心臓の血管に対してステント治療や風船治療をすると動脈系のさらさら療法として2種類の抗血小板薬を内服しなければならないのですが、そんな患者が心房細動の場合、静脈系のさらさら療法として抗凝固薬を内服しなければならなくなり、合計3種類内服しなければならないけれど、このような場合でも新しい抗凝固薬であるイグザレルトの効果は従来の薬ワーファリンと比較してどうか、という臨床研究です。
結果は、ワーファリンと比較して出血性の病気が少なかったので、新しい抗凝固薬であるイグザレルトの方が良い場合がある、ということでした。
原文はこちらです。
↓
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1611594
以前、心房細動に対する新しい抗凝固療薬エリキュースの臨床試験のワーファリン群の脳出血が多すぎる件(その2)の記事で、新しい抗凝固薬であるエリキュースの臨床試験を計画した医者や製薬会社の人間は、トルコ、韓国、プエルトリコ、ウクライナ、フィリピン、ロシア、ルーマニア、中国、メキシコ、ブラジルなどでは上手にワーファリンでコントロールできないことを知っていて、自社の薬の成績を良く見せるために意図的に医療後進国臨床試験に組み込んだということをお伝えしました。
上の図はこの臨床研究のデザインです。レイト・グレイキング・クリニカル・トライアルの会場で表示されていました。これを見ると、「あれ~っ?」と思えるのです。それは、この臨床研究で使用されているリバーロキサバン、すなわちイグザレルトの欧米での通常容量は1日20mgです(日本では15mgです)。でもこの研究では、動脈系のさらさら療法として2種類の抗血小板薬と静脈系のさらさら療法として1種類の抗凝固薬の合計3種類内服しなければならないので、さらさらになりすぎて出血性の病気が起きるのを懸念して、イグザレルトは1日15mgに減量していることが、上の左の図を見るとわかります。
でも、なぜかワーファリン群に対してはそんな懸念がおかまいなしで、さらさらの程度を表すPT-INRという血液検査の値は従来の2.0~3.0のままであるということも、上の図からわかります。
イグザレルト群がさらさらになりすぎるのを懸念して減量するのなら、なぜワーファリン群もさらさらの指標を低くして1.6~2.6とかにしないのでしょうか?不思議ですね。科学的とは言えないです。「パイオニア研究」とは、名前負けしていませんか?
よほど、ワーファリン群の成績を悪くしたかったのでしょうね。あ~あ、という感じです。
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それでは皆様、よいお年を!
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名付けて「パイオニア AF-PCI研究」というのだそうです。
Prevention of bleeding in patients with atrial fibrillation undergoing PCI
N Engl J Med November 14, 2016DOI: 10.1056/NEJMoa1611594
(インパクトファクター★★★☆☆、研究対象人数★★★★★)
これは、心臓の血管に対してステント治療や風船治療をすると動脈系のさらさら療法として2種類の抗血小板薬を内服しなければならないのですが、そんな患者が心房細動の場合、静脈系のさらさら療法として抗凝固薬を内服しなければならなくなり、合計3種類内服しなければならないけれど、このような場合でも新しい抗凝固薬であるイグザレルトの効果は従来の薬ワーファリンと比較してどうか、という臨床研究です。
結果は、ワーファリンと比較して出血性の病気が少なかったので、新しい抗凝固薬であるイグザレルトの方が良い場合がある、ということでした。
原文はこちらです。
↓
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1611594
以前、心房細動に対する新しい抗凝固療薬エリキュースの臨床試験のワーファリン群の脳出血が多すぎる件(その2)の記事で、新しい抗凝固薬であるエリキュースの臨床試験を計画した医者や製薬会社の人間は、トルコ、韓国、プエルトリコ、ウクライナ、フィリピン、ロシア、ルーマニア、中国、メキシコ、ブラジルなどでは上手にワーファリンでコントロールできないことを知っていて、自社の薬の成績を良く見せるために意図的に医療後進国臨床試験に組み込んだということをお伝えしました。
上の図はこの臨床研究のデザインです。レイト・グレイキング・クリニカル・トライアルの会場で表示されていました。これを見ると、「あれ~っ?」と思えるのです。それは、この臨床研究で使用されているリバーロキサバン、すなわちイグザレルトの欧米での通常容量は1日20mgです(日本では15mgです)。でもこの研究では、動脈系のさらさら療法として2種類の抗血小板薬と静脈系のさらさら療法として1種類の抗凝固薬の合計3種類内服しなければならないので、さらさらになりすぎて出血性の病気が起きるのを懸念して、イグザレルトは1日15mgに減量していることが、上の左の図を見るとわかります。
でも、なぜかワーファリン群に対してはそんな懸念がおかまいなしで、さらさらの程度を表すPT-INRという血液検査の値は従来の2.0~3.0のままであるということも、上の図からわかります。
イグザレルト群がさらさらになりすぎるのを懸念して減量するのなら、なぜワーファリン群もさらさらの指標を低くして1.6~2.6とかにしないのでしょうか?不思議ですね。科学的とは言えないです。「パイオニア研究」とは、名前負けしていませんか?
よほど、ワーファリン群の成績を悪くしたかったのでしょうね。あ~あ、という感じです。
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