Lancet. 2003;361:1149からの報告です。
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★★)
サブグループ解析とNNTについてもう一つの例をあげたいと思います。ASCOT-LAAという研究では、40歳から79歳の高血圧の方で、糖尿病や喫煙などの動脈硬化の危険因子がすくなくとも他に3つ以上ある方を対象としています。リピトールと言うスタチンを1日10mg内服した(PROSPERという研究では40mgでしたので、この研究での使用量はその4分の1と経済的です)5,168人と内服していない5,137人を3.3年間比較しました。スタチンを内服しない群の心筋梗塞(軽症、重症、死亡の全てが含まれています)の発症率は3.0%だったのに対して内服していた群の発症率は1.9%で両群間に差があったという結果だったために、このスタチンを内服する事は心筋梗塞と脳梗塞の予防に有用だと結論づけられました。実数では1,000人中内服群が19人、非内服群が30人という事になります。内服群でも1,000人中970人の方が心筋梗塞になっていませんし、3.3年内服してもその差は1,000人中11人です。
それでは前述のNNT(Number Needed to Treat:患者さん1人がメリットを得るために、同様の患者さん何人に治療を行わなくてはならないのかを示す指数)という観点で考えてみましょう。2005年の時点でこのスタチンの値段は10mgで約163円です。1日10mgという事は、1日163円、1年365日で59,400円、3.3年間で約19万6千円です。これを1,000人に投与すれば1億9,600万円の薬代が製薬会社に支払われる事になります。そしてそのスタチンの投与で1,000中11人が心筋梗塞を免れるわけですから、心筋梗塞の発症を1人予防するために1,780万円が必要です。
前述のサブグループ解析という点では、この結果では全ての原因による死亡率、心臓の血管を原因とする死亡率、心不全、狭心症、不整脈、心臓の血管以外の動脈硬化(主に手足の血管の動脈硬化)、糖尿病の進行、腎臓の機能障害の進行に投与群と非投与群で差が認められていません。理由はわかりませんが女性に対しては心筋梗塞の発症に有効性が認められませんでした。そしてPROSPERという研究と同様に糖尿病の方にも効果が認められませんでした。
有効であった点は論文を読んでいない者にでも伝えられますが、有効でなかった点は論文を読んだ者にしか伝わらないものです。
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★★)
サブグループ解析とNNTについてもう一つの例をあげたいと思います。ASCOT-LAAという研究では、40歳から79歳の高血圧の方で、糖尿病や喫煙などの動脈硬化の危険因子がすくなくとも他に3つ以上ある方を対象としています。リピトールと言うスタチンを1日10mg内服した(PROSPERという研究では40mgでしたので、この研究での使用量はその4分の1と経済的です)5,168人と内服していない5,137人を3.3年間比較しました。スタチンを内服しない群の心筋梗塞(軽症、重症、死亡の全てが含まれています)の発症率は3.0%だったのに対して内服していた群の発症率は1.9%で両群間に差があったという結果だったために、このスタチンを内服する事は心筋梗塞と脳梗塞の予防に有用だと結論づけられました。実数では1,000人中内服群が19人、非内服群が30人という事になります。内服群でも1,000人中970人の方が心筋梗塞になっていませんし、3.3年内服してもその差は1,000人中11人です。
それでは前述のNNT(Number Needed to Treat:患者さん1人がメリットを得るために、同様の患者さん何人に治療を行わなくてはならないのかを示す指数)という観点で考えてみましょう。2005年の時点でこのスタチンの値段は10mgで約163円です。1日10mgという事は、1日163円、1年365日で59,400円、3.3年間で約19万6千円です。これを1,000人に投与すれば1億9,600万円の薬代が製薬会社に支払われる事になります。そしてそのスタチンの投与で1,000中11人が心筋梗塞を免れるわけですから、心筋梗塞の発症を1人予防するために1,780万円が必要です。
前述のサブグループ解析という点では、この結果では全ての原因による死亡率、心臓の血管を原因とする死亡率、心不全、狭心症、不整脈、心臓の血管以外の動脈硬化(主に手足の血管の動脈硬化)、糖尿病の進行、腎臓の機能障害の進行に投与群と非投与群で差が認められていません。理由はわかりませんが女性に対しては心筋梗塞の発症に有効性が認められませんでした。そしてPROSPERという研究と同様に糖尿病の方にも効果が認められませんでした。
有効であった点は論文を読んでいない者にでも伝えられますが、有効でなかった点は論文を読んだ者にしか伝わらないものです。