医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

6歳児の小児喘息の状態はその後も10年間不変

2006年04月29日 | 小児科
小児喘息は症状が悪くなったり良くなったりと様々ですが、このほど、どの時期のどういう事が予後を決める因子になるのかという研究成果が発表になりました。

Outcome of asthma and wheezing in the first 6 years of life
American Journal of Respiratory and Clinical Care Medicine. 2005;172:1253
(インパクトファクター★★★☆☆、研究対象人数★★★★☆)

対象は、喘息が全くない小児425人、6歳以下のときに喘息を発症し6歳以下で軽快した小児164人(早期一過型)、6歳以下のときに喘息を発症し6歳を超えても喘息であった小児113人、(持続型)6歳を超えてから喘息を発症した小児124人(晩期発症型)で、全例で6歳時、8歳時、11歳時、13歳時、16歳時の年間の喘息発作の回数と1秒間にはくことができる空気の量などで示される呼吸機能が調査されました。

解析の結果、喘息発作の回数と呼吸機能ともに、早期一過型では6歳児の状態からその後に悪化することはなく、持続型では6歳児の状態が16歳になっても悪いままで、晩期発症型は6歳児には呼吸機能はよかったわけですからその後喘息を発症しても状態は悪くない事がわかりました。

また、「持続型」と「晩期発症型」の6歳時のアトピー性皮膚炎の罹患率は高く、16歳時まで持続しやすいことと、喘息がない小児と比較して11歳時の血清IgEが高いことが判明しました。

つまり、6歳時に喘息であったかなかったかに関係なく、6歳時の状態がその後の10年間の喘息の状態を規定しているということです。


今は何位かな?


ブログランキング

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

腹部大動脈瘤の手術の時期

2006年04月26日 | 循環器
大動脈瘤は大動脈のどこにでも発生する可能性はありますが、最も起こりやすいのは腎動脈と大動脈が下肢へと枝分かれする間の腹部大動脈です。動脈瘤がある部位はちょうど蛇が卵を丸呑みしたように紡錘形にふくらみます。ほとんどが何年も無症状で過ぎますが、拍動性のしこりとして偶然に自分で気づいたり、診察中に発見されたりします。確定診断にはCT、超音波検査や血管造影が有効です。腹部大動脈が一度破裂すると緊急手術以外には救命の方法はありませんが、手術が間に合わない場合が多く致命的になります。一般に動脈瘤の直径が5.5cmを越えると、破裂の可能性が急速に増加するので、できるだけ早期に手術して人工血管で置換します。

腹部大動脈瘤はその大きさがどれくらいの時に手術をするべきか、先日アメリカ心臓病学会からガイドラインが4年ぶりに改定され根拠が示されました。
ACC/AHA 2005 Practice Guidelines for the Management of Patients With Peripheral Arterial Disease (Lower Extremity, Renal, Mesenteric, and Abdominal Aortic).
Circulation. 2006;113:e463.
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★★)

このガイドラインでは2つの大規模無作為臨床試験の結果が示されています。1つめは

United Kingdom Small Aneurysm Trial Participants. Long-term outcomes of immediate repair compared with surveillance of small abdominal aortic aneurysms.
New England Journal Medicine. 2002;346:1445.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

対象は40mm以上の小さな腹部大動脈を指摘された方(平均年齢69歳)で、その大きさが54mm以上になるまで手術をしないで様子をみる群(527人)と、発見された時点で積極的に手術をする群(536人)に分けられ8年間観察されました。

観察群では最終的に大きさが54mmに達したためや大動脈瘤が破裂したために手術が必要であったのは62%でした。他の原因による死亡も含めて8年間での死亡率は観察群で48%、手術群で43%で平均としては両群で差がありませんでしたが、大動脈瘤の大きさ別でみると観察群で48mmまでの死亡率が46%であるのに対して55mmまで手術しないでいた場合の死亡率は56%と有意に高くなってしまう事がわかりました。

手術の死亡率は5.4%で、女性であるという因子は死亡率を4倍高くしました。破裂率は年間3.2%でした。


もう1つは

Immediate repair compared with surveillance of small abdominal aortic aneurysms.
New England Journal Medicine. 2002;346:1437.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

対象は40mm以上の小さな腹部大動脈を指摘された方(平均年齢68歳)で、その大きさが54mm以上になるまで手術をしないで様子をみる群(567人)と、発見された時点で積極的に手術をする群(567人)に分けられ5年間観察されました。

観察群では最終的に大きさが54mmに達したためや大動脈瘤が破裂したために手術が必要であったのは62%でした。他の原因による死亡も含めて5年間での死亡率は観察群で22%、手術群で25%と平均としては両群で差がありませんでしたが、大動脈瘤の大きさ別でみると観察群で49mmまでの死亡率が22%であるのに対して54mmまで手術しないでいた場合の死亡率は32%と有意に高くなってしまう事がわかりました。

手術の死亡率は2.1%で、破裂率は年間0.6%でした。

こちらの報告は対象に女性がほとんど入っていない事と調査期間が短いということで、1つめの報告より死亡率は低くなっています。

これらの結果をうけて、
40mmから54mmは6カ月から1年に1回超音波やCTで検査が必要
40mm以下は2年から3年に1回超音波で検査が必要

55mm以上は手術が必要
50mmから54mmまでは手術が有用
症状がなく、男性で50mm以下、女性で45mm以下の場合、手術は推奨されない
(つまり、男性ではこの場合手術をせずに50mmを超えるのを待ってから手術をしても予後は同じ)
というガイドラインになりました。

ただし、これらは白人や黒人の調査に基づいているので、日本人の場合、体格の平均が1割小さいとすれば、手術を必要とする大きさも1割(約5mm)小さくして考えた方がいいかもしれません。


「なるほど、ためになった」と思われた方は、こちらから投票をお願いいたします

今は何位かな?
ブログランキング

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

狂牛病 (日米牛肉貿易問題に思う)

2006年04月23日 | 総合
狂牛病は1986年に英国で初めて報告された牛の病気で、脳がスポンジのようになるため正式名は「牛海綿状脳症」と呼ばれています。2~8年の潜伏期間の後、立てなくなったり奇声を発したり、その場でくるくる回ったりする行動異常などの症状が現れ、発病より2週間から6カ月で死に至ります。

たんぱく質の一種、異常プリオンが体内に入ることで、健康な牛の体内にもある正常プリオンが異常型に変わり発症します。 狂牛病に感染した牛の脳や脊髄などをエサとして与えることで口から感染するため、食肉を取った後の骨や内臓を加工した「肉骨粉」を交ぜた飼料が感染ルートとして強く疑われています。

英国の研究では狂牛病がヒトに感染するという直接的な証拠はありませんが、ヒトがかかるプリオン病の一つ、クロイツフェルト・ヤコブ病との関連が強く示唆されています。クロイツフェルト・ヤコブ病は英国では百万人に一人の割合で発生し、原因が不明の異常プリオンで汚染された硬膜の移植などによる「医源性」、先天的な遺伝子異常で起きる「家族性」が報告されています。

牛の異常プリオンでヒトが感染するかどうか、今でも論争は続いていますが、狂牛病の異常プリオンとクロイツフェルト・ヤコブ患者の異常プリオンをそれぞれ別のマウスに接種した際の経過や脳病変が同じことなどから、狂牛病が人に感染する可能性は否定できません。クロイツフェルト・ヤコブ病の症状は不安や抑うつなどの精神症状や痴ほう、けいれんなどで、半年から二年で無動性無言状態に至ります。

これまで18万頭の牛に狂牛病が確認された英国で、クロイツフェルト・ヤコブ病による発症・死者数は15年間で160人です。狂牛病の牛が1,800頭確認されて15年間で1.6人の患者がでる計算になります。英国では1990年代、マックのハンバーガーの中にも牛の神経部分が普通に混入していましたから、日本ではこの割合より小さくなると思われますが、日本で狂牛病の牛が18頭確認された時点で日本で狂牛病(今のところクロイツフェルト・ヤコブ病)を発症あるいはそれにより死亡する人数は15年間で0.016人、個人からみた確率は約100億分の1です。

ちなみに年末ジャンボ宝くじの一等当選確率は1枚/1,000万枚ですから、狂牛病(今のところクロイツフェルト・ヤコブ病)を発症あるいはそれにより死亡する確率は、年末ジャンボ宝くじの一等が当たる確率のさらに1,000分の1少ない確率です。

さて、この数字を高いと考えるのか、低いと考えるのかは意見が分かれるところだと思います。アメリカはこの数字を低いと考え牛肉の輸入早期再開を日本に求めていますが、1人も患者を出したくない日本としては18頭の狂牛病の発症の可能性がゼロだと保証されるような検査方法をアメリカに求めるのも当然だと思います。


1,000頭確認=15年間で1人発症ということを常に考えながら、今後の日米交渉を見守りたいものです。

でも、私はアメリカ産牛肉いっぱい食べています。

「なるほど、ためになった」と思われた方は、こちらから投票をお願いいたします


ところで、最近竹島周辺が熱いですね。

(産経新聞から引用)
国連海洋法条約上、海上保安庁の測量船が公海でもある排他的経済水域(EEZ)で海洋調査をするのは問題がない。韓国は過去4年間、日本の抗議にかかわらず、日韓で排他的経済水域の主張が重複する地域で、毎年調査を実施してきており、「ここで調査を中止したら、竹島を不法占拠している韓国の主張を認めたことになりかねない」(政府筋)との指摘がある。

韓国が強硬姿勢を続ける中、測量船を出航させるのはリスクを負うが、国際法に従わない韓国の不当さを国際社会に強くアピールする機会となる。韓国が実際に拿捕(だほ)や測量船への体当たりなど妨害活動を行った場合、その状況をビデオなどで撮影し、6月の国際会議に持ち込んで韓国の名称提案を阻止しようというものだ。安倍晋三官房長官が21日の会見で、韓国内の強硬論について「国際法上、認められない」と述べ、改めて強く牽制(けんせい)したのもこうしたことを念頭に置いたものとみられる。

その一方、拿捕や体当たりで死傷者が出たり、測量船への威嚇射撃など不測の事態に発展する可能性も否定できない。海上保安庁だけで対応が困難になった場合、首相の承認を得て、防衛庁長官が海上自衛隊の出動を命じる「海上警備行動」に踏み切ることも選択肢にはある。しかし、拿捕や威嚇射撃に対し、日本政府が海上警備行動で応じる可能性は低い。志方俊之帝京大教授は「船が沈められたり、船員が危害を受けたりしていない段階で自衛隊が出れば、国際法上、日本が先に武力行使したことになり、不利になる」と分析している。
(以上引用)

日韓会談が妥結 日本は海洋調査中止
あーあ、海上保安庁の測量船を拿捕してほしかったなぁー


竹島の正しい歴史を韓国の人に知ってもらうためのキャンペーンに参加しています。このキャンペーンとは、韓国の人が「竹島」を検索する場合「takeshima」ではなく「dokdo」で検索するため、日本のサイトが検索されず日本の主張が韓国の人に伝わらないという弊害を是正するために、「dokdo」でこのサイトにリンクを貼りyahooやgoogleでの検索順位を上げるというキャンペーンです。今のところ「dokdo」で検索するとyahooでは3番目、googleでは1番目で検索されるようです。

takeshima dokdo dokto tokdo tokto


外務省の主張

ここも解りやすいです「池上彰のニュースの疑問」

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

性格は血液型の影響をうけている

2006年04月22日 | 総合
血液型が性格に影響を与えているかどうかは議論が分かれるところですが、ほとんどの科学者は迷信だと主張し、こちらの意見の方に分があるように思われがちです。

「無秩序な交配を続けていると1,000世代、つまり2万年ほどでO型がほぼ滅んでしまうのだ。A型やB型が優性遺伝であることを考えれば、この結果は確かに頷ける。つまり人類の長い歴史を考えれば、現在の人口比でO型は多すぎるし、逆にAB型は少なすぎる。これはとりもなおさず、血液型同士には相性があって、私たちの祖先が決して婚姻相手を無作為に選んできたわけではないことを意味してはいないだろうか」
(池谷裕二氏、ビジネス脳のすすめより引用)

なるほどなぁと思いました。そこで昨年発表されたこんな論文を調べてみました。

Predicting Suicide in Nations
Archives of Suicide Research. 2005;9:219.

自殺と血液型、アルコール摂取量、年齢、離婚率、出生率(離婚率、出生率に関しては一国での値)が先進国17カ国で調査されました(調査人数は不明です)。

これらの因子を多変量解析という方法で分析したところ、唯一統計学的に自殺と関連があるとされたのは血液型(p = 0.003)で、0型の人の自殺率が有意に低かったそうです。その他関連がある傾向があったのはアルコール摂取量(p = 0.07)と離婚率(p = 0.08)でした。

さらに興味深いのは、これらの結果からヨーロッパ7カ国でこれらの因子の割合を調べ、将来自殺者が多い順位に並べたところ、ハンガリー、ブルガリア、チェコ、ユーゴスラビア、ポーランド、ポルトガル、ギリシャの順と予想され、実際にその後自殺者が多かった順は2番目、3番目、4番目が4番目、2番目、3番目と入れ替わっただけで上位、下位の国をみごとに予想することができたのです。

血液型が性格に関連を持っているなんて非科学的だなんていう意見は、科学そのものによって否定されているのです。

やはりO型は楽観主義者か?おそるべしO型!


最近多くの方にお立ち寄り頂いております。誠にありがとうございます。ところで、ブログランキング投票をお忘れでないでしょうか。なるべく多くの方にこのブログを見ていただくためにも、ご協力宜しくお願い致します。
ここをクリック


今は何位かな?
ブログランキング

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

肉の摂取で胃ガンのリスクがどれだけ増えるか

2006年04月20日 | 消化器
食肉消費量が増えると結腸直腸癌、乳癌、前立腺癌の発症リスクも増えることは報告されていました。しかし1997年に発表された栄養と癌に関する報告書で、食肉及び保存加工肉の消費量と胃癌・食道癌の発症リスクとの関連はエビデンス不十分と結論づけられていました。最近その関連を調査した結果が発表されました。

Meat intake and risk of stomach and esophageal adenocarcinoma within the European Prospective Investigation Into Cancer and Nutrition (EPIC).
Journal of the National Cancer Institute. 2006;98;345.
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★★)

対象は欧州の10カ国に住む35歳から70歳までの521,457人で、European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition(EPIC)試験という調査の中で食肉消費量に関するアンケートを受けていました。

平均6.5年間の追跡調査期間中に、胃癌330例、食道腺癌65例の診断がなされました。食肉は赤身肉(牛、豚、羊肉など)、鳥肉(鶏、七面鳥、家鴨など)、加工肉(ハム、ベーコン、ソーセージ、ハンバーガー、肉団子、パテなど)に分類しました。

胃癌の発症リスクは、総食肉摂取量(1日摂取量100g増加あたりのリスクの増加は 3.52倍)、赤身肉摂取量(1日摂取量50g増加あたりのリスクの増加は 1.73)倍、加工肉摂取量(1日摂取量50g増加あたりのリスクの増加は2.45倍)と有意な関連がありました。ピロリ菌陽性者では総食肉摂取量が1日摂取量100g増加あたりのリスクの増加が 5.32倍と、食肉摂取量増加に伴うリスクの増加率は高くなりました。

食道腺癌と総食肉摂取量ならびに加工肉摂取量の間には統計学的有意差は認められませんでした。60歳の被験者が10年以内に胃癌を発症する絶対リスクは、総食肉摂取量が下位4分の1のグループでは0.26%、上位4分の1のグループでは0.33%でした。

肉が大好きな方、肉の摂取もほどほどにということです。


「なるほど、ためになった」と思われた方は、こちらから投票をお願いいたします

今は何位かな?
ブログランキング
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コンタクトレンズの検査料

2006年04月17日 | 眼科
皆さんはコンタクトレンズを購入する際の検査料が眼科によって差があることに気がついたことはありませんか。コンタクトレンズを購入する際には精密眼底検査などの検査を受ける必要があるのですが、どの検査をするかは眼科医の裁量に委ねられていました。

この4月からコンタクトレンズを購入する際の眼科での検査料は、どんな検査をしても一定にされ、さらにその検査料も引き下げられました。理由は、不必要な検査を繰り返して行うという不正請求による保険診療報酬が、併設コンタクトレンズ販売店の廉価販売による欠損補填に、コンサルタント料として流用されている現状を是正することを目的とするものだそうです。

ただし、それでもまだ検査料の格差は存在します。受診に来た人のうち、コンタクトレンズの処方箋を求めに来た人の割合が70%未満の眼科では検査料は初診で3,870円、再診で1,120円ですが、70%以上の眼科では初診で1,930円、再診で560円になります。コンタクトレンズに関する検査が主な業務としている眼科は、コンタクトレンズに対する処方箋を発行することで利益を得ているので、医療費削減のため検査料が低く設定されることになりました。

70%未満の眼科であると認められるためには地方の社会保険事務所に届けないといけないことになっています。しかし、患者さんの割合は眼科医による申告制で、コンタクトレンズ専門店に併設している眼科が「70%未満の眼科」として届けられている場合があります。最近そのような事が問題視されています。

自分の診察の前後ほとんどがコンタクトレンズを購入している人なのに、高い方の検査料を請求されたら説明を求めましょう。

不必要な検査を繰り返して不正請求した保険診療報酬を併設コンタクトレンズ販売店の廉価販売による欠損補填に充ててはいけませんね。


コンタクトレンズ購入者の割合が70%以上の眼科
             診察料   検査料   合計
初診           2,700円  1,930円  4,630円
再診           710円   560円   1,270円
眼科的に再診だが   710円   1,930円  2,640円
コンタクトレンズ検査は
初めて
既にコンタクトレンズを
使用していて初診の場合 2,700円   560円   3,260円


コンタクトレンズ購入者の割合が70%未満の眼科
             診察料    検査料   合計
初診           2,700円   3,870円   6,570円
再診           710円    1,120円   1,830円
眼科的に再診だが   710円    3,870円   4,580円
コンタクトレンズ検査は
初めて
既にコンタクトレンズを
使用していて初診の場合 2,700円   1,120円   3,820円


「なるほど、ためになった」と思われた方は、こちらから投票をお願いいたします

今は何位かな?
ブログランキング
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

男性型脱毛症用薬プロペシア(その2)

2006年04月15日 | 総合
前回はプロペシアがどれくらいの使用者に有効かをお伝えしました。今回は有効性の程度についてお伝えします。

Journal of the American Academy of Dermatology. 1998;39:578.
(インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★★☆)

18歳から40歳までの男性で、Modified Norwood/Hamilton分類(前回の図)においてII、III、IV、V型に分類される、中等度までの頭頂部脱毛を有する男性型脱毛症患者1,553例が対象とされました。

最初の1年間はプロペシア1mg投与群(679人)とプラセボ群(672人)に無作為に分けられ二重盲検(患者も医者もどちらの群に割り当てられたかを知らない)で比較されました。

有効性は頭頂部の直径1インチ(約2.5cm)の範囲の頭髪数を数えることで調べられました。

結果は投与群で1年間に90本増加したのに対して、プラセボ群では20本減少しました。次の1年間は内服で有効であった群の1割(48人)をプラセボに変更したところ平均110本増加していた毛髪は2年前と比較して平均10本減少してしまいました。逆にプラセボ群の9割(426人)に次の1年間はプロペシアを投与したところ、平均20本減少していた毛髪は平均60本増加しました。

有効性は直径1インチあたり1年間で110本増加する程度であり、それまで有効であった人でも内服をやめれば元に戻ってしまうので、内服を続けなければいけない事がわかりました。

副作用は性欲減退、勃起機能不全、射精障害で発現率の合計は4.2%でした。

今は何位かな?


ブログランキング


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

男性型脱毛症用薬プロペシア

2006年04月13日 | 総合
男性型脱毛症(円形脱毛症などの疾患でなく加齢に伴い脱毛するもの)はジヒドロテストステロンが関与しており、これを阻害すれば治療できることが明らかになり、昨年日本でも発売が開始されました。

この薬は、図の赤枠で示されたII、III、IV、V型の脱毛症に有効です。今回は男性型脱毛症用薬プロペシアの有効性についてお伝えします。

Europian Journal of Dermatology. 2004;12::247.
(インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★☆☆)

20歳から50歳までの男性型脱毛症の男性405人を対象として、プラセボ群(137人)、0.2mg投与群(135人)、1mg投与群(133人)に無作為に分け、1年間観察されました。評価は投与状況を知らない第三者機関の熟練した皮膚科医師により投与前後の頭皮の写真を比較され、7段階に分類することでなされました。

結果は、3カ月の時点で改善した割合は、プラセボ群で8%、0.2mg投与群で25%、1mg投与群で23%で、6カ月の時点で改善した割合は、プラセボ群で9%、0.2mg投与群で44%、1mg投与群で49%、1年後に改善した割合は、プラセボ群で6%、0.2mg投与群で54%、1mg投与群で58%でした。

内服しても全員に改善が認められるわけではなく、効果が認められるのは約半数ですが、効果は1年間内服し続けなければ判定できません。

プロペシアには保険は利きません。厚生労働省から薬価収載されておらず定価はありませんが、1錠約250円ですから1年間で9万円です。内服をやめると元に戻ってしまいますから、効果があった場合はそのまま内服を続けることになります。

今は何位かな?


ブログランキング

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

薬局の請求書の闇

2006年04月10日 | 薬・総合
知人から、薬局での支払いに関して「薬剤費」以上の費用が薬局から請求されている気がするというメールをいただきました。おまけに領収書には明細は書かれておらず、合計額だけが書かれていたそうです。処方の内容は、フロモックスという抗生剤を1日3錠4日分、ガスター(20mg)1日1錠28日分、健胃散(1日3回)28日分でした。

そこで調べてみたのですが、「薬価」はフロモックスが1錠78.7円、ガスター(20mg)が68円、健胃散が6.4円/グラムで1日分4グラムなので1日25.6円でした。

「薬剤費」に関しては、15円以上の「薬価」のものは1の桁が5までは切り捨て、5を超えたら切り上げですから。このケースの場合は3370円です。

「調剤料」ですが、1剤につき、4日間分で200円、14日分だと630円、28日分だと800円、60日分まで880円です。長期の処方のほうが得になる料金設定です。

フロモックスが7日分ですから200円、ガスターは28日分ですから800円、健胃散も28日分ですから800円で、「調剤料」の合計は1,800円です。

さて薬局の請求書の不思議でご紹介したように、ここに「調剤基本料」がかかります。これは薬局の状態により異なりますが、このケースでは490円でした。さらに薬剤服用歴管理・指導料 170円、特別指導加算 280円、薬剤情報提供料 170円を加算して合計6,130円、本来の「薬剤費」が3370円ですから「薬剤費」以外は2,760円でした。もちろん個人が支払う額は6,130円の3割ですが、残りの7割は私たちの保険料や税金などの公的資金からまかなわれるのですから私たちが払っているようなものです。

知人のメールにあったように「薬剤費以上の費用が薬局から請求されている」とまではいかないですが、3,370円分の薬を買っただけなのに、薬局自体への報酬が2,760円加算されるのは盲点だと思いませんか。これではいくら薬剤費の値下げによる国の医療費の節約を叫んでも意味がありません。

このあたり、すごーい闇のように思えてなりません。

そこで、どうしたらこういう支払いを節約することができるかを考えてみました。まず、「調剤料」ですが、算定できるのは3剤までとなっているので4剤以上は同じです。3剤の方は2剤に、2剤の方は1剤にできると「調剤料」は節約できます。なお、例えば朝だけ内服という場合は何種類朝に内服していても1剤と計算されます。1日3回朝、昼、夕の場合などもそういう内服のしかたをする薬は何種類あっても1剤とします。ただし、「1日3回朝、昼、夕」と「1日3回朝、昼、眠前」のように1回でも内服する時期が異なる場合は別とします。そうすると、

コレステロールは夜に合成されるからと、高脂血症の薬を夕方に内服するように処方され、
ノルバスクという高血圧の薬を1錠朝1回とメバロチンという高脂血症の薬を1錠夕1回処方された場合は28日間の場合「調剤料」は1,600円であるのに対して、メバロチンも朝の内服として処方してもらえば800円ですみます。

そして「調剤基本料」は1カ月の受付が4,000回以上、1カ所の病院からの処方の集中が70%以上の薬局では210円であるのに対して、そうでない薬局での「基本調剤料」は490円ですから、できるだけ大きな病院の近くの薬局で処方してもらうと280円節約できます。

「薬剤服用歴管理・指導料」は「患者ごとに作成した薬剤服用歴に基づいて、処方薬の重複投薬、相互作用、薬物アレルギーなどを確認し、基本的な説明・指導を行い、その記録を3年間保管した場合」170円加算されるものですから、薬局がそういうチェックをしているのであればしかたがないでしょう。

ただし「特別指導加算」は「薬剤師が患者や家族と対話することで情報を収集し、薬剤服用歴に基づいて投与される薬剤の適正使用のために服薬指導を行った場合」に280円加算されるものですから、かなりグレーゾーンです。「お変わりありませんか?」と聞かれ「はい」と答え、「それではこれまで通り薬を飲んでください」と言われるだけで加算できるとも解釈できますし、良心ある薬剤師がそういう場合は加算しないこともあると思います。自分で自分の内服薬が管理できる方は、この料金の加算を断ってもいいのではないでしょうか。

「薬剤情報提供料」は「薬の説明書の配布、糖尿病手帳など、各種手帳への記載」によって170円加算されるものです。「この薬は咳のお薬です」といった説明書きが配布されると思いますが、いつもと同じ薬の場合は必要ない場合が多いと思います。必要ないなら説明書の配布を断り「薬剤情報提供料は加算しないでほしい」と主張して170円を節約しましょう。

これで800+280+280+170=1,530円節約できることになります。

また、「調剤料」は30日では800円ですが、60日でも880円ですから、1ヶ月分処方してもらうより2ヶ月分処方してもらう方がはるかに経費を節減できる事に気がつきます。若い方の高血圧や高尿酸血症のような慢性疾患で症状にほとんど変化がない場合はそうしてもらうと安くすみます。

逆に医者の方は、慢性疾患で症状にほとんど変化がない場合は2カ月処方することや、投薬時期をなるべくそろえることを心がける事で患者さんの負担を減らす事ができます。

以前もお伝えしましたが、2003年度の国民医療費約32兆円のうち保険薬局に支払われた費用は3兆9千億円で、医薬分業が行われた結果1兆円増えてしまいました。これは厚労省が薬局の経営に配慮した結果、病院内の調剤報酬より院外薬局の調剤報酬の方が高く設定されたためです。

みなさん、薬局で合計額だけの請求書をもらったら、詳細を書いた請求書もほしいと求めましょう。そういうことも日本の医療費を節約するための一歩になると思います。


「なるほど、ためになった」と思われた方は、こちらから投票をお願いいたします

今は何位かな?
ブログランキング
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

どれだけ運動すれば動脈硬化性疾患を予防できるか

2006年04月08日 | 生活習慣病
運動によって動脈硬化性の疾患である心筋梗塞、狭心症、脳梗塞の発症率を下げることができますが、日本人ではどれだけ運動すれば発症率を下げることができるかという調査はこれまでありませんでした。

Walking and sports participation and mortality from coronary heart disease and stroke.
Journal of American Colledge of Cardiology. 2005;46:1761.
(インパクトファクター★★★☆☆、研究対象人数★★★★★)

対象は1988年から1990年の間に運動量を調査された40歳から79歳までの42,242人で、1999年までの10年間前向きに調査されました。対象者は過去に心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、ガン、糖尿病、高血圧などがない健常者です。

運動量は、1日の平均歩行時間を目安にして、30分以内歩く群、30分ほど歩く群、30分~1時間歩く群、1時間以上歩く群に分けられました。また、スポーツをする時間として1週間にほとんどしない群、1~2時間する群、3~4時間する群、5時間以上する群に分けられました。

運動時間とそれに関連する各疾患の発症率を表にしました。

1日の歩行時間   30分以内 30分   30分~1時間 1時間以上
脳出血の発症率   0.044%   0.036%   0.032%     0.025%
脳梗塞の発症率  0.064%   0.062%   0.034%      0.041%
心筋梗塞の発症率 0.074%   0.067%   0.059%     0.047%

1週間のスポーツ時間 ほとんど0、1~2時間、3~4時間、5時間以上
脳出血の発症率    0.032%   0.028%  0.037%    0.023%
脳梗塞の発症率    0.045%   0.062%  0.039%   0.058%
心筋梗塞の発症率  0.053%   0.066%   0.069%   0.059%

確かに歩行やスポーツで心筋梗塞や脳梗塞のリスクは下がっていますが、健常者での発症率そのものが低いのであまり恩恵は感じられないと思いませんか。

ただし、この論文とは関係ありませんが、糖尿病や高血圧や高脂血症の患者さんではリスクをかなり下げることができます。



ブログランキング、今は何位かな?


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

胃潰瘍の治療薬

2006年04月06日 | 消化器
逆流性食道炎、胃潰瘍、胃炎、十二指腸潰瘍は、胃酸の分泌が粘膜保護能力(粘液、血流、プロスタグランディンなど)を超えると発症しやすくなります。そこでこれらの疾患の治療にはヒスタミンレセプター2・ブロッカー(H2ブロッカー)やプロトンポンプ・インヒビター(PPI)という胃酸の分泌を抑える薬が使われます。一般にPPIはH2ブロッカーよりも胃酸分泌抑制作用が強いと言われています。

H2ブロッカーは昭和63年から発売されていましたが、10年ほど前にPPIが開発され、厚生労働省から定められた薬価はPPIがH2ブロッカーの2倍ですから、製薬会社は売り込みの姿勢を強めていきました。

しかし、日本人は欧米人に比較して胃酸分泌が弱いため、高い料金を払ってPPIを使用する必要があるのかという議論がありましたが、日本人での研究があまり進んでいませんでした。無作為試験ではないのですが、昨年にやっと日本行われた大規模臨床試験の結果が発表されました。

Minimal change oesophagitis: a disease with characteristics difference to erosive oesophagitis.
Alimentary Pharmacology & Therapeutics. 2005;Suppl 2:19.
(インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★★★)

胃カメラが施行できた606人の外来患者さんを対象として、582人が解析可能でした。そのうち347人は非治療群、235人が治療群でした。

結果は、
1、逆流性食道炎は日本人の場合、非びらん性の場合が多くH2ブロッカーでコントロール可能であること。
2、上部消化管出血に関して、我が国では一般的に内視鏡的止血術が行われており、ヒスタミン刺激による胃酸分泌が主である絶食時にはH2ブロッカーの胃酸分泌抑制作用はPPIと同等であること。
3、抗炎症剤による潰瘍の場合、H2ブロッカーも有効であり再発抑制にも有効であること。

PPIはH2ブロッカーよりも胃酸分泌抑制作用が強いからPPIを使用するというのは、両者の薬価が同じ場合に言うことができるのであって、PPIの薬価がH2ブロッカーの2倍というのであれば、まずH2ブロッカーを投与し無効の場合PPIを使用するのが適切ということになりますが、最近では製薬会社の宣伝にのせられ、最初からPPIを処方するケースが増えてしまっています。

PPIとH2ブロッカーの薬価(胃潰瘍に1日2回使用する場合の1回分)
H2ブロッカー
ガスター20mg 68円
ザンタック150mg 59円
アルタット75mg 59円
アシノン150mg 57円
ストガー10mg 57円
タガメット400mg 40円

プロトンポンプ・インヒビター
オメプラール10mg 134円
オメプラゾン10mg 134円
タケプロン15mg 141円
パリエット10mg 231円


最近多くの方にお立ち寄り頂いております。誠にありがとうございます。ところで、ブログランキング投票をお忘れでないでしょうか。なるべく多くの方にこのブログを見ていただくためにも、ご協力宜しくお願い致します。
ここをクリック


今は何位かな?
ブログランキング

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

前十字靱帯再建術

2006年04月04日 | 整形外科
前十字靱帯損傷に関しての情報をリクエストいただきましたので、調べてみました。

前十字靱帯は膝関節の中央部、大腿骨のくぼみにあり、激しく膝をねじったり過度に膝が伸びたりして無理な力(約200kg以上の力)がかかると切れます。周囲に損傷部の治癒を促す血管が少ないため、自然に治癒することが困難という特徴があり、前十字靭帯損傷に対する治療は手術治療になります。もともと強い牽引力がかかる所であり、切れると縫い合わせることは出来ませんので、手術では自分の腱を使って靱帯を作ります。移植する腱はハムストリングス(膝を曲げる筋肉の腱の一部)、骨付き膝蓋靱帯(膝のお皿の骨と脛の骨の一部が付いた状態の膝蓋靱帯)の2つがスタンダードです。日本やヨーロッパの一部で行われている人工靱帯は、アメリカでは手術成績が悪いことから承認されていません。

ハムストリングスにするか骨付き膝蓋靱帯にするか、こんな論文がありました。

A meta-analysis of stability after anterior cruciate ligament reconstruction as a function of hamstring versus patella tendon graft and fixation type.
Arthroscopy. 2005;10:1202.
(インパクトファクター★☆☆☆☆、研究対象人数★☆☆☆☆)

この論文は最近、前十字靱帯再建術に関して報告された論文をまとめて解析したメタアナリシスです。4本の腱を編んだ腱を移植した24人と、2本の腱を編んだ腱を移植した8人と、骨付き膝蓋靱帯を移植した32人が術後の膝の安定性などが比較されました。

結果は、4本の腱を編んだ腱群は骨付き膝蓋靱帯群に比較して有意に安定性が良く(77% vs. 66%)、低安定性の率が有意に低かったそうです(4.4% vs. 5.9%)。

また、術式としては、EndoButtonという器具を使い4本の腱を編んだ腱を使った場合の安定性が一番良く(80%)、不安定性は一番低かったそうです(1.7%)。


メタアナリシスといっても発症率の高い心筋梗塞などの論文に比較して人数が少ないですね。

「なるほど、ためになった」と思われた方は、こちらから投票をお願いいたします

今は何位かな?
ブログランキング

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ビタミンEは動脈硬化性心臓病とガンを予防するか

2006年04月02日 | 生活習慣病
以前の記事ですが、この記事の内容について、法律の専門家みそしる様からコメントをいただきましたのでアップさせていただきました。



HOPE及びHOPE-TOOと名付けられた大規模臨床試験の結果が発表されました。しかも解説のおまけ付きです。
Effects of long-term vitamin E supplementation on cardiovascular events and cancer.
Journal of American Medical Association. 2005;293:1338.
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★★)

脳卒中の病歴、冠血管疾患か末梢血管疾患の既往、または1つ以上の心血管危険因子を伴う糖尿病を有する55歳以上の患者9,541例のうち4,761例がビタミンE群に、4,780例がプラセボ群に割り付けられました。主要評価項目は、癌、癌関連死亡、および脳卒中・心筋梗塞・心血管関連死亡の複合で、心血管疾患の二次的評価項目は、心不全、入院を要する不安定狭心症、うっ血の臨床症状を伴う入院を要する心不全、および全死因死亡です。

動脈硬化性心臓病の発生数はビタミンE摂取で改善されず、HOPEではビタミンE群の1,022件に対してプラセボ群985件(P=0.34)、HOPE-TOOではビタミンE群の807件に対してプラセボ群769件でした(P=0.31)。さらに脳卒中、心筋梗塞、心血管関連死亡、入院を要する不安定狭心症、血行再建術、および全死因死亡の個別の発生率に関して有意差はありませんでした。しかしHOPEとHOPE-TOOの双方において、心不全と心不全による入院の発生率は、ビタミンE投与群のほうがプラセボ群より高かったようです(心不全の相対リスクは、HOPEでは1.13、P=0.03、HOPE-TOOでは1.19、P=0.007)。

血管疾患患者と糖尿病患者にビタミンEを長期投与しても、主要な動脈硬化性心臓病、癌、および癌関連死亡の発生率は低下せず、とくにビタミンEは心不全と心不全による入院の発生数を増加させました。

どうしてビタミンEが様々な疾患に効果がないのかという疑問に対するウィダー博士とハリソン博士のコメントです。
「ラジカルとビタミンEの反応によりビタミンEラジカル(tocopheroxyl radical)が形成されるが、これは酸化促進効果をもちうる。さらに、一部の活性酸素種は有益なシグナル特性をもっており、ビタミンEがこれらを取り除くことで体に害がもたらされる可能性がある。」

さらにこのように結論づけています。
「ビタミンEは、確立した冠動脈疾患、末梢血管疾患、脳卒中の既往、または糖尿病を有する患者への適応はなく、これらの患者に投与すべきではない。総合ビタミン剤にわずかに含まれる場合(おそらく1日50IU未満)を除き、これらの患者にはビタミンEを摂取するのをやめさせるべきである。」

以前、脳循環改善剤のある薬がその後の研究で全く効かない事が判明し発売中止になった事がありました。その時「今までその薬に支払った代金はどうなるの?」と思いましたが、この薬も近い将来そんな結末をむかえそうです。今後このまま動脈硬化にビタミンEを買わされていくとすれば、それは「債務不履行」(民法415条)ではないですか?「履行請求」(民法414条)は無理でしょうから、損害賠償請求(民法415条)でしょうか。ひょっとすると詐欺(民法96条)かもしれません。

「なるほど、ためになった」と思われた方は、こちらから投票をお願いいたします

今は何位かな?
ブログランキング



(みそしる様のコメント)
こんにちは。ご指名いただきありがとうございます。参上いたしました。

まず、だますつもりがなければ、詐欺にはなりませんので、民法96条を理由に契約を取り消すことはできないと考えます。

問題は債務不履行でしょうね。今まで販売していた薬に効き目が無かったことがわかったとすれば、欠陥品を売買していたことになり、債務不履行の一種である「不完全履行」ということになります。

不完全履行の場合は「追完」といいまして、代わりになる他の同等価値のものを提供すれば、責任を免れることになります。しかし、期待する効き目のある薬が、まだ現代科学で開発されておらず、この世に存在しないということになると、追完ができず、結局「履行不能」となります。やはり債務不履行です。

では、この場合に履行不能を理由に損害賠償や契約解除はできるのか。条文はこうなっています。

◆ 民法 第415条(債務不履行による損害賠償)
 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。

◆ 民法 第543条(履行不能による解除権)
 履行の全部又は一部が不能となったときは、債権者は、契約の解除をすることができる。ただし、その債務の不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。


薬の買い主側が、売買契約の解除を主張して代金を取り戻したり、損害賠償を請求したりするには、債務者(売り主)の「責めに帰すべき事由」(略して帰責事由)が必要になります。

民法の解釈上、帰責事由は、「故意や過失」とほぼ同じ意味です(厳密にはもう少し広いですが)。なので、薬の売り主が、契約当時、効き目が無いことを知り得たのに、予想できたのに売ったのならば、帰責事由ありで、解除や損害賠償の主張を甘んじて受けなければならなくなるでしょう。

ここから先は、具体的な事実認定の問題ですから、具体的な事情をご存知のsecondopinionさんのご判断に委ねます。

これからもよろしくお願いします!
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小児用ロタウイルスワクチン

2006年04月01日 | 小児科
アメリカのFDA(食品医薬品局:日本の厚労省のような所)はこのほど、小児下痢症の原因となるロタウイルスに対するワクチン(ロタ・テック)を承認しました。

小児の白色下痢症の原因の7割はロタウイルスによるもので、ほぼ全ての小児が1度は感染していると考えられ、嘔吐で発症し下痢を生じて重度の脱水状態に陥ることもあります。ロタウイルスはほとんどの消毒薬に対して耐性があり、しかも水中や玩具などの表面でも数週間生き延びるため衛生条件とは無関係に感染します。

アメリカでは、生後6~24カ月に重度のロタウイルス感染のリスクが一番高まり、5歳までにおよそ17人に1人が救急外来を受診し、65人に1人がロタウイルス胃腸炎で入院しています。多くの小児科医はロタウイルス胃腸炎が小児にとって深刻な疾患であると考えており、医師の94%がロタウイルスワクチンを使用したいと望んでいました。

ロタウイルスワクチンは米国メルク社が販売する予定で、これまで7万人以上の小児を対象とした臨床試験では、プラセボと比較してロタウイルス胃腸炎の98%を予防し、重度のロタウイルス胃腸炎の74%を予防しました。

1990年代後半に開発されていたロタウイルスワクチンは、プラセボと比較して腸重積の割合を増加させたため、発売中止になっていたので、今回の臨床試験でもそのことに重点が置かれ調査されました。投与後6週間以内に発生した副作用のうち統計学的にプラセボより多かったのは、割合はわかりませんが、下痢、嘔吐、中耳炎、鼻咽頭炎、気管支痙攣で、腸重積のリスクが増えるということはありませんでした。

ある小児病院の感染科部長は「小児科医は小児をロタウイルスから守る手段が得られた。約20年にわたりこのワクチンの研究に携わってきた多くの人々の努力が、この疾患の予防に貢献することができた」とコメントしています。


最近多くの方にお立ち寄り頂いております。誠にありがとうございます。ところで、ブログランキング投票をお忘れでないでしょうか。なるべく多くの方にこのブログを見ていただくためにも、ご協力宜しくお願い致します。
「なるほど、ためになった」と思われた方は、こちらから投票をお願いいたします



今は何位かな?
ブログランキング

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする